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354.有望果樹、発見。

 傷ついた兵士の回復も終わったところで、俺たちはシャリアさんと共に、このアジトの捜索を開始した。


 このアジトは、大きな山の裾野の地下に広がっているようだ。


 階層構造というよりは、アリの巣状に近いようだ。


 シャリアさんの話では、この近くには街も村もないので、アジトにはもってこいの場所のようだ。


 周辺には魔物も出没するようで、本当に人が近づくことはないらしい。


 このアジトの中には、他に人の気配はないので、囚われている人などはいないのだろう。


 俺たちは手分けして、捜索することにした。





  ◇





 一通りの捜索を終えて、最初にいた広場に戻ってきた。


 やはり他のアジトと同様に、大きな倉庫があり大量の食材がストックしてあった。


 それに家畜動物たちが飼育されているスペースもあった。


 飼われていたのは、牛、ヤギ、鶏だ。


 武器庫もあった。


 その中には、剣、槍、斧、弓、盾など一通りの武具があった。


 そして『操蛇の矢』『操蛇の笛』もストックされていた。

 『操蛇の矢』は十五本、『操蛇の笛』は三本置いてあった。


 お約束の『死人薬』も三十個ほど保管されていた。


 そして構成員たちが使っている『連射式吹き矢』と『連射式クロスボウ』が、約三十ずつ保管されていた。

 そして、その生産設備もあったのだ。

 この二つの武器は、ここで生産されていたようだ。

『道具の博士』の一番弟子の男と古参の助手たちで、設計し生産していたようだ。


『武器の博士』が作ったのかと思っていたが……そういえばクリスティアさんの報告では触れられていなかった。

  一番弟子男に軽く訊いてみたら、自分たちが開発したとあっさり認めた。

 というか……むしろ自慢気に鼻息を荒くしていた。

『武器の博士』のアイデアを、一番弟子男が実現させたようだ。



 探索結果の確認や押収物の確認を終えて、俺は念のため『波動検知』をかけた……


 ……やはり他に潜んでいる人間も魔物もいないようだ。


 もうなにもない感じだ。


 この前『薬の博士』のアジトを探索したときのように、気になる感覚は今のところ特にない。



 一応、シャリアさんに、この遺跡がなんの遺跡なのか訊いてみたが……


 ユーフェミア公爵とシャリアさんが王城で見つけた資料には、かなり古い時代の謎の遺跡としか書かれていなかったそうだ。


 シャリアさんたちも、この遺跡自体の詳しい調査をするつもりはないようだ。



 俺たちは、引き上げることにした。


 この遺跡で押収したものはセイバーン公爵領で引き上げて、調査するようだ。

 当然だろう。


 協力したかたちになった俺に対する報酬は、改めて考えると言われたのだが……

 俺はたまたま駆けつけただけなので、必要ないと固辞した。

 シャリアさんは、なにやら含みのある笑みを浮かべていたが……まぁ大丈夫だろう。


 このアジトの責任者と思われる『道具の博士』の一番弟子という男と、その取り巻きのような古参の助手たちについては、ピグシード辺境伯領の領城へ連行してほしいとシャリアさんに頼まれた。

