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279.コウリュウド式伝承武術の、実力。

「コウリュウド式伝承剣技! 龍閃(りゅうせん)! トオッーーーーーー!」


 近衛隊のゴルディオン隊長が、凄まじい勢いで『死人魔物』の懐に迫り、剣を一閃させた!


 裂帛の気合いと共に、走りよりながら居合斬りのように、下から上に斬り上げ、『死人魔物』の右脇の下から斜め上に、頭まで切り裂いたのだ!


 凄まじい剣技だ。

  おそらく、必殺技の類だろう。

 いきなり発動したようだ。


「コウリュウド式伝承槍技! 龍風(りゅうふう)! トアッーーー!」


 今度はセイバーン公爵家三女で『ナンネの街』代官のミリアさんが、槍の連続突きで『死人魔物』を穴だらけにした!

 高速の六連突きのようだ。

 並みの兵士では、目視することができないような速さだ。

 連続する“突きと戻し”で、周囲に風が巻き起こっている。

 これも必殺技なのだろう。

 かなりの訓練をつまないと、できない感じの技だ。

 成人したての十五歳で、こんな技まで会得しているのか…………

 セイバーン家……ドンダケ女傑揃いなんだ!


 他の兵士たちも、『死人魔物』と互角以上に戦っている。

 前回のアンデッドたちとの戦いで皆レベルが上がっているし、このまま任せても大丈夫な感じだ。

 ちなみにゴルディオンさんはレベル46、ミリアさんはレベル37まで上がっている。


 念のため、『威圧』スキルを使って『死人魔物』のステータスを下げておいたけどね。



 外壁の外のアンナ辺境伯たちも、互角に戦っているようだ。


 タトルが防御壁を外して、兵士たちが戦えるようにしたようだ。


 タトルは『共有スキル』にセットしてある『浮遊』で浮き上がり、『空泳』で空を泳いでいる。

 そして加速をかけると、手足と頭を引っ込めて高速で回転し始めた!

 そしてそのまま円盤のように飛んでいき、『死人魔物』の頭を粉砕した!

 まるで某有名カートレースゲームの亀のキャラクターがスピンしたときのような感じだ!


 いつの間にあんな戦い方を覚えたのか……タトル侮れない!



「コウリュウド式伝承剣技! 龍の(あぎと)! ヤッーーーーーー!」


 おお、第一王女で審問官のクリスティアさんが、必殺技を出した。

 二刀流だ!

 元第一王女のユーフェミア公爵も二刀流だったが……この国の王族は、基本二刀流なんだろうか……。


 左の剣が下から、右の剣が上から『死人魔物』を斬り付け、なんと体を三枚におろしてしまった!


 多分だけど……二本の剣が上下もしくは左右から振るわれることで、龍が噛み砕くような威力を出す……そんな技なのだろう。

 名前からしてそんな感じだ……。



「コウリュウド式伝承剣技! 龍尾(りゅうび)! タアッーーーーーー!」


 今度は、護衛の近衛騎士エマさんの必殺技だ!


 ダッシュで『死人魔物』に近づくと、ジャンプして体を横に滑らせながら剣を横薙ぎに斬り付けた!

 ダッシュの突進力で威力を増した剣が、『死人魔物』のガードしている腕ごと頭を横に裁断した!


 凄いスピードだ!

 並みの兵士では、剣の軌道を目で追うことができないだろう。


 さすが王国の近衛騎士団第三位の称号を持つ人だけある……。


 緊急事態なので『波動鑑定』させてもらったが、レベルが46もあるようだ。

 ちなみに第一王女のクリスティアさんはレベル38だ。

 ユーフェミア公爵といい、この国の第一王女は、いつもこんなに武闘派なのだろうか……。



「コウリュウド式伝承斧技! 龍爪(りゅうそう)! ダアッーーーーーーーー!」


 今度は、ピグシード軍守備隊のシュービル隊長が必殺技を出した!

 長手斧の技のようだ。

 槍の先が斧状になっているもので、扱いが難しいので、好んで使う者は少ないらしい。

 俺の『マグネ一式』シリーズでも、敢えて作らなかった武器だからね。


 右上から左下に振り下ろす、そのまま刃先の向きを変え右上に斬り上げ、再度刃先の向きを変え左下に斬り下ろす。三連続の攻撃だ!


