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376.次の、作戦。

『正義の爪痕』の幹部構成員と思われる『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』の三体に対する尋問は、無事に終えることができた。


 俺も立ち会っていたのだが……


 彼らは、やはり『血の博士』こと『上級吸血鬼 ヴァンパイアロード』直属の急襲部隊『ブラッドワン』のメンバーだったようだ。


『ブラッドワン』のメンバーは、五十名以上もいるようだ。

 全てが『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』らしい。


 そして彼らのアジトとは、ヘルシング伯爵領の領都の南東にある森林の中にあるようだ。



 アジトの場所はわかったわけだが、どう攻めるかが問題となった。


 ヘルシング伯爵領の領都に比較的近い場所であり、大きな騒ぎとなった場合に、あとから問題となる可能性がある。

 やはり本来なら、この情報をヘルシング伯爵に伝えて、ヘルシング伯爵軍に討伐してもらうのが筋なのだ。

 それにヘルシング家は代々『ヴァンパイアハンター』の家系であり、吸血鬼討伐の専門家でもある。


 アジト攻略が極秘裏に処理できなかった場合、ヘルシング伯爵の面目を潰したことになってしまい、問題になる可能性があるのだ。


 慎重に事を運ばなければいけないとの結論になった。


 そこで、まずは当初の予定通り、俺がアンナ辺境伯の密使としてヘルシング伯爵領の領都に入り、伯爵に面会をするということになった。

 そしてヘルシング伯爵が信頼できるかどうかを、俺が見極めるということになったのだ。


 責任重大だ……。


 アンナ辺境伯の話では、以前のヘルシング伯爵なら問題はないが、ここのところの変な評判から、ヘルシング伯爵自身もしくは領内に何かあった可能性が高いとのことだ。


 俺がヘルシング伯爵本人の状況と領内の状況を確認し、見極めることになる。


 アンナ辺境伯が疑問視しているのは、『ヴァンパイアハンター』であるはずのヘルシング家の中枢ともいえる領都の近くに『ヴァンパイア』のアジトがあるということだ。


 ヘルシング家は、嫡男以外は『ヴァンパイアハンター』としても活躍しており、他の地域に出向いて『ヴァンパイア』から人々を守る活動している家系なのだ。

 そのお膝元に『ヴァンパイア』が住み着くなど考えられないし、それをヘルシング家が発見できないのも不自然とのことだ。


 ただ『灯台もと暗し』という言葉もあるし……まさか自分のお膝元にいるとは考えていないのかもしれない。

 逆に『正義の爪痕』は、それを利用しているという可能性もある。

 巧妙で大胆な組織なので、ありえない話ではない。


 いずれにしろ今回のアジト攻略は、焦らずじっくり情報収集してからやることになった。

 ヘルシング伯爵が信用に足る人物であれば、正規のルートで討伐を依頼するということになる。

 もしそうでなければ、またそのときに対策を考えるということになった。


 それから前回のアジト制圧の際に、一体の『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』が『死人薬』を飲んで、『吸血魔物』になった件についても確認した。


 事前に『血の博士』から『死人薬』を渡されていて、飲んだ場合に起こるであろうことも大体は聞かさていたようだ。

 だが変性してしまうと戻る方法がないので、最後の手段としてだけ飲むように言われていたらしい。


 そして、やはり俺が考えた通り、拉致してきた人間で『下級吸血鬼』を増やして、その者たちには無理やりに『死人薬』を飲ませ、『吸血魔物』にして軍隊を作ろうとしていたようだ。

 『暗示』の力で従わせることができれば、恐ろしい軍隊になっただろう。

 死も恐れず魔物の力を宿して戦う不死身の軍団……考えただけで恐ろしい。


  『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』の軍団である『ブラッドワン』は、基本的に『死人薬』は使わない予定だったらしい。

