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150.コピーの、チート。

 俺はサーヤの家のリビングで、一人考え込んでいる。


 今日もいつものようにみんなで寝たのだが……

 珍しく目が覚めてしまった。


 今朝聞いた犯罪組織の件や、心にトゲのように引っかかってる白衣の男の事を考えてしまったら、眠れなくなってしまったのだ。


 各市町を魔物から解放する時に、数え切れないほどの死者を見た。


 なるべく考えないようにしていたが……もう二度と、こんな事態は起こさせたくない。


 その為にも、あの白衣の男を早く捕まえたい。

 居場所はわかっている。

 それなのに、未だ手出しが出来ない。


 俺は、やるせない気持ちでいっぱいだった。


 復興に力を入れても、また大量の魔物軍団や悪魔に攻められたら、全てを守りきれるかどうか……

 俺や仲間達がいるところは大丈夫としても、そうじゃない所ではまた死者が出るかもしれない……


 俺は悶々としながら自問する……

『自問自答』スキルの『ナビゲーター』コマンドのナビーと、白衣の男を捕らえる方法について改めて問答する。


 だが、あくまでナビーは俺が知っている事もしくは潜在的に知っている事から情報を引き出すだけで、そもそも俺が知りようの無い事は答えられないようだ。


 やはり転移を封じるような情報は無いし、俺のスキルを組み合わせても、効果的な対策は思いつかないようだ……。


 今日は……これ以上白衣の男の件を考えてもしょうがないか……。



 俺は、もう一つの案件を考えることにした。


 それは『絆』スキルの『スキル共有』コマンドの有効活用だ。

 仲間達をより強化する為である。


 俺の『絆』リストは、各種動物達の保護やスライム達の加入等で一気に増加し、現在五千七百を超えている。


 したがって、セットできる『共有スキル』のスロットが五十七あるのだ。


 俺が共有して使わせてもらう為の『テイクシェアスキル』はともかく、俺のスキルを共有して仲間達に使わせてあげる『ギブシェアスキル』を充実させたい。


 スキルをセットして有効活用したいのだが…… ほとんど使えていないのが現状だ。


 俺自身が、『通常スキル』をあまり持っていないからだ。


 仲間達のスキルを『テイクシェアスキル』にセットして、俺が使うことで俺個人としての『通常スキル』にする事も出来る。

 だが、それでは大分時間がかかる。


 そして、スキルレベルも高い状態では取得は出来ないようなのだ……。

 現時点では、サンプル数が少ないので絶対とは言えないが、レベル1からのスタートになる感じだ。


 これでは……なかなかに厳しい。


 何とか俺がスキルを数多く取得し、しかもスキルレベルを早く上げる方法がないだろうか……。


(スキルレベルを簡単に上げる方法はあります。固有スキル『ポイントカード』を使えばポイント交換でスキルレベルを上げることができます。現在かなりのポイント残高がありますので、新規取得スキルのレベルを一気に上げることは可能です。また交換スキルリストさえ揃っていれば、新規取得をすることも可能です)


 なるほど……確かに『ポイントカード』スキルはそういうシステムだった。

 前はポイントがほとんど溜まっていなかったので、使用する余地は無かったが、ここのところ土地を買ったり色々とお金を使っているので、ポイントが貯まっているはずだ。

 しかも凄い金額を使ったから、かなりのポイントのはずだ。


 早速ポイントを確認してみると……


 ……七十万ポイントも貯まっていた。


 ポイントは、使用した金銭の1%貯まるので、七千万ゴル以上は使ったことになる。

 ほとんどは土地の購入代金だ。


 避難民達の仮設住宅を作るために土地を買ったのが大きい。


 人の為に使ったお金が、ポイントとして自分に返って来た感じだ。

 まさに『情けは人の為ならず』ってやつだね……。


 百ポイントを使用して、所持スキルのレベルを1つあげる事が可能だ。

 また、千ポイントを使用して、ポイント交換リストにある任意のスキルを入手する事も可能となる。


 ただし、ポイント交換リストに載る為には、スキルの詳細情報を俺が知っている必要がある。

 したがって、仲間達が所持しているスキル以外はリストに入りづらい。

 第三者のスキルを詳細確認または体感する事でも、交換リストに追加されるようだが……

 敢えて敵の技を受ければいいのだろうか……。


 いずれにしろ、少なくともスキルレベルだけは、ポイントを使えばすぐに上げられそうだ。

 しかも大量のポイントが貯まっている。

 スキルレベルを短期間で上げるという課題は、これでクリア出来そうだ。


(マスター、上手くいくかわかりませんが、スキル取得に使えそうな仮説があります)


 俺が心の中で一整理つけた後、ナビーが続けた。

 他にも策があるのか……


(マスターの『絆』対象者達が持っている『通常スキル』であれば、詳細確認さえ済ませれば、『共有スキル』にセット出来ます。セットすれば、そのスキルの詳細の波動情報をマスターが取得したのと同一の状態になると思われます。そして、その波動情報を使って『波動複写』が出来る可能性があります)


『波動複写』………

 どういうことかよくわからないんだけど……


(私なりにマスターのスキルを分析した結果、最強クラスの技能の一つが『波動複写』です。マスターは、ほぼ使いこなしていませんが、波動情報さえわかれば複写して、コピーが作れる極めて稀な技能です)


