496.特別イベント、企画中!
ユーフェミア公爵が考えているおびき寄せるためのイベントというのは、なんと武術大会のようだ。
セイバーン公爵領では、二年に一度『武官登用武術大会』というものを実施し、上位者を武官として登用しているらしい。
セイバーン軍は、各市町の『衛兵隊』と、領城を守る『近衛隊』、近海を守る『海兵隊』、『正規軍』、エリート集団の『セイリュウ騎士団』で構成されているようだ。
一定以上の成績を収めると、衛兵として採用してもらえるらしい。
また上位者については、いきなり正規軍の兵士として登用してもらえるとのことだ。
理論上は、『近衛隊』や『海兵隊』や『セイリュウ騎士団』にいきなり入団することもあり得るらしい。
『武官登用武術大会』は、去年実施しているらしく今年は実施しない年らしいが、特別に実施するつもりのようだ。
しかもいつもよりも規模を大きくして、大々的に宣伝するらしい。
『特別武官登用武術大会』という名称にするとのことだ。
そして普段は実施しない特別なイベントとして、騎士団の模擬試合をやるつもりのようだ。
セイバーン公爵軍が誇る『セイリュウ騎士団』と、ユーフェミア公爵が非公式に組織した大会限定の特別騎士団『高貴なる騎士団』が模擬戦をするということを目玉にするらしい。
『高貴なる騎士団』には、ユーフェミア公爵はもちろん、アンナ辺境伯やエレナ伯爵も参加してもらうつもりのようだ。
それを事前に大々的に告知することによって、三つの領の領主が一同に会するという餌を撒くつもりらしい。
「ユーフェミア伯母さま、私もエマと共に参加させていただきます。もちろん父と近衛騎士団には、私の方から手を回しておきますので、ご心配には及びません」
クリスティアさんがそう言って、悪戯な笑みを浮かべた。
さすがに、第一王女が参加するのはまずいだろう……おびき寄せるための餌でもあるわけだし……。
「しょうがないね……。クリスティアならそう言うと思ってたよ。止めて聞くような子じゃないし、いいだろう」
えー……普通に許可しちゃってるけど……。
後で国王の怒りを買わないんだろうか……まぁ国王は、ユーフェミア公爵とクリスティアさんに頭が上がらないみたいだけど……。
ということで、正式に『高貴なる騎士団』のメンバーとなったのは……ユーフェミア公爵、長女のシャリアさん、次女のユリアさん、三女のミリアさん、アンナ辺境伯、エレナ伯爵、キャロラインさん、クリスティアさん、エマさんの九人だ。
模擬戦は、一対一の『個人戦』、二人一組での『タッグ戦』、五人から七人程度での『パーティー戦』を予定しているらしい。
ちなみに現時点でのレベルは……
ユーフェミア公爵……レベル49
シャリアさん……レベル44
ユリアさん……レベル41
ミリアさん……レベル39
アンナ辺境伯……レベル40
エレナ伯爵……レベル57
キャロラインさん……レベル48
クリスティアさん……レベル40
エマさん……レベル47
となっている。
ユリアさん、ミリアさん、アンナ辺境伯、クリスティアさん、エマさんは『ナンネの街』を『武器の博士』が襲った事件のときの戦闘などで、以前よりレベルが上がっている。
エレナさんは、格上だった『上級吸血鬼 ヴァンパイアロード』の『血の博士』を倒しているので、以前のレベル55からレベル57まで上がっているようだ。
ユーフェミア公爵とシャリアさんとキャロラインさんは、前に確認した時と変わってないと思う。
普段は、覗き見するような感じで気が引けるので、勝手に『波動鑑定』をしないことにしている。
今回のレベルは、皆さんの自己申告だ。
まぁ普通に考えて、このレベルの人たちにかなうような相手は、そうそういないだろう。
ただ『セイリュウ騎士団』は精鋭部隊ということなので、もしかしたらいい勝負になるのかもしれない。
その人たちのレベルが、どのぐらいかわからないけどね。
ちなみに『セイリュウ騎士団』ではないが、セイバーン軍の『近衛隊』の隊長だったゴルディオンさんは、レベル46で、確か……『ナンネの街』の戦いの後には、レベル47になっていたはずだ。
『セイリュウ騎士団』も、そのぐらいのレベルはあるのかもしれない。
そう考えると、レベル45に達してない人たちは、少し心もとないかもしれない。
そんなこともあり、これから時間を見つけて各自鍛錬に励むようだ。
そして俺にも協力依頼があった。
実戦力を上げて、かつレベルが上がりやすいのは、やはり魔物を狩ることなので、魔物狩りをしたいらしい。
そこで、レベル上げにちょうどいい強さの魔物がいる場所の心当たりがないかと聞かれた。
普通なら『ミノタウロスの小迷宮』を紹介して、そこでレベル上げをしてもらうのが一番いいのだが……『ミノタウロスの小迷宮』については、公開すると説明が色々と面倒だし、今の時点では避けたいところだ。
迷宮でなくても、魔物の領域は各領にあるし、その中でレベルが高い魔物が住んでいる場所を探してあげれば、何とかなるだろう。
そこを転移の魔法道具に登録すれば、迷宮攻略と同じような感じで、効率良くレベル上げができると思う。
秘密基地である『竜羽基地』がある竜羽山脈の周辺にも魔物領域があるので、そこでレベル40から50くらいの魔物がいる場所を『波動検知』で探そうと思っている。
レベル40以上の魔物がいる場所は、あまりないかもしれないが、頑張って探してみようと思う。
『特別武官登用武術大会』は、約二十日後に開催することになった。
本来なら告知を徹底するために一ヶ月ぐらい期間を取りたいところだが、あまりぐずぐずもしていられない。
セイバーン公爵領内に『正義の爪痕』の首領が居るという前提なので、セイバーン公爵領内に告知が行き渡ればいいという考えなのだ。
そして逆に、周辺の領などにも情報が行き渡って、多く人が集まっても困るという判断もあるようだ。
どうもこの世界では、武道大会は大人気のイベントらしく、お金に余裕がある人は離れた場所でも見に行くくらいの一大イベントらしい。
大会を実施する場所は、マナゾン大河沿いの『セイセイの街』の近郊になった。
『セイセイの街』から少し離れた場所に、特別コロシアムを作るということになった。
『セイセイの街』からの移動用の臨時乗合馬車の運営も、『フェアリー商会』でやってほしいと頼まれた。
コロシアムの中とその周辺には食事処や休憩所も作らなきゃいけないので、その辺もまとめて依頼を受けた。
一時的なイベント用のものだが、どうせなら今後もいろんなイベントで使えるようにした方がいいと思う。
したがって、コロシアム以外の周辺の施設も、しっかりした建物を建てようかと思っている。
宿泊できる宿も含めて、村を作るイメージでやっちゃおうと思っている。
オリンピック村ならぬ……コロシアム村といったところだ。
セイバーン公爵領には、『領都セイバーン』を含めて七つの都市と七つの街があるそうだが、マナゾン大河沿いという利便性などから選んだようだ。
マナゾン大河沿いには、他にも大きな都市が二つあるようだが、万が一市町にまで被害が及ぶ事態になったときに、大きい都市だと守るのが大変なので、小さな『セイセイの街』を選んだらしい。
もっとも小さな街といっても、人口は千人を超えているようだが。
万が一のときは、確かに規模が大きくない方が守りやすいから、いい選定だと思う。
ちなみに『セイセイの街』は、セイバーン公爵領内の西の端にあたる街でもあるようだ。
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