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149.取得物件の、使い途。

 

 俺達はソーセージの加工場から、元トルコーネさんの宿屋だった場所に戻ってきた。


 トルコーネさん達が引っ越したから、購入した俺が使える状態になったのだ。


 ここの使い途を考えなきゃいけないし……


 何よりも呼び名を考えないと、言いづらくてしょうがない……。


 俺は色々と考えたのだが……


 このスペースで多くの人を雇用することはできない。


 人を多く雇用する事業は別に考えるとして、この場所の有効活用ということだけで考えてみた。


 この世界に生きて、思い知った事は……

 人は簡単に死んでしまうということ……

 そして逆に魔法薬などがあれば、簡単に命を救えるという両極端の現実だ。


 助けられる命を救いたい……

 神ではないから全ては無理にしても、俺が出来る範囲の命を救いたい。

 今回この領を襲った事件で、改めてそう思った。


 そこで、この一階部分の食堂・居酒屋スペースだった場所を、お店として活用することにした。


 ———ズバリ! 薬屋にしようと思っている。


 当面は、大森林の『マナ・ハキリアント』達が作った薬を、配布用に希釈した下級の各種回復薬を販売すればいいと思っている。


 薬に詳しい者が採用出来れば、ちゃんと薬を調合して独自に販売出来るようにする。


 大森林で作っている各種回復薬を販売し続けるのが一番簡単だが、それがいつまでも安定供給される保証はないと思っている。


 俺は、突然この世界に来たように、また突然、元の世界もしくは違う世界に飛ばされる可能性だってある。


 俺が商会を立ち上げて、各種事業を起こすにあたって一番考える事は、俺がいなくなっても独自に成り立つ事業や仕組みである。


 そこでこの薬屋部門も、薬師を育成しながら、薬の調合と販売を行う店にしようと思っている。


 その仕組みがしっかり出来るなら、プラス商品として大森林の配布用希釈回復薬を継続販売しても良いかもしれない。


 二階の宿屋だったスペースを、薬師達の住み込み部屋や調合部屋として使えば、丁度良いんじゃないかと考えている。


 そして名前は……『フェアリー薬局』にしようと思っている。


 ちなみにこの名前を発表したら……


 ニアさんは、いつものジト目はしてなかった……。


 まぁほぼ俺が考えた名前じゃなくて、ニアが付けたようなもんだからね。


 とりあえず……これから起こす事業は、何でも『フェアリー○○』っていう名前をつければ、ニアのジト目攻撃を避けれそうだ。


 薬局の開業は、みんな賛同してくれた。


 そして早速、サーヤから……


「牧場スタッフの面接の時に、領都の下町で、薬屋で働いていたという薬草に詳しい女性がおりました。他にも薬草に詳しい人がいたと思います。早速あたってみます」


 サーヤは既に適材を見つけているようだ……。

 頼もしい限りだ。


 あと牧場とも連動させて、使用頻度が高い薬草があれば、薬草栽培をしてもいいと思っている。


 この世界では薬草とは、森や林に入って採ってくる物で栽培するという発想は無いようだ。


 俺的には、生育条件さえ合えば薬草の方が野菜よりも丈夫なはずだし、栽培してもいいと思っている。


 採りに行けば生えてるし、わざわざ栽培する必要が無いという考え方もあるが、採取効率を考えたら栽培するのもありだろう。


 薬草の中には、日陰で育つものもあるので、将来的に今の仮設住宅エリアが空くようなら、日陰でも育つ薬草を植えて薬草園にしてもいいかもしれない。


 そして霊域には、『ドライアド』のフラニーがすごい種類の薬草を大量に栽培してくれているので、通常手に入らないような薬草も密かに採ってくる事も出来る。


 これで人々が少しでも、健やかに過ごせるようになれば、素晴らしい事業になるだろう。


 サーヤの人選なので大丈夫だと思うが、時々ちょっとしたチート技が入るので、口が硬くて真面目な人がいいね。


 サーヤの人選眼と、人材にも適用されている『財宝発掘』スキルの力で、変な人を雇用する事はないと思う。


 この人の採用で適材を雇用出来るのは、実はかなりのチートだと思う。


 実際の社会の中では、人の雇用は大きな問題だ。


 良い悪いではなく、様々な個性の人がいるから、お互いミスマッチの雇用関係を結んでしまうことは良くあることだ。


 俺がいた世界の人事担当者にしてみたら、超絶チートと言うに違いない。



 その後、俺達はみんなでワイワイ言いながら、楽しくお店の内装、看板等について話し合った。


 リリイ、チャッピー、ミルキー達も、自分達で薬草を採っていたようで、結構詳しいことがわかった。

 もちろんサーヤも、高齢だったナーナの為に色々勉強したらしく、薬師以上の知識がありそうだ。


 実は彼女達が即戦力かもしれない……。


 この子達……ほんとに多才すぎる。


 『フェアリー薬局』はソーセージの加工場と違い、対外的にオープンするお店なので、本当はオープンイベント的なものをやった方がいいのかもしれないが、無理に宣伝する必要もないと思っている。


『フェアリー亭』からも近いし、そのうち口コミで広がるだろうと考えている。


 トルコーネさん達に来店客への宣伝をお願いすれば、それだけで十分なようにも思える。


 そして俺には大口の売り先の心当たりがある。


 上手くいくかわからないが、衛兵長や代官さんに話して、この街の衛兵隊や役所の備蓄として回復薬を購入してもらえないか頼んでみるつもりだ。


 既存の薬屋さんから購入していたり、何か問題ある場合は無理に売ろうとは思っていない。


 問題がなければ、安く販売したいと思っている。


 以前の話では、衛兵隊には回復薬の備蓄は多くないようだし、何よりも衛兵の皆が怪我した時に、気軽に使える安い回復薬が豊富にあればいいと思うんだよね。


 サーヤによれば、人族の街で売っている『身体力回復薬』の相場は……


 『下級の身体力回復薬』の低品質品で五千ゴル、高品質品で二万ゴル位、


 『中級の身体力回復薬』の低品質品で十万ゴル、高品質品で三十万ゴル位、


 『上級の身体力回復薬』の低品質品で 五十万ゴル、高品質品で百万ゴル以上するようだ。

 もっとも『上級の身体力回復薬』は、出回ること自体がほとんど無いようだ。


 というのは、作れる薬師が非常に少ないのと材料が手に入らないものが多いらしいからだ。


 『下級の魔力回復薬』の相場は大体この半分位らしい。

 『スタミナ回復薬』や『気力回復薬』は、そもそもあまり売っていないようだ。


 『解毒薬』や『麻痺解除薬』なども大体『魔力回復薬』と同じ位の相場のようだ。


 この相場を踏まえて……

 価格破壊をしない程度に安く供給してあげたいと考えている。


 もし既存の薬屋さんとかに影響を与えないなら、思い切って安くしてあげてもいいぐらいなんだけど……

 まぁそこは、状況を見てからにしよう。


 後は、俺が元いた世界で実践していた考え方として、『医食同源』というのがある。


 食べる事と医療は一緒、同じ源ということだ。


 つまり良い食べ物を摂れば、薬は必要ないということなのだ。


 俺は、これを実践する為にも、薬以外にも健康に役立つ食べ物などを販売したいと考えている。


 また食べ方の紹介も行いたい。


 薬膳的なものだ。


 薬局プラス薬膳的なお店にしたいと思う。


 人の雇用さえ決まれば、すぐにでもオープンしよう!





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、18日の予定です。


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