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312.的確な、アドバイス。

「だいぶ苦戦したみたいだけど、かなり面白い戦いだったわね。それにしても…… フォウちゃんの……その魔法道具……久しぶりに見たわ。大昔に『ケンタウロス』の一族が結構使ってたのよね。空を駆ける『ケンタロス』は、敵なしって感じだったわね。人族の騎士でも使っていた人がいたわ。『イビラー迷宮』で手に入れたんでしょう。『イビラー迷宮』の前マスターは、かなりのマニアックな人間か人脈が豊富な人間だったんでしょうね」


 ミノショウさんが、戦いを終えたみんなに対する総評とアドバイスをはじめてくれた。


 『天翔(あまか)ける(ひづめ)』は大昔は、結構メジャーな魔法道具だったのだろうか……。


 それにしても『ケンタウロス』……見てみたい……。


「ほんとアタイにぴったりの魔法道具! 手に入ってよかった! これで空も陸と同じように駆け抜けられるし、空の敵もアタイに任せなって感じ!」


 『スピリット・ブロンド・ホース』のフォウが、誇らしげにそう宣言した。


「そうね。その魔法道具は、空を駆ける状態と地面を駆ける状態を任意に切り替えられるはずだから……いつも装備する必要はないけど、戦闘に突入した時点で装備することをお勧めするわ。あと……フォウちゃんも、遠距離攻撃の手段はなにかあったほうがいいかもね。今のところ『種族固有スキル』の『黄金の道(ブロンドロード)』は、ほぼ命中できるみたいだけど、より強い敵と対するときは牽制攻撃をしながら突撃した方が確実だと思うのよね。『共有スキル』で『風魔法』『雷魔法』などがセットされているようだし、『種族固有スキル』を発動しながら、同時に魔法スキルなどが使えるように練習しておくといいと思うわ」


 ミノショウさんは、改めてフォウにアドバイスしてくれた。


 やはり『種族固有スキル』一辺倒というよりも、他のスキルとの組み合わせて幅を広げた方がいいのだろう。


「うん! そうする! アタイ頑張るよ!」


 フォウはそう言いながら、鼻息荒く地面を蹴った。


「サーヤちゃんは、攻守共にいいバランスね。魔法の盾での防御もいいし、魔法銃での遠距離攻撃そして大鎌での近接戦闘もいい感じだったわ。あとは全体の戦況を見ながら、臨機応変に動くことが大事だからそこを磨けばいいんじゃないかしら。あの魔法の盾の二つに分離できる特性を活かして、シールドバッシュのような盾による打撃を強化したらいいと思うわ。盾を打撃武器のようにして、左右でラッシュ攻撃なんかしてもいいかもしれないわね。サーヤちゃん、意外とそういう力任せの容赦ない攻撃が好きそうだし……」


 ミノショウさんは、サーヤに的確なアドバイスをしてくれた。

 サーヤの隠されたドSを見抜いている感じだ。さすがである。


「そうですね。より精進いたします」


 サーヤはそう言って、ミノショウさんに頭を下げた。

 “力任せの容赦ない攻撃が好き”というところを否定しなかったということは……やはりそうなのか……。

 俺のお尻をつねるときも……どことなく嬉しそうな感じなんだよね……トホホ。


「ナーナちゃんの『固有スキル』は、かなり強力ね。消耗が激しいようだから、使いどころが難しいんだろうけど……。やっぱり最後の切り札か、ピンチの時の逆転技にとっておいた方がいいかもね。『魔法の銃剣』での遠距離攻撃からの接近しての刺突攻撃は、いいコンビネーションだったわね。あとは『固有スキル』を使わない状態でも、サーヤちゃんと同じように壁役ができるといいんだけどね」


 ミノショウさんがナーナについて、そんなアドバイスをしてくれた。


 やはりナーナの固有スキル『人馬車一体(じんばしゃいったい)』の評価が高いようだ。

 確かにあのスキルは強力だから、使いどころが一番のポイントだよね。

 それだけに『固有スキル』を使わないでも、充分通用するぐらいに修練するのはいいことだと思う。


「わかりました。私も精進します。それから……なにか一工夫できそうな気もするので……考えてみます」


 ナーナはそう答えた。

 なにか工夫するアイデアがあるのだろうか……。


 『家馬車』自体が結構魔改造されてるから……その装備を使えば壁役ができそうな気はするが……

 ただ万が一『家馬車』が破壊されるとナーナが行動不能になっちゃうからな……。

 やはりなにか一工夫……考えた方がいいようだ。


「ミルキーちゃんはねえ……魔弓の性能もあるんだろうけど、弓の腕は一級品ね。『ロングアタッカー』としては合格よ。もし接近戦の乱戦になったときは、なにで戦うのかしら?」


