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157.薬師見習いの、子供達。

読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、26日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。

よろしくお願いします。

 俺とリリイとチャッピーはハーリーさんの指導の下、薬草の下処理をしている。


 ミルキーはサーヤの転移で『フェアリー牧場』に行って、牧場の運営状況の確認と牧場三人娘達に、今後の水田作りの準備の指示を行っている。


 アッキー、ユッキー、ワッキーは、ソーセージ加工場の運営状況の確認に行っている。


 サーヤは用事があるとのことで出かけてしまった。



 リリイとチャッピーは以前に薬草の下処理をしたことがあるようで、要領がわかっているようだ。


 俺だけ全くの初心者だが、ハーリーさんが丁寧に教えてくれるので大体頭に入った。


 しばらくやっていると、サーヤが戻ってきた。


 女の子を四人連れている……


 この子達は……昨日救出した仮設住宅から拐われた子供達だ。


「旦那様、よろしければこの子達四人を薬師見習いとして、住み込みで雇用したいのですがよろしいでしょうか? 他の避難民の方達に良くしてもらってるとは言え、身寄りのない子達です。手に職が付けば生きていく大きな力になります」


 サーヤにそう提案された。


 なるほど……


 薬草の下処理も結構手間がかかるし、薬師見習いを何人か採用した方がいいと思っていたから、丁度いいね。


「いいね。この子達が本当にやりたいならいいと思うよ」


「元々候補の中にいた子達でした。本人達も希望しています」


 だったら問題ないね。


「ハーリーさん、この子達をお預けしていいでしょうか。立派な薬師に育てて欲しいのですが……」


 俺はハーリーさんの判断を仰いだ。


「はい、皆様が選んだ子達ですから、私に否やはございません。未だ未熟な私ですが、共に学び立派な薬師に育てます」


 ハーリーさんは快諾してくれた。


 よかった。


「サリアナです。十二歳です。よろしくお願いします」

「タミルです。十二歳です。がんばります」

「 ミッツです。十一歳。お願いします」

「ソニン。十歳。がんばるです」


 みんな元気よく挨拶してくれた。


 昨日心配してくれていた仮設住宅の人達は、サーヤの話を聞いて大喜びで送り出してくれたようだ。


 二階の宿の客室だった部屋が五部屋あるので、ハーリーさんとこの子達四人で丁度いいだろう。


 みんなで家族のようになってくれると良いのだが……


 まだ二日しか見ていないが、ハーリーさんの人柄なら任せられそうだ。

 何よりサーヤの採用だしね。


 ちなみに一階の食堂・居酒屋だったスペースは店舗スペースで、厨房部分やトルコーネさん一家が暮らしていたスペースが調合室になる予定だ。




 新しく入った子達にも下処理の仕方を教えながら、しばらくみんなでやっていると衛兵のクレアさんと代官さんが訪ねて来た。


 昨日の子供達の救出のお礼と、その後の報告をしてくれた。


 あの奴隷商人は、可能性の問題として死罪もあるが、今の領の現状からすれば少しでも労働力があった方が良いので、おそらく奴隷落ちで強制労働をさせられる事になるそうだ。


 そして共犯の商人は、昨日クレアさんが言っていた通り、他にも相当の悪事をしていたらしい。


 悪魔化して死んだ守護のハイド男爵とも癒着のような関係性を持っていたようだ。


 税金を過少申告し、その一部をハイド男爵に袖の下として渡していたようだ。


 また雇用している職人や使用人をかなりの低賃金でこき使い、酷い扱いをしていたようだ。


 周りの使用人の証言から、職人を殺害したことも判明したようだ。


 これ以外にも細かな悪事が色々あるそうだ。


 ということで、完全に取り潰しになるらしい。

 すべての資産を没収されるようだ。


 昨日の話では、奥さんと子供も捨てて放逐したようなので、そもそも引き継ぐ者もいなかったので、その点は良かったかもしれない。


 ただ使用人達が可哀想だけどね。

 低賃金でこき使われて、挙句に職を失くすわけだから……。


 この商人も通常なら死罪だが、奴隷落ちで強制労働かもしれないとのことだ。


 一応、使用人には、没収した資産を売却したお金から、見舞金のような形でお金は渡せるようだ。

 ただ代官さんの話では、規定上では大した金額は渡せないらしい。


 そしてこの商人の屋敷や店舗などは、商人ギルド主催のオークションにかかるとの事だ。


 ただ、領全体が疲弊しきった現状では、入札が入る可能性はかなり低いらしい。


 代官さんからの依頼は、商会を立ち上げた俺にもオークションに参加して欲しいということだった。


 そして可能ならば落札し、事業を引き継いでもらいたいとの事だ。


 全員は無理でも優秀な人を、再雇用してもらいたいとも思っているようだ。


 俺はあまり魅力を感じないが…… 一応内容だけ拝聴した。


 オークションにかかる資産としては、一つ目が家屋敷のようだ。


 昨日救出に行った時に見ているが、本館、別館共に豪奢な建築で庭園も綺麗に整備されていた。

