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188.大喜びの、子供たち。

 夕方になって、孤児院の子供達が一泊遠足旅行から帰ってきた。


 俺達は孤児院の前で出迎えた。


「ただいまなのだ! 楽しかったのだ! 」

「ただいまなの〜、みんなと遊んで楽しかったなの!」


 真っ先に馬車から飛び出したリリイとチャッピーが、俺にダイブしてきた。


 満面の笑顔だ!


 その後から子供達が、わーっと雪崩れ込んでくる。


「「「ただいま」」」

「「「楽しかった! 」」」

「「「ありがとう! 」」」

「「「また行きたい! 」」」

「「「明日も行こう」」」


 子供達はハイテンションで大騒ぎだ。

 一緒に行っていたロネちゃんも、いい笑顔を浮かべている。


「ミルキー、引率お疲れ様、大変だったろう? 」


 俺は引率を頑張ってくれたミルキーに、労いの言葉をかける。


「いいえ、すごく楽しかったです。牧場の遊びをもっと充実させて宣伝したら、きっとみんな遊びに来ると思います」

「うん。一泊旅行ならみんな行きやすいし、行ったらきっと楽しいと思う! 」

「全く同意。流行らせるべき! 」

「ウィーン!よくわかんないけど楽しすぎる! ウィーン! 」

「私も今度は、お父さんお母さんとも行きたいです! 」


 満面の笑みで答えるミルキーに、アッキー、ユッキー、ワッキー、ロネちゃんが続けた。


「グリムさん、本当にありがとうございました。子供達はみんな喜んでました。あんなに笑った姿を見た事はありませんでした。ほんといい笑顔がいっぱい見れました」


 院長先生がそう言って、目を細めていた。


「それは良かったです。もう一つ、私からプレゼントがあるんです!」


 俺は孤児院を覆っていた目隠しを外した。


「「「うわー」」」


 一斉に歓声が上がった。


 その後、一瞬息を飲んだように静かになり、再び歓声が上がった!


「すごい! 」

「大きい! 」

「なにこれ! 」

「すごいすごい! 」

「木が植わっている! 」

「鶏さんがいっぱぁい! 」

「川が流れてる! 」

「すご過ぎるのだ! 」

「もう遊ぶしかないなの〜」

「ウイーン! ウイーン! ウイーン! 」


 子供達が思い思いに声を張り上げている。

 ジャンプしまくっている子供もいる。

 リリイとチャッピーは早く入りたいのかプルプルしだしてるし。

 ワッキーなんか嬉しすぎて、固有スキル発動しそうになっちゃっている……危ないんですけど……。


 俺ははやる子供達をなだめつつ、新しくなった孤児院を案内した。


 建物は思い出のある以前の建物をそのまま残し、その後方に増築する形にして四倍以上の面積になった。

 ちなみに増築部分は二階建てになっている。

 だから床面積はさらに増えているのだ。


 今後、子供達が増えても大人のスタッフが増えても大丈夫なように、部屋数も確保した。


 トイレを八つと、大きなお風呂を作った。


 この世界の人達は湯船に入る習慣が無いらしく、水で体を拭くか井戸の近くに大きなタライを持っていき水浴びをするのが一般的なようだ。


 お風呂は、大きなお屋敷などにしか無いらしい。


 お風呂に入れる水は、井戸から引き込めるように工夫した。

 井戸から自然に水がチョロチョロ流れるように改良して、作った小川に流しているのだが、切り替え式でお風呂の方に流す事が出来るのだ。

 ただしチョロチョロ水なので溜めるのに時間はかかる……。


 それから湯を沸かすのは、魔法道具を使う事にした。

『フェアリー武具』の商品として置いてあった湯沸かしの魔法道具を、個人的に購入したのだ。

 百万ゴルもしたのだ。


 円柱形の棒の先を水に入れて、魔力を通すと棒の先にセットしてある『火炎石』という魔法石が発熱する仕組みだ。


 これを毎日子供達が使えば、魔力操作の練習にもなるかもしれない。


 大きなお風呂を見て、みんな大喜びしていた。


 また特に女の子達は、トイレが増えた事を喜んでいた。


 食堂も大きくなって、みんなでくつろげるようになっている。


 そして庭の遊ぶスペースも広めに取った。


 広場と野菜用の菜園があり、その隣にはブルーベリー園がある。


 ブルーベリー園では、三十羽の烏骨鶏達が走り回っている。


 この烏骨鶏達は卵から生まれた子達だが、俺の『促成栽培』スキルの影響で急成長をして、もう大人に近い大きさになっている。

 もう少しすれば、卵を生み出すはずだ。


 スペース的にはまだまだ羽数を増やせるので、子供達の負担にならないようなら随時増やそうと思っている。


 そしてブルーベリー園の中を、8の字型に流れている小川についても説明した。


 子供達が安全に水遊び出来るように浅くなっている事と、小エビを放流してある事だ。


 すぐに増えるので、食べたい時に小エビを採って食卓にあげる事が出来ると説明した。


 子供達は目をキラキラさせながら俺の説明を聞いていたが、みんな我慢出来ないでいるようだ。

 空気を読んで……説明を早々に切り上げて、自由時間にした。


 みんなキャッキャ言いながら、走りまわっている。

 実に楽しそうだ。


 なんとなく……リリイとチャッピーが一番嬉しそうだ。


 そして相変わらず孤児院の子供達に(あね)さんと呼ばれている……それでいいんだろうか……。



 院長先生からは、改めてお礼を言われた。


 何よりも嬉しかったのは、ただお金を出してもらったり与えられるのではなく、子供達がブルーベリーを収穫したり卵を採ったりして、お金に変える術を学べるようにしてくれた事だと言ってくれた。


 そして園長先生から突然の申し出があった。

 この孤児院を『フェアリー商会』で引き継いで欲しいとお願いされてしまったのだ。


 院長先生が言うには、自分は大分高齢で後を継ぐ者もいないし、元気なうちに引き継いでもらった方が安心出来ると言うのだ。


 元々孤児院を全面的に支援するつもりだったので、引き継いでも構わないのだが…………


 院長先生が安心出来るなら形だけ引き継いで、運営は今まで通り院長先生にやってもらえばいいか……。


 お金や職員の手配を『フェアリー商会』でやる事にすれば、問題ないだろう。


 俺はその旨院長先生に告げて、承諾を得た。

 院長先生は、安堵の表情を浮かべていた。


 基本的な運営はもちろん院長先生に任せるのだが、今後この孤児院で出来たらいいなと思っている事を相談した。


 それは……


 一、避難民の中の孤児達の受け入れ。もちろん希望者のみだが。


 二、孤児でなくても家庭の事情で困っている子供達や不遇な扱いを受けている子供達の受け入れ。子供達の保護施設的な役割だ。


 院長先生は今まで余裕が無くて出来なかったが、本来はやりたかったらしく即答で賛同してくれた。


 そこで俺は孤児院という名称を、養護院に変更する事を提案した。


 孤児だけではなく、広く子供達を助けられるような場所にする為だ。


 院長先生は快く受け入れてくれた。


 この孤児院は、『ぽかぽか孤児院』という名前だったので、そのまま残し『ぽかぽか養護院』という名前になった。







読んでいただき、誠にありがとうございます。

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感想をいただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、27日の予定です。


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