 重要な情報を持っている可能性が高いので、『強制尋問』スキルを持つ第一王女で審問官のクリスティアさんの尋問を受けさせたいとのことだ。


 もちろん俺は引き受けた。


 シャリアさんたちは、捕縛した構成員たちを連れて、一旦近くの街まで引き上げるようだ。

 そこで構成員たちを檻に入れ、尋問も行うようだ。


 ちなみにシャリアさんの話では、ユーフェミア公爵は別の部隊を引き連れて、残り二カ所のアジト候補の遺跡を調査しているとのことだ。


 シャリアさんたちも合流する予定らしい。





  ◇





 俺は領城に戻ってきた。

 もちろんシャリアさんに頼まれた『道具の博士』の一番弟子の男と古参の助手たちも連れてた。


 俺はシャリアさんたちと別れた後、一番弟子男と助手たちに『状態異常付与』スキルで『眠り』を付与し、『領都』近郊にサーヤの転移で移動した。

 そして、そこから飛竜船に乗って、領城に戻ったのだ。


 もちろん表向きには、セイバーン公爵領内のアジトのあった場所からずっと飛竜船で戻ってきたということになっている。


 ただ結構な距離があるので、空を高速で飛行してきたにしても、多少の時間の辻褄合わせが必要な感じだった。

 そこでサーヤの転移を発動する前に、少し時間を潰してきたのだ。



 セイバーン公爵領内のアジトがあった場所は、山の裾野で周辺は自然あふれる場所だった。

 サーヤとミルキーと『ワンダートレント』のレントンと『ミミックデラックス』のシチミは、この周辺の探索をしながら待機してくれいた。

 そのときに、面白い植物を見つけたというので、それを見に行っていたのだ。


 それは果樹だった。

 しかも……俺が探し求めていた果樹だ!


 それは……アーモンドの果樹だった!


 気候的に生育条件に合っているから、探せばどこかに絶対あると思っていたのだ!


 これで……アーモンドチョコが作れる!


 ちょうど収穫時期でもあるので、実が大量に付いていた。


 俺は早速収穫した!


 そして枝も採取させてもらった。

 この枝を元にして、あとでレントンに苗木にしてもらおうと思っている。


 これでカシューナッツチョコとピーナツチョコに加え、アーモンドチョコまで作れるようになった!


 それからもう一つ……果樹を発見した!


 それは少し山を登ったところにあった。


 上空から周囲を警戒してくれていた『スピリット・オウル』のフウが見つけてくれたのだ。


 その果樹も、今が収穫時期でいい香りを漂わせていた。


 それは……梅だった!


 よっしゃ! 『梅干し』が作れる!


 新たな『おにぎり』の定番具材ゲットだ!


 そして個人的には梅酒が大好きなので、梅酒の製造にも取り掛かろう!

 もっとも焼酎から作る必要があるかもしれないが……。


 少なくとも梅シロップや梅ジュースは作れる。

 梅ジュースも大好きなんだよねぇ……ああ、楽しみだ!


 俺は、梅も大量に収穫した。

 もちろん梅の枝も持ち帰って、レントンに苗木を作ってもらうつもりだ。



 素晴らしい果樹を二つもゲットできてしまった!

 しかも収穫時期だったから、大量収穫だ!

 俺は……ニヤニヤが止まらない!



 そして『エンペラースライム』のリンちゃんも戻ってきた。


 この周辺のスライムたちを仲間に勧誘しに行っていたが、終えて帰ってきたのだ。


 結構早かったから、先に集まったスライムたちに任せてきたのだろう。

 あとから集まってくるスライムたちは、彼らが仲間にしてくれるという段取りのようだ。


 この場所は、魔物もそれなりにいるようで、スライムたちの数は多くないようだ。

 それでも、三十体は集まってくれたらしい。


 リンちゃんの話では、まだ周辺から向かってきているスライムたちがいて、最終的には五十体くらいにはなるようだ。


 このスライムたちも、いつもと同じように一旦大森林でレベルを上げてもらう予定だ。

 その後、ここに戻ってもらって自由に暮らしてもらえばいいと思っている。

 そのついでに、今回見つけた遺跡がまた悪の組織などに利用されないように、監視してくれればいいと思っている。



 という感じで、結構な時間をつぶしてから領城に戻ってきたのだ。



 さて、アンナ辺境伯たちが心配しながら待っているだろうから、報告しにいこう。


 


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次話の投稿は、9日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言]  アーモンドはスイート種とビター種があって、スイート種は生(というか焙煎して)食べられるけどビター種は苦味があってそのまま使えないから香料やアーモンドオイルに加工して使うんだとか。……まあ今…
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