 スピードもかなり出ていて、バランスの悪い長手斧に振り回されずに技を繰り出すには、かなりの怪力が必要だろう。

 ある意味、力技ともいえるが、凄い技だ。

 シュービルさんは、レベル42だ。



「コウリュウド式伝承弓技! 龍の雷光(らいこう)! ハッーー!」


 ビュンッ——

 ビュンッ——

 ビュンッ——



 今度はアンナ辺境伯だ!

 弓の必殺技らしい。


 弓を高速で、三矢連続で発射した!

 一射目が空に向けて、二射三射が正面の『死人魔物』に向けて放たれた!


 すると二射目が左胸に当たり、三射目がヘソの下『丹田』の辺りに当たった!

 そしてなんと……一射目が天空から稲妻のように脳天を突き刺さした!


 頭、左胸、丹田……三矢を線で結ぶと……ギザギザとなり、まるで(いかずち)のような形になっている。


 おそらく……二射目三射目で動きを止め、一射目でトドメとなるのだろう。

 もっとも三矢とも急所に刺さってるから、普通の対人戦闘なら胸に当たった時点で終わりだろうけどね。

 魔物用の技なのかもしれないね。

 それにしても……寸分違わぬ超絶技巧がなければ、絶対にできない技だと思う。

 弓が得意なのは、前回の『死霊使い』戦でわかっていたけど……

 そしてその後も密かに、「勘を取り戻す」ためと言って弓の練習をしていたのは知っていたが……

 この技……「勘を取り戻す」とかいうレベルじゃないよね……アンナ辺境伯の実力っていったい…………。

 ちなみにレベルは38だ。



「コウリュウド式伝承剣技! 龍腕(りゅうわん)! エーーーーーーイッ!」


 今度は、セイバーン公爵家次女で執政官のユリアさんだ!

 いつもの剣とは違う、巨大な幅広の剣を振り上げている。

 まるで斬馬刀のような、ユリアさんには不似合いな大剣だ!


  『死人魔物』に走りよったユリアさんが、軽く上にジャンプしながら振り上げた大剣を叩きつける!


 な、なんと……剣刃を立てずに横に寝かせ、広幅な状態にしてそのまま頭を打ちつけた!


 これは刃で斬る攻撃ではなく、広幅の部分で殴打する打撃技のようだ。

 おそらく……名前からして龍の腕で踏み潰すようなイメージなのだろう。


 当然、もろに食った『死人魔物』は体を半分以上地面にめり込ませ、頭の部分は砕け散って無くなっていた。


 かわいい感じの美人であるユリアさんのキャラには、全く似合わない攻撃だ。

 どうやら……怪力キャラのようだ。

 そして食いしん坊キャラでもあるし……意外性がありすぎて……わけわからん!

 それに前に話した時は、魔法が得意なようなことを言っていたのに……なぜ魔法攻撃でなく物理攻撃をしているのか……

 もしかして……バトルジャンキーな一面もあったりして……

 うーん……もうこれ以上……考えるのはやめておこう……。

 ユリアさんは、レベルが上がって39になっている。



 それにしても、みんな……なにかの鬱憤を晴らすかのように……超絶技巧の必殺技のオンパレードじゃないか……。


 コウリュウド王国の始祖たる初代王から、代々伝わっている伝承武術……『コウリュウド式伝承武術』というらしいが…………凄すぎる……。


 リリイとチャッピーが、ゴルディオンさんやエマさん、セイバーン家の皆さんから習っていたのは、この『コウリュウド式伝承武術』の基礎にあたる『基本剣技』の型のようだ。

 将来、こんな必殺技が使えるようになったら凄いな……。

 楽しみだ!


 ちなみに、各地の領軍や衛兵隊も、この『コウリュウド式伝承武術』の基礎に当たる『基本剣技』や『基本槍技』『基本斧技』『基本弓技』を修練で習得しているらしい。

 優れた兵士や衛兵は、必殺技を取得することもあるようだ。

 ただそれには、かなりの修練が必要となるようだが……。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、26日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] >そして加速をかけると、手足と頭を引っ込めて高速で回転し始めた! いやガ〇ラだろ、空飛んでるしw
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