 あーあ……はっきり「使いこなせてない」って言っちゃった。

 軽くディスられちゃったんですけど……。


 まぁその通りだけどね……トホホ……。


(すみません。私が言うのもなんですが……使いこなせていないにも程があります……)


 出た! 久しぶりの毒舌モード……。

 完全にディスったね……。

 この人……ていうか俺自身だけど……

 大分溜まっていたらしい……。


 確かに日々の雑事で、スキルを使いこなす努力をしてなかったのは事実だけど。


(そんな事よりも……私の考察によれば、マスターが使いこなす努力をすべきは、鞭でもなければ剣でもありません。固有スキル、特にこの『波動複写』です! )


 今回はよりはっきり言うね……。


(『共有スキル』にセットしたスキルを『波動複写』して、『通常スキル』の画面に貼り付けてみてはどうでしょう? もしそれが成功すれば、『絆』対象者達の『通常スキル』は、全てマスター個人としての『通常スキル』にする事が出来ます。マスター個人の『通常スキル』になれば、『絆』対象者全員に共有できます。しかも、スキルレベルを維持したままコピー出来るはずです)


 え……、


 それが本当なら凄いじゃないか!


 そんな事が出来るのか……


 ていうか……もっと早く教えて欲しかったんですけど……。


(私を責めるのは、お門違いだと思います。マスターが疑問に思わない事に対しては返答出来ません。こちらからの積極的なアドバイス機能は、もう少しスキルレベルが上がらないと発現しないと思われます……)


 あらら……怒られた……。


 ナビー、ストレス溜まってるわ……

 まぁ結構俺にほっとかれたりするからね。


 てか、ナビーは俺自身なんだし、情報は随時取得しているからいいと思ったんだけど……ごめんなさい。


(………………別に怒っていません! )


 ………トホホ。



 俺は早速『波動複写』を試してみることにする。


 まずステータス画面を開き、『共有スキル』にセットしてあるスキルの中から、リンから共有させてもらっている『物理耐性レベル10』を複写してみることにした。


 『物理耐性レベル10』に焦点を合わせ……


 『波動複写』と念じる……


 その情報波動のエネルギーを包み込むようなイメージで、俺の『通常スキル』欄に『貼り付け』と念じてみる……


 …………………………


 ……おお! 張り付いた!


 これで本当にスキルが身に付いたのかな……

 単に表示が貼り付いているだけじゃないよね……


 (マスター、確認しました。成功です。表示だけの貼り付けではありません。スキルとして『物理耐性レベル10』が身に付いています)


 なんですと!


 凄いじゃないか!


 俺はナビーを抱きしめたくなったが、いかんせん俺自身だし俺の頭の中にしかいないので……抱きしめることはできない。


 でも感謝の意味を込めて、イメージで抱きしめキスをした。


(マスター、それはセクハラです。やめてください……)


 トホホ……。


 ごめんねナビー。

 でも感謝の気持ちは伝わってくれたと信じる……。


 それにしても凄い!


 俺の『通常スキル』が一気に増やせる!


 そしてスキルレベルも高い状態で取得出来る!


 何よりも凄いのは、俺自身がパワーアップ出来る事よりも、仲間達の為に俺が取得する優秀なスキル達を『共有スキル』としてセット出来る事だ。


 リンが持っていた『物理耐性レベル10』を俺の『通常スキル』として取得すれば、『ギブシェアスキル』のスロットにセット出来るので、『物理耐性レベル10』を『絆』対象者全員が『共有スキル』として使えるということになる。


 リリイやチャッピー達はもちろんだが、烏骨鶏達とかにも共有される。

『物理耐性レベル10』の烏骨鶏なら、悪い人間や野生動物に襲われても生き残れるんじゃないだろうか。


 これは凄い!


 俺は仲間達の強化の為に、スキルの『波動複写』をやりまくる事にした。


 やりまくるといっても、結構面倒くさい作業だ。

 大まかな手順は……


 一、『絆』リストの任意の仲間を選んで、ステータス画面を開く。


 二、その『通常スキル』の任意のスキルの詳細表示を確認する。

 これで『絆』スキルの『スキル共有』コマンドのスキルスロットに、そのスキルが表示されるようになる。


 三、『絆』スキルの『スキル共有』コマンドの『テイクシェアスキル』のスロットに、そのスキルをセットする。


 四、自分のステータス画面を開き、『共有スキル』にセットされているそのスキルを『波動複写』し、『通常スキル』画面に貼り付ける。


 五、『絆』スキルの『スキル共有』コマンドの『ギブシェアスキル』のスロットに、そのスキルが表示されるのでそれを選択する。


 ……となる。


 ただ、仲間達全員ではなく、主要なメンバーからスキルを共有するだけで充分だと思うので、何とか出来そうだ。


 防御系のスキルを中心にセットすれば、仲間達が命を落とす確率がかなり減るはずだ。


 防御系の次は回復系・補助系をセットし、スキルスロットに余裕があれば攻撃系をセットしようと思っている。






読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。

感想をいただいた方、本当にありがとうございます。


次話の投稿は、19日の予定です。


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