 やはり『下級吸血鬼』を使い捨ての駒にしようとしていたようだ。


 考えることが本当に恐ろしいし、反吐が出る。


 『血の博士』についても、詳しい情報を引き出そうとしたのだが……


 『血の博士』は『ブラッドワン』のアジトには、あまり顔を出さないらしい。


 そして訪れるときも、白衣に仮面をつけていて、素顔は誰も見たことがないそうだ。

『ブラッドワン』のメンバーですら、『血の博士』についてはよくわかっていないようだ。

 さすが『謎の博士』と言われていただけのことはある。

 自分に関する情報の統制も、完璧にしていたということだろう。


 直属の急襲部隊である『ブラッドワン』ですら、直接連絡を取る手段がないようだ。

 博士からの連絡を待つ状態らしい。

 ただ『ブラッドワン』のリーダーだけは、何らかの連絡手段を持っていて、緊急連絡はできるようになっているようだ。


 この話からして、アジトを急襲したとしても『血の博士』を捕まえられる可能性はあまり高くないようだ……。

 ただ『ブラッドワン』のリーダーを捕まえられれば、『血の博士』をおびき寄せて罠にかけることができるかもしれない。



 これから、クリスティアさんとエマさんは、残りの『下級吸血鬼 ヴァンパイア』たち百五十三体の尋問を行うことになっている。

 幹部である『中級吸血鬼 ヴァンパイアナイト』たち以上の情報が拾えるとは思えないが、一応簡単な尋問を行うとのことだ。

 おそらく、明日いっぱいはかかるだろうとのことだ。


 多分大丈夫だと思うが、クリスティアさんたちの安全を考え、俺は明日一日この秘密基地に残ることにした。

 もっとも念のためにこの場所にいるということで、尋問自体はクリスティアさんたちに任せようと思っている。

 俺はその間、他のみんなと秘密基地の整備をしようと思っている。

 本格的に秘密基地らしくしていくつもりだ。


 アンナ辺境伯たちも、明日一日付き合うとのことだ。


 そして明後日の朝、俺が飛竜船でみんなを領都に送り、その後ヘルシング伯爵領に戻るという予定にした。



 今後の予定も立て一段落したところで、昼食にすることにした。


 みんなだいぶお腹が減っているようだ。

 リリイとチャッピーとミネちゃんは、「グウ〜」とお腹の音を鳴らしていたしね。


 ていうか……ミネちゃん……朝食をあんなに食べてたのに……お腹が鳴るって……恐るべしフードファイター。


 まぁ……もうお昼の時間をだいぶ過ぎてるけどね。


 ということで、まずは食堂を作ることにした。


 この秘密基地は、アリの巣状の構造になっている。

『土使い』の女性エリンさんが、『武器の博士』に強要されて作った人工的なものだ。


 それゆえに、ある程度は規則性のある構造になっているのだ。


 秘密の出入り口から地下に降りてくると、最初に大きな広場がある。

 一般的な体育館くらいの大きさだ。


 その広場から東西南北に一本ずつ通路が出ている。

 その奥に同じくらいの大きさの広場があって、その周りに小部屋がいくつも付随しているのである。

 広場の外周に直接小部屋がいくつも付いているのと、新たに通路が伸びていて、その先に中型や大型の部屋が付いていたりする。

 その部分は、あとから増設したのか不規則に構成されているのだ。


 俺は、西に広がるブロックを、飛竜船の格納庫や工作施設などに使おうと思っている。

 ドロシーちゃんの工作室と実験室もこのエリアに設置する予定だ。

 そういえば……ミネちゃん用の工作室も設置しないといけないんだった。

 あと飛竜たちの厩舎も設置する予定だ。


 それとは反対の東側のブロックは、居住スペースや食料倉庫にしようと思っている。


 まぁ居住する予定はないから、本当はいらないのだが……。


 ただ東側ブロックを居住スペースにすると言ったら、なぜか……ここにいる全員が自分の部屋を持つことになった……。

 どうして……? まぁいいけどね。


 そしてなぜか勝手に部屋が割り振られていた……。


 俺の部屋は、かなり大きめの部屋になり、そして特注の超巨大のベッドが設置されることになった。

 みんなで寝れる大きさということのようだ。

 まぁ子供たちはいいのだが……クリスティアさんやユリアさんやミリアさんまで、ベッドの大きさを議論していたのはちょっと引っかかる……。

 まさか子供たちと一緒に、俺のベッドに入る気じゃないよね……?

 さすがにそんなことはないよね……貴族の令嬢だし。

 子供たちはともかく……大人の女性に同じベッドに入られたら、ドキドキして眠れなくなりそうだからね。

 ……心はおじさんだからって……俺にもウブな気持ちはあるんだよ!

 家族のようなサーヤやミルキーと違い、第一王女や公爵令嬢と同じベッドにいたら、さすがにドキドキするでしょうよ!


 南側ブロックは、予備の居住スペースというか避難民などを受け入れる際のスペースとして整備することになった。

 まぁ実際そういう事態が発生するかわからないが、念のための構想だ。


 そして北側ブロックは、秘密基地としての機能を集積した主要な場所にすることになった。



読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、1日の予定です。


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[一言] 女性陣が注文する巨大ベッド! ・・・そしてノクターンへ・・・イイネ!
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