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396.甘い、トマト。

 軍団の勧誘に行っていた『エンペラースライム』のリン、『スピリット・オウル』のフウ、『スピリット・ブラック・タイガー』のトーラ、『スピリット・タートル』のタトルが帰ってきた。


 『スライム軍団』は十三体、『野鳥軍団』は九十四羽、『野良軍団』は二十六匹、『爬虫類軍団』は六十六匹集まったとのことだ。

 時間があまりかけられなかったので、街中を当たったわけではないようだ。

 今回仲間になってくれた者たちが勧誘して、今後も増えていく予定だ。

 まぁ無理に増やさなくてもいいんだけどね。


 この街は、野良スライムも少ないし、他の動物たちも意外に少ないようだ。

 街の大きさとしては、ピグシード辺境伯領の『マグネの街』や『ナンネの街』の二倍くらいの大きさなのだが、野良状態の動物はあまり多くないようだ。

 あくまで街の中でのことだから、街の外に出ればもっといるだろうけどね。

 リンは、『種族固有スキル』の『種族通信』でスライムたちに呼びかけてしまったらしいので、この街の近辺にいるスライムたちが向かってきているらしい……。

 なんか最終的にすごい数になりそうで、ちょっと怖い。

 まぁいつものことなので、もう慣れたし、スライムたちが可愛いからいいけどね。


 とりあえず、この屋敷が守れればいいのだ。

 『野鳥軍団』と『野良軍団』と『爬虫類軍団』はそのままでいいと思うが、『スライム軍団』だけは何かあったときに戦力としても役立ってほしいので、半数ぐらいずつ交代で大森林に訓練に行ってもらおうと思っている。

 いつものように特訓して、レベルを上げてもらうつもりだ。


 俺は今回仲間になった者たちにも、万が一『鑑定』されたときのために、偽装ステータスはを貼り付けた。


 今回の動物たちで面白かったのは、この街の特徴なのか、『野鳥軍団』の中に()がいたことだ。

 見た目が鵜そのものだったので念話で確認したところ、やはり川で魚をとって食べるのが好きなようだ。

 十二羽いたので、川で魚をとってここに運んできてくれるように頼んだ。

 これでここの子たちは、少なくとも毎日お魚は食べれるということになる。


 『野良軍団』の中には、なぜかヤギが六頭いた。

 野良のヤギって……。

 よく今まで食べられずに生きてきたものだ。

 この子たちには、この屋敷で暮らしてもらおう。

 ヤギミルクも採らせてもらえるから、ヤギがいてくれたのはラッキーだった。

 それから野良のロバもいた。

 この子もよく生きていたものだ。

 つかまって食べられてもおかしくないし、売り飛ばされてもおかしくなかっただろうに……。

 この屋敷にも小さめの馬車を用意して、ロバに引いてもらったらいいかもしれない。

 スカイさんと子供たちが移動するときに、便利だろうからね。


 『爬虫類軍団』の中には、子犬くらいの大きさの巨大なトノサマガエルが二匹いた。

 超びっくりした。

 こんな目立つのに、よく無事で今まで生きてきたものだ。

 このトノサマガエルは街中にいると目立ちすぎるので、この屋敷の門番として屋敷の中にいてもらった方がいいかもしれない。




  ◇




 午後になって一通りの整備が終わった頃、スカイさんと九人の子供たちがやってきた。

 そして『チーム義賊』のメンバーも、一緒に来てくれたようだ。


 屋台でいろいろと買い込んできてくれたようだ。

 イカ焼き、魚の串焼き、肉串、魚の煮物、野菜の煮物などだ。

 そして嬉しいことに……色とりどりのトマトがいっぱいある!


 名物のトマトは、午後にならないと入荷しないと言っていたので、まだ食べていなかったんだよね。


「このオレンジのやつが甘くておいしいよ! トマトの酸っぱさが全然なくて、甘みだけあるんだ!」


 イカ焼き屋台の店主マックさんがそう言って、俺に中玉サイズのオレンジトマトを渡してくれた。


 俺はすぐに口に放り込んだ!


 おお甘い!

 これは……俺が求めていた甘いトマトだ! あるじゃないか異世界!


 今度レントンと一緒に品種改良して甘いトマトを作ろうかと思っていたが、この世界にも存在していたようだ。

 余裕ができたらレントンと一緒に、納得のいくオリジナルトマトを作ろうと思っているが、それまでの間はこのトマトで充分だ!


