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301.飛竜船で、遊覧飛行。

 報奨金の話が終わり、ユーフェミア公爵から今後の予定についての話があった。


 ユーフェミア公爵とシャリアさんは、『ナンネの街』を経由して、一度セイバーン領に戻るとそうだ。


 ずっと留守にしてるから……そりゃそうだよね。


『正義の爪痕』のアジト探索の手配や、今後のテロ対策などを見直すとのことだ。

 セイバーン公爵領は、ピグシード辺境伯領よりも遥かに大きいので、テロ対策と一口に言ってもかなり大変だと思う。


 ゲンバイン公爵家長女で王立研究所の上級研究員のドロシーちゃんは、領城に簡易ラボも作ったので、しばらくはここで解析にあたるようだ。

 第一王女で審問官のクリスティアさんと護衛のエマさんも、引き続きここに残りドロシーちゃんを手伝うとのことだ。


 俺はミリアさんと一緒に『ナンネの街』に戻り、より早く復興を進めたいと思っている。

『フェアリー商会』の各部門の営業をできるだけ早く始めることも、復興を進めることになる。

 特に『チョコレート』の生産体制と『レインボーシルク』の生産体制を早期に確立する必要があるからね。


 明日には出発する予定だ。


 その準備として、俺は午後から『ナンネの街』に連れて行くメンバーの飛竜騎乗訓練をしようと思っている。

 吟遊詩人のアグネスさんとタマルさん、そして『フェアリー商会ナンネ支店』の立ち上げメンバーであるカイラーさん、メリッサさん、タイラーさんだ。

 カイラーさんたちは、奴隷商館から保護して俺の奴隷というかたちになっている人たちの大人メンバーだ。


 俺の奴隷になっている人たちの中の子供メンバーは、十三歳のアレックスちゃん、十一歳のレナちゃん、八歳のマギーちゃん、六歳のモン君だ。


 下の二人は飛竜に騎乗するのは少し無理があるので、違う輸送手段を考えることにした。

 リリイたちも八歳だが、普通の八歳とは大分違うからね……。


 その輸送手段を、今から作る予定なのだ。


 …………空飛ぶ船を作ろうと思っているのだ!


 まぁ空飛ぶ船とはいっても、ただ船の形のものを飛竜たち八体に引っ張ってもらうだけの話なんだけどね。

『飛竜船』とでも名付けようと思う。


 『家精霊』ナーナの『家馬車』や『竜馬(りゅうま)』のオリョウや『スピリット・ブロンド・ホース』のフォウといった大型で飛竜に乗れないメンバーも、運べるように少し大きめの船を作ろうと思っている。


 形としては…………『屋形船』的なイメージにしようかと思ってる。

 横幅のある平船をベースに、中央部分にボックス型のお座敷ユニットを付けようと思っている。

 畳がないので、椅子とフローリングスペースにしようと思っているが……。

 船の後部スペースは広く開けておき、『家馬車』やオリョウ、フォウたちのスペースにしようと思っている。



 俺は『トレント』のレントに協力してもらい、早速『飛竜船』を製作した。


 水上船としても使いたいので、水が漏れないように板を密着させて作った。

 レントンのスキルを使うと、板材を変形させて簡単に形成できるので、非常に楽で助かる。


 中央部分に配置するボックス型のお座敷ユニットは、分離して馬車としても活用できるような作りにした。


 一応、船自体にも車輪が取り付けられるようにして、水陸両用の構造にしてみたが……

 普通の大型馬車の二倍以上の横幅なので、実際の運用には少し無理がある……

 実用性の無いただのロマン仕様になってしまった……。

 ただ水陸両用と飛行可能というのは、結構いい感じだ……ロマン仕様万歳!


