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269.迷宮の、捜索。

 俺は大森林をあとにし、領都に戻った。

 そして、早速迷宮探しに出かけることにした。


 ミノショウさんからもらった情報によれば、『マシマグナ第四帝国』のテスト用迷宮の一つが、この領都のすぐ近くにあるのだ。

 その迷宮に関しては、大体のエリアではなくピンポイントに場所を教えてもらえたので、すぐに探せると思っている。


 領都の東門を出た東に続く街道の周辺にあるようだ。

 しかも領都に近い場所だ。


 俺は飛竜に騎乗し、上空から街道沿いを探す。


 目立つ構造物のようなものはないので、おそらく『アイテマー迷宮』と同様に地上部分が破壊され、地下の迷宮部分だけになっているのだろう。


 上から見ても、入り口のようなものは見つけられない。

 一旦下に降りて探すことにする。


 だが地上から探しても、入り口のようなものは見つけられない……。


 一番の問題は、迷宮もしくは迷宮遺跡の存在よりも、それを『正義の爪痕』が使っているかどうかということだ……。


 そこで俺は、この周辺一帯に人の気配がないか『波動検知』で探ってみることにした。


 そもそも人の気配がなければ、仮に迷宮遺跡があったとしても『正義の爪痕』が使っているわけではないということになる。

 それなら、無理に探し出す必要もない。


 波動検知————


 …………………………


 …………人の気配はないようだ。


 ミノショウさんの情報通りに、ここに迷宮もしくは迷宮遺跡があったとしても、『正義の爪痕』に利用されていることはなさそうだ。


 現時点では、無理に探す必要はないかもしれない。


 今日のところは、一旦引き上げるか……

 そう思って、帰ろうとしたその時だった。


 ……なにかを感じた。


 俺は引き寄せられるように、気配の方に向かって歩いた。


 東に続く街道から見える場所で、以前荘園の村があった場所の近くだ。

 一番外側の荘園の村だった所の畑の跡地……いや……そこに隣接する草原だ……そこになにか感じる……。

 この感覚は……なんなのだろう……

『財宝発掘』スキルの効果なのか……それとも違うなにかが作用しているのか……


 俺は感覚に従って……一番強く感じる方向に向かった。

 ……近づくと……一面の草原で、特に迷宮の入り口らしきものはない。


 もしかしたら、この下に入り口があるのだろうか……


 俺は『波動収納』から、前に『家精霊』のナーナに作ってもらったスコップを取り出す。


 地面を掘ってみることにした。


 限界突破ステータスのお陰で、ほとんど疲れを感じずにサクサク掘れる。


 直径五メートルほどの円形の穴を三メートルくらい掘ったところで、硬い岩に突き当たった。


 その時、突然硬い床が左右にスライドした!


 開いた空間には階段が出現していた。


 どうやら、当たりのようだ。


 迷宮の入り口に間違いないだろう。


 俺は早速、中に入る。


 地下に降りると、直径二十メートルくらいの円形の空間になっていた。

 一カ所、扉のようなものがあるので近づいてみたが……開く気配は全くない……。


 ここが本当に『テスター迷宮』の姉妹迷宮なら、地下一階層から階層封鎖が機能しているのかもしれない。

 休眠中なのではないだろうか。


 そう思っていると……


 突然、立体映像が目の前に現れた!


 紫髪の女性だ。

 やはり……『テスター迷宮』管理システムのダリーに似た感じの……日本人顔の美人だ。

 そして、ダリーと同じような白いマントに身を包んでいる。


 間違いないようだ。


「『テスター迷宮』及び『アイテマー迷宮』のダンジョンマスター様、ようこそおいでくださいました。私はテスト用第二号迷宮である『イビラー迷宮』の迷宮管理システムです」


 立体映像がそう挨拶をして頭を下げた。


「俺はグリム、よろしくね。早速だけど、この迷宮は生きていて、休眠状態ということでいいのかな? 」


 もう三回目なので、だいぶ慣れた。

 それゆえに、単刀直入に質問をぶつけた。


「はい。その通りです」


「この迷宮には、ダンジョンマスターはいないのかい?」


「はい。おりません。迷宮は休眠状態です。限定的な情報収集機能により、あなた様の波動情報を確認させていただきました。私の姉妹迷宮のマスターであるあなた様を確認し、限定的に稼働し出現致しました」


 立体映像はそう言うと、画像が乱れる感じで若干震えた。

 どことなく、力ない感じだ……。


「この迷宮の機能も損傷しているのかい?」


「現時点では、大きな損傷はないと考えられます。ただ長い休眠にありましたので、多少の損傷はあります。詳しい状況を確認するには、再起動する必要があります」


「大きな損傷がないのなら、そのまま休眠状態の方がいいんじゃないのかい? 稼動したらこの迷宮の存在に気づかれ、攻略しに来る者が現れるかもしれないよ……」


  一番の安全策は、現状維持ではないかと思い、そう尋ねてみた。


「はい。その可能性はございます。ただできれば一度再起動をして機能を確認・補修した後に、再度休眠するのが最善と考えます。再起動のために我が迷宮のダンジョンマスターにも就任していただきたく、お願いいたします」


 やはり……そうくるよね。

 もう二つも引き受けてるから、別にいいけど……。

 いい状態で保存するためにも協力はしたい。

 それに俺が『ダンジョンマスター』になれば、他の者に見つけられても悪用されることもないし……。


「いいよ。ダンジョンマスターを引き受けるよ、再起動には、どれくらいの時間がかかるんだい?」


「はい。大きな損傷が見当たりませんので、再起動自体は数日で終了すると思われます。可能性は低いですが、大きな機能損傷が発見された場合は、復旧モードに入ります。その場合はさらに時間がかかりますが、実際の時間はわかりません」


「再起動終了後に迷宮を稼働させることと、再度休眠させること、どちらが安全なんだい?」


 俺はそんな疑問をぶつけてみた。

 俺的には、かなり難しい判断なのだが……


「はい。難しい質問ですが……誰にも発見されないという前提ならば休眠の方が安全です。もし誰かに発見され、無理矢理迷宮内に侵入される可能性を考慮すれば、稼動させた方が安全といえます。侵入があってから再稼動させたのでは、しばらく無防備な状態が続きますので……」


 うーん、やはり判断が難しいなぁ……


「例えば……迷宮を稼働状態にして、かつ誰にも発見されないように入り口を封印しておくことはできるのかい?」


「理論上は可能です。ただ稼動状態になっていれば、スキルや特殊なアイテムなどの所持者により発見される可能性は高まります」


 なに……?

 そんなスキルやアイテムもあるのか……


 まぁ今の時代に現存するかどうかはわからないよね。

 ほんとにそんなスキルやアイテムを持っている人がいたら、どんどん見つけているはずだからね。

 前に聞いた話では、新しい迷宮が見つかることは、ほとんどないと言っていた気がする……。


 それにしても……稼働状態にするか、再度休眠させるかについては……悩ましい……。




読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、16日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。

よろしくお願いします。

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