 俺はここにあるトマトを全種類食べた!

 オレンジの中玉トマト以外にも、甘いトマトがいくつかあった!


 ピンク色でハートの形のトマトもあって、皮も薄くてめっちゃ甘かった!

 俺的には無理に品種改良しなくても、これでいいかと思えるほどの完成度だった。


 黄色の大玉トマトは、ゼリー質のところになんともいえない甘みと旨みがあって、すごくいいトマトだった。


 紫色のミニトマトは、酸味が少し強めの甘いトマトだった。


 カボチャくらいの大きさで、形もカボチャのような黒いトマトがあった。

 皮が固かったし、甘くはなかったが、煮物などに使うといいらしい。


 我慢できなさそうに見ていたリリイとチャッピーにも食べさせてあげたら、甘いトマトに大喜びしていた。

 もちろんニアさんは、いつもの雄叫びをあげて無心にがっついていたが、トマトの汁が飛んで全身びしょ濡れになっていた……残念!


 『アシアラ商会』のアシアさんによると、やはり一番数が多いのは、よくある赤い大玉トマトのようだ。収穫も楽だし、収穫量も多いらしい。

 他の変わったトマトは、収穫量がそれほど多くないとのことだ。


 ただこの世界のトマト栽培は、基本的に放任栽培で成った実を採るだけなので、収穫量が少ない分は数を植えればいいという考えで栽培しているようだ。

 栽培に手間をかけないからできる方法だろう。

 それ故に、甘いトマトや色付きの変わったトマトも、普通のトマトよりも少し高い程度の値段で売られているようだ。

 俺の感覚からすると、もっと高く売ってもいいと思うのだが……。



 嬉しい差し入れをみんなで平らげた後、ゆっくりこの屋敷の中を案内することにした。


 一番驚いていたのは、『商人ギルド』の受付嬢ジェマさんだ。


「あのボーボーだったお屋敷を……この短時間でこんなに……」


 衝撃を受けて、しばらく呆然としていた。


 まぁ常識的に考えたら、そうなっちゃうよね……。

 俺たちにとっては、もはや普通のことなのだが……。


「わぁ、きれいなお花!」


 早速デイジーちゃんが、お花畑を見つけたようだ。


「ここは、デイジーちゃんのために作ったんだよ。お花の生えている場所から移したんだ。もう無理に花売りをする必要はないけど、お花を摘んだり、花売りをしたくなったらここから摘めばいいよ」


 俺は、デイジーちゃんの頭をなでながらそう言った。


「ほ、本当に……!? グリムさん、ありがとう! とってもうれしい! 私、お花大好きなの!」


 デイジーちゃんは、よほど嬉しかったのか俺に抱きついてきた。


 喜んでくれてよかった。

 本当はシチミとレントンの功績なのだが、まだ彼らの存在をオープンにしていないので、教えてあげることができない。

 でも二人とも喜んでいることだろう。


 屋敷の中は、リリイとチャッピーが子供たちを先導して案内してくれてことになった。


 子供たちは、みんな目をキラキラ輝かせて喜んでいる。


 最後に俺の渾身の大風呂を案内すると……


「なんだよこりゃ!? でかいな……お湯が張って……風呂なのか!?」


 いか焼き屋台の店主マックさんが、驚きの声を上げた。


「そうです。お風呂です。いつでも入れますよ。気持ちいいですよ!」


 俺がそう答えると、子供たちも驚きの声を上げた。


「なんだってこんな大きな風呂を………入っていいのかい?」


 マックさんはそう言いながら、すでに服を脱ぎ出している。


「おいマック、なにも今入ることないだろ!」

「少し我慢できないのか!」

「ホント最低!」

「ちょっと! それ以上脱がないでください!」


 元商人ギルド長のレオさん、『アシアラ商会』のアシアさん、元衛兵のスカイさん、商人ギルド受付嬢のジェマさんが、一斉に抗議の声を上げた。


「いいだろ別に。子供たち一緒に入るか?」


 マックさんは全く気にすることなく、子供たちに声をかけた。


「「「わーい! 入る!」」」


 子供たちも一斉に服を脱ぎだした。


 それを見て、スカイさんたちも諦めたようだ。


 そして、この場はマックさんに任せて、生活を始めるための準備をすることにしたようだ。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、21日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] 路地とかでお花を売るって、中世時代なら、売春って意味だったはず。
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