 板材は、霊域の倒木がまだいくつか残っていたので、それを使った。



 飛行は、船の左右に四カ所合計八箇所のワイヤーを繋ぎ、それを八体の飛竜で引き上げてもらう形になる。

 ワイヤーの先には、飛竜が掴むための持ち棒を取り付けている。

 この棒を足で掴みながら飛行してもらうことになるので、通常の飛行よりもかなり大変だと思うが、『共有スキル』で強化されている飛竜たちなら大丈夫だろう。


 できるだけ強固な素材を、ワイヤーとして使いたいのだが……


 『魔鋼(まごう)剛糸(ごうし)』を使うことにした。


 これはさっき『イビラー迷宮』の宝物庫から持ってきたものだ。

 参考のために持ってきた物だが、早速使えるとは思ってもみなかった。


『魔鋼』の性質を反映して、魔力を通すと強度が増し軽くなる糸なのだ。


 元々は『アラクネ』のケニーの出す強い糸を何重にも編み込んだ物を使おうと思っていたのだが、せっかく手に入れたし、『魔鋼』は『アラクネ』の糸よりは普及している素材なので採用してみることにしたのだ。


『魔鋼』は、『魔鉄鉱』という特別な鉄鉱石に、大量の『魔芯核』を練りこんで作り上げる魔法素材だ。

 希少な素材ではあるが、現代でも作る事が出来る素材なのだ。

『魔芯核』は、魔物の核のような存在で、俺の『波動収納』には大量にある。

 もっとも、ほとんどは魔物の死体としてストックされているので、『魔芯核』単体としてストックしてあるのは、それほど多くないけどね。

 今まで領軍などで回収したものを俺の取り分として貰ったものだが、普通に考えればそれでもかなりの量ではある。



魔鋼(まごう)剛糸(ごうし)』は、比較してみないとわからないが、おそらくケニーの糸と同等程度の強度があるのではないだろうか。




  ◇




 午後になって、飛竜騎乗の訓練と『飛竜船』の飛行テストのために、訓練メンバーに集まってもらった。


 俺が作った『飛竜船』を見たいということで、アンナ辺境伯やユーフェミア公爵を始めとしたいつもの会議メンバーも集まってしまった。


 せっかくなので皆さんにも協力してもらい、前に俺たちに教えてくれた時のように、マンツーマンで今日の訓練メンバーに教えてもらうことにした。


 ただ訓練メンバーのみんなは、ただでさえ緊張してるのに教師役が辺境伯や公爵、貴族の令嬢となって更にガチガチになっていた……。

 なんだか……可哀想なことになってしまった。


 飛竜の騎乗ではなく『飛竜船』に乗って移動する予定の子供たちも、積極的に飛竜の騎乗を習いたいと言ってきたので、許可することにした。

 さすがに六歳のモン君は危ないと思ったのだが、やりたいという強い希望だったので、俺が直接教えることにした。


 みんな意外とセンスが良くて…… しばらく訓練すると乗れるようになってしまった。

 六歳のモン君まで……

 まぁこの飛竜たちは、みんな俺の『使役生物(テイムド)』なので、通常の騎乗に比べれば遥かに簡単ではあるのだが……

 それでも落ちないようにするには、自分でちゃんとバランスを取るしかないから訓練するに越したことはないのだ。



 そんな感じでみんな乗れるようになったので、無理に『飛竜船』で行く必要もなくなってしまったのだが……


 みんなは、お待ちかねな感じなので『飛竜船』のテスト飛行することにした。


 最初は何か不具合があったら大変なので、俺だけで乗ろうと思ったが……

 そんな俺の説明をガン無視して、辺境伯たちがガンガン乗ってきてしまった……トホホ。


 まぁ落ちることは考えられないし、何かあっても俺が対処できるとは思うが……。


 ということで……出発することになった。


 左右四体ずつ八体の飛竜が羽ばたき、船が浮かび上がる。


 最初は羽ばたきの風圧がかなり激しいのだが、ボックス型のお座敷ユニットの中に入ってしまえば、それもあまり関係ない。


 一番心配なのは、揺れだったのだが……


 思ったよりは揺れなかった。


