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422.もう一人の、博士。

「みんなやっつけちゃったのだ!」

「もういないと思うなの〜」


 リリイとチャッピーを始めとした仲間たちが、俺のもとに戻ってきた。

『領都ヘルシング』に出現した『吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)』と『吸血(ヴァンパイア)(モスキート)』たちを倒し終えたようだ。

 俺の『波動検知』でも検出できないから、もう『吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)』と『吸血(ヴァンパイア)(モスキート)』たちは、残っていないだろう。

 とりあえずは、この領都に訪れた危機は回避できたようだ。


 そして他の仲間たちからの念話によれば、やはり各市町に同じように『吸血蝙蝠(ヴァンパイアバット)』と『吸血(ヴァンパイア)(モスキート)』たちが出現しているようだ。

 この『領都ヘルシング』に出現したのとは少し遅れて出現したようで、仲間たちの救援が間に合ったようだ。

 現在、交戦中のようだが、仲間たちのレベルを考えれば問題ないだろう。


 そんな時だ、『自問自答』スキルの『ナビゲーター』コマンドのナビーの顕現体から念話が入った。


(マスター、ようやく南東にある森の『正義の爪痕』のアジトの入り口を発見しました。これから潜入します!)


(了解。俺もすぐに行くよ!)


 ナビーには、別行動で『正義の爪痕』のアジトの探索を依頼していたのだ。


 ナビーなら単独で潜入しても大丈夫だろう。

 いかんせん、俺と同じステータスだからね。


「ナビーがこの近くのアジトを見つけたから、ちょっと行ってくるよ。まだ領都になにか起きるかもしれないから、みんなはここで待機してて。ニアに指揮を任せる!」


 俺は、集まってきたみんなにそう告げた。


「オッケー! 任せて!」


 ニアはそう返事をした後に、一緒に行きたそうな顔をしているリリイとチャッピーに何やら耳打ちをして、なだめてくれたようだ。



 俺はすぐにナビーと合流すべく走った。

 途中からは、『ハイジャンプベルト』で高速飛行したのだ。





  ◇





『領都ヘルシング』から見て南東にある森に、ナビーが教えてくれたアジトの入口がある。

 かなり大きな森林なので、アジトがあると分かっていても、その入り口を探すのはかなり大変だったはずだ。

 ナビーが教えてくれたのは、大きな木の幹だった。

 幹には、人が通れるくらいのサイズの大穴が開いている。

 ここが入り口のようだ。


 明らかに偽装された樹木だが、普通に見ただけでは全くわからないだろう。


 本来は扉のような構造になっていて、木の幹には穴が無い外見になっていたようだが、ナビーが扉を壊して潜入したために、大穴が開いた状態になっていたのだ。


 アジトの入り口としてはかなり狭いので、おそらくいくつかある入り口の一つなのだろう。


 大きなものを運び込めるような入り口は、別途あるに違いない。

 まぁ今は、そんなことはどうでもいいことだが。


 俺はすぐに中に突入した。

 かなり広いアジトのようだ。

 もしかしたら……ここが本拠地かもしれない……。


 ナビーはどうやら正面突破で、出てくる『血の博士』の急襲部隊『ブラッドワン』のメンバーを倒しながら進んでいるらしい、

 奴らは、皆『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』なので、ナビーにより『ドワーフ銀』を胸に打ち込まれ仮死状態で転がっている。



 少しして、ナビーに追いついたが、ナビーはちょうど『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』たちの集団に対峙していた。

 二十体くらいはいる。


  ————バンッ、バンッ、バンッ、バゴォーンッ


 なに!

 奴らは突然、爆発のような音を立てながら変質してしまった。


 大きさが三メートルを越え、胸にサメ頭が出現している。

 以前倒したサメの『吸血魔物 ヴァンパイアナイトモンスター』と同じだ。


 どうやら『死人薬』を使って、『吸血魔物 ヴァンパイアナイトモンスター』となってしまったようだ!


 不利を悟って『死人薬』を使ったのか……

 だが飲んだそぶりが見られなかったが……

 しかも同時に『吸血魔物 ヴァンパイアナイトモンスター』に変質したのは、不自然だ……。


「これだけの『ヴァンパイアモンスター』に、たった二人でどうやって勝つつもりだ? 『ドワーフ銀』はもう弱点ではないのだぞ!」


 突然、声を張り上げながら、黒いマントの男が現れた。


 状況から見て……あいつが起動装置を使って、体内に仕込んだ『死人薬』を一気に発動させたに違いない。

 やつは何者なんだ……


 俺はすぐに『波動鑑定』をかける……

 ……え!

 なに!


 やつは『上級吸血鬼 ヴァンパイアロード』だった!

 まだ上級吸血鬼がいたのか……

 いや……なに!


 『称号』に『魔導の博士』とある……『魔導の博士』とは『血の博士』の別名だったはずだが……

 ……別名ではなく、もう一人いたということか!?


 ということは、この急襲部隊『ブラッドワン』は、リーダーを失っていなかったということか……。


「ナビー、『ヴァンパイアモンスター』を頼む! 『魔力刀 月華』を使って燃やし尽くすんだ! 俺は『ヴァンパイアロード』を捕まえる!」


「わかりました。転移に気をつけてください!」


 ナビーは、頷きながらそう言った。

 確かに、『薬の博士』や『武器の博士』のように転移の魔法道具を持っているかもしれない。

 そして、この感じ……時間を稼いで逃げようとしている感じでもある。


「捕らえよ!断絶空間」


 俺はすぐに、空間魔法の巻物『不可視の牢獄』を発動させた。


 ナビーの読みは、当たっていたようだ。


「なに! なぜ転移出来ない!?」


 奴の呟きが聞こえてきた。


「無駄だ! もう転移はできない! おとなしく観念しろ!」


 俺は奴にゆっくり近づきながら言った。


「な、なんだと! 転移を封じたというのか!? ……まぁいい。『ヴァンパイアロード』の私とまともにやり合えると思っているのか!? 『ヴァンパイアハンター』でもないくせに!」


 『ヴァンパイアロード』は、俺を睨み付け舌舐めずりした。


「やはりメインで幹部として活動していたのは、『血の博士』だったようだな。『魔導の博士』、お前は情報収集が甘いようだ」


「な、なに!? なぜ私が『魔導の博士』だと知っている? ……そうか『鑑定』したのか! 確かに、幹部としてのメインの活動は『血の博士』がやっていたが、我々とて同等の力を持っている。今から思い知らせてやるわ!」


 奴はそう言うと、再度舌なめずりした。


 俺の予想通りメインの活動は『血の博士』がやっていて、『魔導の博士』は補助的な役割だったようだが……何か引っかかる……今『我々』と言ったのか……?


 そんな俺の思考の一瞬の隙をついて、奴は急加速で襲いかかってきた。


 俺は真正面から受けて立ち、殴りかかってきた拳を逆に殴り返したやった!


 ——バゴンッ!


 奴の右腕は、粉々に砕け散った。

 そのまま奴は吹っ飛び、仰向けに倒れている。

 まぁ上級吸血鬼の超回復能力からすれば、死ぬ事はないだろう。

 俺は『状態異常付与』スキルで『眠り』を付与した。


 瞬殺で拘束してやったのだ。




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次話の投稿は、16日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言]  他の博士に比べて血の博士がやけにあっさり落ちていたから何かあるとは思っていたけど、四天王の五人目が来たかー。 > 今『我々』と言ったのか……?  これは他にも居そうだな。あるいはロードの…
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