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233.有能な、ギルド長。

 午後になってギルド会館を訪れた。


 ギルド会館は、この前建設した三階建ての建物だ。


 一階部分には『狩猟ギルド』と『農林水産ギルド』が入る予定だ。

 この二つのギルドは、買取窓口を併設するので一階に設置することにしたのだ。


 二階部分が『商業ギルド』と『職人ギルド』となっている。

 ギルド長が決まっている『商業ギルド』は、もう入居済みだ。


 三階部分は、今のところ予備のスペースとなっている。


 隣に作った『食肉処理場』には肉の直売所を作ったのだが、その横のスペースに居酒屋を作ろうと思っている。

 ギルドを訪れた者が、そのまま飲み食いしていける場所にしようと思っているのだ。


 今のところの構想は、焼肉居酒屋にしようと思っている。

 七輪を用意して、自分で焼いて食べてもらうのだ。


 これによって調理スタッフの人数も少なくできるし、混んでもあまり待たせずに提供できるからだ。


 それに焼肉は、飲食事業の中でもかなり収益性が高いしね。

 まぁ無理に儲けようとは思っていないけど……

 でもどうせ商売やるなら、儲けた方が嬉しいしね。


 炭もあるし七輪の上に置く金網も、鍛治工房で用意できる。

 問題は七輪なんだよね……

 焼物工房を見つけて作ってもらうしかないが……。



 『食肉処理場』の隣には、ソーセージなど肉の加工品を作るための『食品加工場』を作った。


 この『食肉処理場』と『食肉加工場』の二つの建物も、ギルド会館に合わせ三階建てにしたのだ。


 ただ今のところ、二階三階部分をどう使うかは決めていない。

 なにかのお店をやったらいいかなぁと思ってはいるが……


  この前『マグネの街』に作った、“なんちゃってメイド喫茶”をやってもいいかもしれない……。



 俺はギルド会館二階の『商業ギルド』を訪ねた。


 今回訪れた目的は、前にギルド長のウインさんが言っていた事業売却希望者の業種を確認するためだ。

 今後本格的に商会の事業を始めるにあたって、使える物件があれば建設する必要がないからね。

 あと焼物工房を持っている者がいないかという期待もある。


 中に入ると、ウインさんと高齢の男性が出てきた。

 このギルドの仕事を手伝ってくれることになったウインさんの義父のようだ。


「グリム様、お会いできて光栄です。ヤドルと申します。『マグネの街』で評判の『フェアリー亭』が、私の持っていた宿屋と知って望外の喜びです。領都にはいつ『フェアリー亭』をオープンしていただけるのでしょうか? 評判の料理が早く食べたいものです」


 ヤドルさんは、そんな感じで気さくに話しかけてくれた。

 商売をやっていただけに、人当たりがよくて、話しやすい感じの人だ。

 ヤドルさんは、トルコーネさんの『フェアリー亭』の以前の所有者なのだ。


 ヤドルさんは、副ギルド長を引き受けてくれたそうだ。


 ウインさんは、自分の本業の仕事があるので、今後はヤドルさんが常駐でギルドを運営してくれるようだ。



 俺はウインさんに、事業売却の希望者にどんな職種があるのか尋ねてみた。


 すると厚い紙の束を渡された。


 なんと、ウインさんはこの短い間に売却希望者の資産とその評価額をまとめてくれていたのだ。


 凄い手際と処理能力だ。

 できる商人とはこれほど優秀なのか……。


 なんか自分を商人だとか商会の会頭と言ってるのが、ちょっと恥ずかしくなってくる……。

 だってサーヤに丸投げしてるだけだからね……。


 売却希望の中に、大きな商会は三つあるようだ。

 悪魔の襲撃事件で跡取りを亡くしたり、奥さんだけが残されたり、資産の大半を失い再起の気力を失ったりということで事業運営が困難となっているようだ。

 少しでも換金して、今後の生活の糧にしたいという希望のようだ。


 売却希望の中の雑貨店を経営していた商会が、焼物工房を持っていたようだが、破壊されて現在工房はないらしい。 二つあった店舗のうちの一店舗が、かろうじて残っているだけのようだ。