 飛竜が羽ばたきながら運んでいるので、当然揺れることは織り込み済みだが……ワイヤーの距離が長くとってあるので、それほど揺れないで済んでいる。


「こりゃいいねー……。もっと揺れるかと思ったが、この程度じゃ上出来さぁ……。飛竜に騎乗して長い時間を移動することを考えたら、遥かに快適なんじゃないかね……」


 ユーフェミア公爵はそう言って、豪快に笑った。


「そうですわね。でも姉様、私たちは揺れに強いから問題ありませんが、船酔いする人ならこの『飛竜船』でも酔うのは確実ですわね。船と同程度の揺れはありますから……」


 そう言って、アンナ辺境伯も笑っていた。


 なんだかみんな凄く楽しそうだ。


「これは凄いですわね。おそらく飛竜たちの一糸乱れぬ統率が必要でしょうけど。さすが……凄腕テイマーですのね」


 第一王女で審問官のクリスティアさんがそう言って……なんか俺に熱い視線を向けてきている……


「これはいいですよ! 王国で普及させるように、改良できないかな……」


 王立研究所の上級研究員のドロシーちゃんがそう言って、腕組みしながら頭をひねりはじめた。


 確かに……ドロシーちゃんが改良してくれて、揺れを少なくしたり、居住性を高めてくれたらありがたいんだけど……。


「それはいいですね。なにか安全性や乗り心地を高める改良をしてもらえると、凄く助かります。特に浮遊できる魔法道具のようなものはないでしょうか? 万が一落下した場合でも、地上ギリギリで浮遊して停止できれば、格段に安全になるのですが……」


 俺はそう言って、ドロシーちゃんに要望を伝えた。

『浮遊』スキルは持っているが、魔法道具は持っていないからね。

 魔法道具としても『ハイジャンプベルト』はあるが、あれをそのまま『飛竜船』には使えないし……。


「そうですね……。浮遊の魔法道具は存在したはずです。ただ現代の魔法道具職人が作れるかどうかは微妙ですね……。私の新たな研究テーマにしようかしら……でもこれで研究テーマが十三個になっちゃうけど……ま、いっか……」


 ドロシーちゃんはそう言うと、何か楽しそうにニコニコしながら一人ブツブツ言い出した。


「万が一、飛行中に敵に遭遇した場合に備え、弓矢やクロスボウなどの飛び道具を揃えておいた方がいいですね」


 クリスティアさんの護衛のエマさんが、護衛らしい意見を出した。


「そうですわね。飛竜たちがもし傷つけられたら、この船もバランスを崩して危険になりますわね」

「確かに。飛竜たちに何か……軽鎧のようなものを身に付けさせられないかしら……翼部分は無理にしても……頭部や体のところだけでも……」

「魔法道具でバリアが張れるようなものを、身に付けさせるのもいいですわね」


 セイバーン公爵家の三姉妹シャリアさん、ユリアさん、ミリアさんがエマさんの意見を受けて、そんな指摘をしてくれた。


「確かにそうですね。飛竜たちを保護するものあるといいのですが……」


 俺の飛竜たちに限って言えば、『共有スキル』で防御機能が強化されているので特に何も必要ないが、一般的に普及させるためには、考えた方がいいことではある。


 俺がドロシーちゃんの方に視線を流すと……


「わかりました! やはりこの『飛竜船』を普及するためには、様々な魔法道具を活用する必要がありそうですね。私が考えます。場合によっては、魔法道具も作ります!」


 そう言って、ドロシーちゃんが男前な表情を見せた。


 というか……ドロシーちゃん魔法道具を作れるの……!?

 さすが王国一の天才……


 今度是非教えてほしいわ……



 そんな話をしつつ……俺たちの楽しい遊覧飛行は続いた。


 途中からはチョコレートと、炭酸入りフルーツジュースを囲んでの優雅な旅になった。


 …………どうしてこうなった?





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、17日の予定です。


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