 ミノショウさんも、ミルキーの弓の腕を評価しているようだ。


「今回は使いませんでしたが、もし接近戦で弓が使えない状態になったら、私はこの武器を使います」


 ミルキーはそう言って、『アイテムボックス』から三節棍を取り出した。


 この三節棍は、長い棒が三箇所で折れ曲がり、自由な軌道で攻撃できる打撃武器なのだ。

 これもカンフー映画なんかで、たまに使われていた武器だ。


 これも前にシチミの『宝物召喚』で出た武器で、『名称』が『魔鋼の三節棍』で『階級』は『上級』になっている。

 アッキーが使っていた『魔鋼のヌンチャク』と同じシリーズの武器かもしれない。

 やはり魔力調整で重量が変えられるので、打撃のときに重量を増大させ破壊力を大きくすることができるようだ。


 今回は使わなかったが、ミルキーはこの『魔鋼の三節棍』を使いながら、体術での蹴りなどの組み合わせた攻撃をいつも練習している。

 俺が見る限り、接近戦でもミルキーはかなり強いと思うんだよね。


 ミルキーは兎の亜人ということもあり、脚力はかなり強いし動きも俊敏なのだ。

 本来、ミルキーには格闘戦闘が向いているのかもしれない。


 そう考えるとミルキーも、本来の適性からいえば『アタッカー』の方が実力を発揮できるのかもしれない。


 多分……俺のせいだけど……俺の仲間たちって……本来の適性じゃないポジションや攻撃方法で戦う子たちが結構いるんだよね……。


「なるほどね。良さそうね……。ある程度接近戦になったら、迷わず武器を持ち替えて『アタッカー』ポジションにチェンジしてもいいと思うわ。その時はアッキーちゃんたちが、臨機応変にポジションチェンジしてフォローしてあげて。全体で連動することが大事よ」


 ミノショウさんは、改めてそうアドバイスしてくれた。


「わかりました。連動を含めてもう少し訓練します」


 ミルキーが笑顔でそう答えた。


「ちなみに、アッキーちゃんたちは、遠距離攻撃するときは何を使うの?」


「私たちは、普通は使いやすい『クロスボウ』ですけど、より威力のある攻撃ができるように、今はグリムさんが作った『双蛇弓』を練習しているところです」


 ミノショウさんの質問に、アッキーが代表して答えた。

『クロスボウ』よりも『マグネ一式シリーズ』の『双蛇弓』の方が威力があるので、みんな練習しているのだ。


「なるほど……やっぱり弓系の武器なわけね……。もちろんそれも磨いてほしいけど、中には物理攻撃が効きにくい魔物もいるから、魔法攻撃もうまく使えるようになった方がいいと思うわ。『共有スキル』にセットされている『風魔法』と『雷魔法』は、できるだけ使いこなせるように練習を積んだ方がいいと思う。そうすれば、攻撃にかなりの幅ができるから」


 ミノショウは、アッキーたち三人に、そうアドバイスしてくれた。


「「「はい、わかりました!」」」


  三人は元気にそう答えた。


「それからアッキーちゃんのヌンチャクは、だいぶ使いこなしている感じね。いい連続攻撃だったけど、さっきみたいに大きな相手に対して時間をかけすぎると、反撃されてしまうから戦い方に工夫が必要ね。最初はもどかしいかもしれないけど、ヒットアンドアウェイで攻撃と撤退を繰り返す練習をした方がいいかもね。あとは虫の魔物だったら、足を一本ずつ粉砕していくとか確実な攻撃を積み重ねる戦い方もあるわよ」


 ミノショウさんは、アッキーのヌンチャク攻撃に関してもアドバイスをしてくれた。


「はい。ありがとうございます。そういう戦い方ができるように練習します!」


 アッキーが元気にそう答えた。


「それからユッキーちゃんの鉄球も豪快で良かったわね。ちょっと笑っちゃったけど……私好きよ。ああいう力任せの攻撃……。ただ……あなた頭良さそうだし、冷静な感じだから……力任せに見えて緻密に計算している感じがするけどね。 魔力調整をもう少し練習して、攻撃のスピードを上げて連続攻撃できるようになったらいいと思うわ。鉄球によるラッシュ攻撃なんて……なかなかいいと思うのよね……ふふ」


  ミノショウさんは、微笑みながらユッキーにそう言った。


「さすがです。まったく同意します。必ずそういう使い方ができるようにします。鉄球の使い手になります!」


 ユッキーが冷静な感じでそう答えたが、目の奥にはやる気が漲っている感じだ。


「ワッキーちゃんはねぇ……『固有スキル』による攻撃自体はいいんだけど……ちょっと単調になりがちな印象があるから、体術をもうちょっと磨いて組み合わせた攻撃ができるといいと思うわ。あと『立体軌道』スキルと組み合わせたり、身につけられたら『空中殺法』スキルもいいわね。縦横無尽な攻撃ができるから、隙がなくなると思う」


 ミノショウさんは、ワッキーにも的確なアドバイスをしてくれた。


「うん。なんとなく……わかった。とにかく……いろいろ動きながら戦うようにする!」


 ワッキーはそう言って、満面の笑みで元気よく返事した。


 大丈夫だろうか……わかってないような気がしてならないが……

 まぁいいだろう……。


 アッキーとユッキーが、ゆっくり時間をかけて教えてくれるに違いない……。


 そんな感じでちらっと二人の方に視線を送ってしまったら……


 二人は……「わかってます」というような表情で、おおきく二回頷いた。


 ワッキーは、『イビラー迷宮』で手に入れた『上級』階級の『魔法のボール』は今回は使わなかったようだ。

 まだ使いこなせるようになっていないらしい。

 サッカーボールサイズで、魔力を通しておくと、蹴り出しても自動で戻ってくるという機能がある。

 上手く使えるようになると、牽制攻撃なんかでも使えると思うんだよね。

 そうすれば攻撃に幅ができるし。

 結構練習しているようだから……というよりも実際は楽しくボール遊びをしている感じだが……今後に期待しよう。



 このチームも、ミノショウさんの総評が終わり、本来のポジションを意識した二回目の戦闘に突入した。


 ミノショウさんのアドバイスもあり、三回目、四回目と戦闘を繰り返すたびに、みんなでいろんなポジションを試しながら戦っていた。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

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次話の投稿は、28日の予定です。


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