 売却物件は、その店舗と破壊されて更地になったもう一つの店舗があった場所及び焼物工房だった場所のようだ。

 お店のスタッフや陶芸職人さんのほとんどは、亡くなっているようだ。


 洋服や糸や生地製品を販売していた商会もある。

 この商会は、規模は大きくないが紡績工場を持っていたようだ。

 だがその工場は破壊されてしまったらしい。

 やはり売却したいのは、その跡地と二店舗ある販売店のうち残った一店舗と破壊された一店舗の跡地のようだ。


 三つ目の商会は、酒類の販売をしていた商会のようで、大きな倉庫が残っていて商品が結構あるそうだ。

 ただ残されたのが若い奥さんと幼い子供だけらしく、今後事業を継続していくことが難しいらしい。

 そこで売却して換金したいのだそうだ。

 売却で一時的にお金を得たとしても、一生食べていける程のお金にはならないと思うが……

 どうするつもりなのだろう……少し心配になってしまった。


 他にも規模は大きくないがいくつかの商会や、個人商人の残された遺族などが売却希望を出していた。

 ほとんどは建物が破壊された後の土地が多いので、不動産購入みたいな感じだ。

 残された土地だけでも売って、換金したいそうだ。


 ウインさんの話では、これでも数が減ったとのことだ。

 この前ウインさんと話をした時に、銀行を作る予定の話も少ししていたのだ。

 もし再起する気力があるなら、銀行が資金を提供してくれる可能性があるという話をしてくれたようだ。

 何人かはそれで思い直したようだ。


 そういうことなら……『フェアリー銀行』をすぐに立ち上げて、できるだけ融資してあげようと思う。

 もちろん成功してもらうために『金も出すけど、口も出す』という方針は変わらないので、事業計画はしっかり作ってもらわないといけないが。


 また売却希望者についても、できる限り購入してあげようと思っている。

 褒賞金や武具の販売代金がかなり入ってくるので、お金を必要としている人のところにお金を回すつもりだ。


 冷静に判断すれば、不要な事業や物件もあるだろう。

 だがそういうビジネス的な判断を抜きにして、お金を回すためにできるだけ購入してあげようと思っている。


 ギルドで出してくれている査定金額を見たが、常識的な金額だと思う。

 もちろん『マグネの街』のオークションのような破格の値段ではないが、特別高いわけでもない。


 ということで、基本的には原則買い上げることにし、後の手続きなどをウインさんたちにお願いした。


 そして従業員については、面接して素行などで特に問題がなければ継続雇用する旨を伝えてもらうようにお願いした。



 俺はウインさんに、焼き物の依頼をすぐに引き受けてくれる焼物工房を知らないか尋ねてみた。


 すぐに稼働できる工房は知らないとのことだったが、今回売りに出ていた商会の焼物工房の職人が二人生き残っていると教えてくれた。

 焼き窯がすぐに作れれば、その職人さんで仕事を受けれるのではないかとのことだ。

 またその職人さんたちなら、他の焼物工房も知っているかもしれないとのことだ。


 ウインさんの方で、その職人さんたちに連絡を取ってくれることになった。


 七輪を早めに手に入れたいんだよね。

 ちなみに本物の七輪は、珪藻土を切り出してきて削って作るのだが、珪藻土のある場所なんてわからない。

 焼き物で、七輪的な物を作るしかないと思っているのだ。

 ただもしかしたら、焼き物職人さんなら土に詳しいから珪藻土のある場所とかも知っているかもしれない。

 そうなれば最高なんだけど……。





読んでいただき、誠にありがとうございます。

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次話の投稿は、11日の予定です。


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