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228.スイーツ男子を、増やそう。

 宿屋不足の解消……俺はいいことを思いついた!


 街の南門を出たすぐのところに『フェアリー農場』を作ったが、この『フェアリー農場』の敷地に『ホテルフェアリー』を併設しようと思う。


 一番離れた『オリ村』の更に奥の『フェアリー牧場』には、先行して『ホテルフェアリー』を作ってある。


 『マグネの街』を訪れる他国の人は増えているが、さらに奥の『領都』まで行こうという人はまだ少ない。


 その為、途中の宿泊施設となる『ホテルフェアリー』には、まだほとんどお客さんは来ていない。


 ただ今後『領都』の復興も進んで評判になれば、『領都』まで足を運ぶ人も増えるはずである。

 そうなれば中継地点となる『ホテルフェアリー』には、宿泊客が訪れるのは間違いないので全く心配はしていない。


 この『ホテルフェアリー』を、南門を出たすぐの『フェアリー農場』の敷地にも作ってしまえばいいのだ。


 そうすれば北門から訪れた旅人が順番に宿を回り、どうしても宿が取れなかったときに南門を出て宿泊してもらえばいい。

 旅人も助かるはずだし、街の中の宿屋にも大きな影響はないだろう。

 まぁ別に競合しても問題はないのだが……。


 サーヤたちに話してみたところ、すぐに賛同してくれた。


 実はこの案は俺が思いついたとは言っても、本当は『自問自答』スキルの『ナビゲーター』コマンドのナビーの知恵なのだ。


 事業に関することはあまりナビーに頼らなかったのだが、なんとなくナビーに軽い気持ちで訊いてみたところ、即答でこの案が返ってきたのだ。


 ナビーはさらっと提案してくれたが、凄くいい案だと思う。


 ていうか……ナビーやっぱり優秀すぎるだろ!


 そして……


「『自問自答』スキルに尋ねることを勝手に限定しないで、いろいろなことに使った方が役立つと思いますが……。相変わらず、スキルを使いこなせていないにもほどがあります……」


 といつものように、ディスられてしまった……。

 その通りなので、なにも言い返せなかったが……。


 なんか最近のナビーって……拗ねたような感じでディスってくるから……ちょっと可愛いんだよね。


 と心の中で思っちゃうと、すかさず「それはセクハラです!」と突っ込まれてしまうのだが……。



 なんか『フェアリー商会』の事業も、ナビーがフル稼働してサーヤと組んだら……完全に無双だと思うんですけど……。


 サーヤとナビーが直接話したりとかできないかなぁ……。


 どうやったら『自問自答』スキルのレベルを早く上げれるかなぁ……

  固有スキルの『ポイントカード』のポイントは、『通常スキル』にしか使えないみたいなんだよね……。




 お店のお客さんが少し落ち着いたところで、トルコーネさんたちの近況を尋ねた。


 お店が順調なことと宿屋部分もフル稼働していることは聞いたが、メニューの方も既存のメニューで十分リピート顧客がついているそうだ。


 最近は限定販売の『鮭おにぎり』を、かなり多めに作っていて大好評らしい。


 そしてパンも『フェアリーパン』から仕入れてくれているようだ。

 今旋風を巻き起こしている『やわらかパン』がお客さんに人気とのことだ。


 屋台メニューとして作った『ホットドッグ』や『コロッケ』も、メニューに組み入れたそうだ。

 お客さんが、お土産として買ってかえることも増えているらしい。


 そしてロネちゃんの養蜂も順調で、蜂蜜の売れ行きも好調のようだ。

 トルコーネさんの宿屋でも売っているが、『フェアリー薬局』でも『フェアリー商店』でも売っているのだ。


 俺はせっかくきたので、蜂蜜を使った新メニューを披露することにした。

 いつものように、ネコルさんにキッチンを借りる。


 蜂蜜を使った新メニューそれは……『ホットケーキ』だ!


 小麦粉も砂糖もミルクも卵もある!

 最近『フェアリー食品』で製造しているバターもある!

 そして極上の蜂蜜がある!

 これは『ホットケーキ』を作るしかないのだ!


 ただ『フェアリー亭』の新メニューとしては、微妙かもしれない。

 男性のお客さんが多いからだ。

 子供たちや女性客には大受けするだろうが、男性にはどうか……

 ……いや、『スイーツ男子』がいる可能性もあるし……まぁ今はそんなことはどうでもいいか……。


 本当は、生クリームも作りたかったのだが……

 ちょっと仕込みに時間がかかるので、今回はやめておいた。


 俺は『ホットケーキ』を焼き上げ、一皿に二枚重ねる。

 そして上にバターをひとかけら乗せ、蜂蜜をたっぷりかける。


 そして、みんなのところに運ぶ……


 もう食べる前から、ニアとリリイとチャッピーの目がハートマークになってる!

 サーヤやサリイさんやローレルさんたちも、『ホットケーキ』から目が離せない状態になっている。

 ロネちゃんはじめお店の子たちの動きも止まってしまった。

 そしてなぜか……トルコーネさんは、食べる前から泣きそうな感じになっている……まさかの……スイーツ男子?


 さて最初の一口は……


 ——パクリッ


 もちろん俺がいただいた!


「おおおおーー! 美味い! 甘い!」


 俺は思わず大声を上げてしまった!

 そして、お店にいる全てのお客さんからの注目を集めてしまった……。


 これは間違いない味!

 蜂蜜もいいし、美味しいに決まっていたが……本当に美味い!


 俺が“よだれ注意報”を発令する前に、すでにニアとリリイとチャッピーはよだれを垂らしていた……残念!