 この街では有数の屋敷だと思う。


 そしてあの男は代々続く商家の名門で、彼の代になるまでは健全経営の素晴らしい商会だったようだ。

 商人ギルドの理事も務めているらしい。


 主な事業は、家具調度品の製造販売と食品販売らしい。


 優秀な家具職人を抱えているようだ。


 しかも大きなお店を中央通り沿いに持っている。


 そういえば、家具調度品なんかを売っている店を見たことがある。

 多分あの店か………かなり立派な店構えだった。


 そしてその隣には、これまた大きな店構えで、食品全般を扱っているお店がある。



 食品販売の店は、牧場でできた野菜や加工品等を販売するのにいいかもしれない。


 今後、ソーセージだけでなく、他の加工食品を作ろうと思っているので、その販売にもいいかもしれない。

 立地もこの街で最高の部類だろうからね。


 家具調度品の販売については……

 今の『フェアリー商会』の事業と関連性が出ない気がするが……

 優秀な職人さんが路頭に迷うのはもったいない気はする。


 あのデカイ家屋敷は必要ないんだよね。

 サーヤの家があるし……。


 将来、何か使い道があるかな……


 ……まぁ安ければ買ってもいいかもしれないけどね。


 オークションは三日後にあるらしい。


 参加するのが無理なら、代理入札でも大丈夫との事だ。


 役人の方で大体の資産価値を設定し、オークションにかけるようだが、今回は入札があまり期待出来ないので、特別に資産価格の半額からスタートするらしい。


 という事は……入札者が一人しかいなければ、半額で購入出来るということか……。


 内々の話として代官さんが教えてくれたのだが、予定では家屋敷が四千万ゴル、家具調度品事業が一千万ゴル、食品販売事業が一千万ゴルと資産価値を見積もっているようだ。


 どう考えても、もっと高いような気がするが……


 これを半額からスタートするらしい。


 そんな安いスタートなら誰か入札しそうだが、そういう感じでもないようだ。


 確かに今の情勢では、商売を広げるのには不安があるよね。


 代官さんにすがるような目で見つめられたので……


 やむを得ず……

 オークションに参加出来るかわからないが、もし参加しなくてもスタート価格なら代理入札してくれて構わないとだけ返事をした。


 半額スタートのオークションに、誰も入札しないなんて事はあり得ないだろう。


 ただ食品販売事業だけは、俺の今後の展開に役立ちそうなので、評価額の一千万の多少上までは、入札してくれても構わないとだけ言っておいた。


 代官さんが安堵の表情を作った後、やけに嬉しそうな顔をした。


 オークションの話は終わったが、話はそれだけではなかったようだ。


 もう一つは、俺の商会から回復薬を仕入れてくれるという話だった。


 昨日、少しクレアさんに話したのだが、すぐに衛兵長と代官さんに相談してくれたらしい。


 是非仕入れさせて欲しいとの事だった。


 俺達が避難民達に配っていた配布用の希釈回復薬の効果を見て、衛兵隊として購入させてもらえないか依頼しようと考えていたところだったらしい。


 衛兵長としては、渡りに船の話だったようだ。


 衛兵隊と街の備蓄として購入したいとのことだ。


 代官さんの話では、回復薬の仕入れは特に決まったところはなく、領から供給される場合もあれば、街で独自に調達する場合もあるようだ。


 値段も、良い物を安くしてくれる分には特に問題はないらしい。


 ただ代官さんは、あまりにも価格破壊な値段をつけると、要らぬ怨みを買う可能性があるから、それなりの値段にしてくれて構わないと言ってくれた。


 『下級の身体力回復薬』の『中品質』の物は一万ゴルが相場だが、それを『低品質』の相場の五千ゴルで卸すという提案をしてみた。


 『中品質』でも余程の大怪我でない限り、問題なく回復するはずだ。

 これなら「良い物を価格破壊にならない程度の値段で」と言えるのではないだろうか。

 まぁ実質は相場の半額だから価格破壊かもしれないけどね……。


 現在配布用に使っている希釈回復薬は、『下級の身体力回復薬』の『高品質』品だが、最近の『アラクネ』のケニーの報告で、それを更に湧水で二倍に薄めると『中品質』品になる事がわかったのだ。


  『中品質』品なら今後大森林で作った物でなく、この薬局で作った物を販売するようになっても、五千ゴルの販売価格で十分に成り立つはずだからね。

 大森林に頼らないでも大丈夫な取引を考えたのだ。


 この提案は、クレアさんも代官さんも喜んでくれて、話がまとまった。


 早速、衛兵隊の備蓄として五百本、街の備蓄として五百本、合計千本の注文を頂いた。


 まだオープンしてないが、早速五百万ゴルの売り上げが立った。

 ありがたいことだ。


 現在の街の決定権は代官さんにあるので、問題なく決断出来るようだ。


 他の回復薬も含めて、今後も継続的な取引をお願いされた。


 大口の顧客が確保出来た。

 素晴らしい!


 二人の様子を見る限り、まだ領都から俺がこの町の守護になる話は来ていないようだ。


 いっそこのまま立ち消えになってくれるのが一番良いのだが……。






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