 あまりじらしても可哀想なので、みんなに早速食べるように勧めた。


「うおーーーーーーー!」

「これは……甘うまなのだ! リリイはもう……毎日食べるしかないのだ!」

「チャッピーも毎日食べるなの〜、これはもう宿命なの〜」

「わーーー凄い! 蜂蜜が……こんな美味しい食べ方が……。私も毎日食べたい!」


 もちろん最初に叫んでいるのはニアだ。

 リリイ、チャッピー、ロネちゃんがとろけそうな表情になっている。


 そして他のみんなも、大絶賛しながら食べている。

 男性冒険者のディグさんやオリーさんも、凄い勢いで食べている。

 この世界は甘味が少ないようだから、意外に男性にも人気が出るかもしれない。


 もちろんトルコーネさんやネコルさんも大満足の表情をしている。

 そしてやはりトルコーネさんの目からは涙が……そんなに……やはりスイーツ男子だったようだ。


 お店の子たちにも食べさせてあげたが、みんなぷるぷる体をふるわせていた。

 泣いている子もいたし、感動に打ち震えていたのだろう。


 それを見ていたお客さんたちの食べたいオーラ全開の視線が、俺に容赦なく浴びせかけられた。

 すごいガン見されてる……。


 そして『ホットケーキ』という名前をお店の子たちから聞くと、注文が入りだし……最終的には『ホットケーキ』コールみたいな感じになってしまった。

 商品名は少し迷ったが、そのまま『ホットケーキ』にした。

 パンケーキでもよかったのだが……パンとの区別を明確にするために『ホットケーキ』にしたのだ。


 俺は『ホットケーキ』を作らざるを得ない状況に追い込まれてしまい……

 ネコルさんたちに調理の仕方を教えながら、キッチンに缶詰状態になってしまった。

 いったい何枚焼いたのか………なぜこうなった……?


 こうして『ホットケーキ』は、新メニューとして即日採用となった。


 俺はネコルさんに、ブルーベリーやラズベリーなどのフルーツを盛り合わせた『フルーツホットケーキ』バージョンのアイディアも伝えておいた。

 これなら仕込みに時間がかからずにできると思う。

 仕込みの時間があれば、生クリームを作ってもいいと思うけどね。

 それは後日でいいだろう。

 でも……生クリームも食べたいなぁ…… 。



 まぁ生クリームは後日として……俺はお客さんたちの反応を見て、男性に対しても十分いけるという感触をつかんだ。


 そして思いついてしまった!


『ホットケーキ』をメインにした喫茶店を作ろう!


『フェアリー武具』の二階のスペースがほとんど使われていないので、そこを喫茶店にしようと思う。

 改装して、二階に直通する入り口を別に作る。

 立地も最高だし、いいんじゃないだろうか。


 そして喫茶店といえば……禁断の……メイド喫茶……


『メイド喫茶』にしようかなぁ……。


 といっても、こちらの世界に同様の需要があるかは微妙だと思う。


 突然、店員に「お帰りなさいませ、ご主人様」とか言われても、わけわかんないだろうし……。

 なによりも店員たちにそういう指導……特に「萌え萌えキュン」とか「美味しくなれビーム」とか指導してる自分が想像できない……というかそんなの絶対に嫌だ!

 そしてそもそも元の世界にいたときも、『メイド喫茶』に行ったことないし……。

 興味を持ったことはあるが……四十五歳のおじさんにはハードルが高かったんだよね。

 ただテレビなどでは見ていたから、大体の感じはわかってるんだけどね。


 まぁそんなこともあり、本来の『メイド喫茶』というよりは、可愛いメイド服を着た店員さんのいる喫茶店というかたちにしようと思う。

 そして男性のスタッフには、執事の装いにしてもらえばいいだろう。


 ただメイド服については、『メイド喫茶』で着ているような可愛いメイド服は普及していないらしい。

 地味な感じの普通の洋服に、エプロンというのが一般的な服装のようである。


 だから可愛いメイド服を作る必要があるのだ。

 あとで記憶を基に絵に書いて、裁縫が好きな『ドライアド』のフラニーや『アラクネ』のケニーに作ってもらおうと思っている。

 もちろん素材は、普通の生地でだ。

 ケニーの糸とかで作ると、強力な防具みたいになっちゃうからね。

 まぁそれはそれで……面白そうだけど……。

 メイド戦闘服……結構いいかも! ……本気で考えようかな……。

 リリイとチャッピーが着ても……めっちゃかわいいだろうなぁ……。


 悪乗りでメイド服仕様の凄い防具を作って『フェアリー武具』で販売したら、女性冒険者に着てもらえるだろうか……。

 なんか……ほんとにやりたくなってきた……。


 いかん、いかん、悪ノリはこれぐらいにしておこう。



 ということで、二階の改装を含めた営業準備をサーヤにお願いした。

 俺も密かにサーヤの転移で戻ってきて、準備を手伝おうとは思っている。


『フェアリー軽食』は屋台を行っている事業部門だが、喫茶店事業もこの中に入れてしまえばいいだろう。


 あとはお店の名前だが…… ここはジト目を避けるためにも、ニアさんに決めてもらおう。



 ニアさんが決めた喫茶店の名前は…………『フェアリーキッス』となった。


 ニアは曰く、『妖精にキスされたみたいに美味しさにとろけ、そして元気になる』というイメージなのだそうだ。

 まぁいいんじゃないだろうか。


 そして……いろいろと楽しみだ……。






 

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次話の投稿は、6日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言] うちの近所にフェアリーキッスという名前のホテルがあってだな。。。
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