1431.『アルテミナ山』へ向け、出発!
俺は、新たに俺の眷属となった『聖魔不死竜』たちを連れて、『ホクネの街』から、一旦大森林に転移した。
ワイバーンたちには、ここから空を飛んで元の生息域に戻ってもらう。
そして大森林には、戦闘の序盤で仲間にした騎乗生物たちがいる。
公国軍が連れていた数多くの『軍馬』『馬車馬』『竜馬』、そして珍しいうさぎの騎獣『ジャンボラビット』たちだ。
『軍馬』『馬車馬』『竜馬』たちは、しばらくここでのんびりしてもらって、今後は『フェアリー商会』のメンバーとして活動してもらう予定だ。
具体的には、ピグシード辺境伯領で随時復興していく市町の『フェアリー商会』支店のメンバーとして、いろいろな分野で活躍してもらう。
もちろん、大森林でのんびり暮らしたいと希望する者は、無理に働かせる必要は無いので大森林で暮らしてもらう。
ただ、今までの経験上、ほとんどの馬たちは商会メンバーになることを希望してくれる。
やはり人を乗せたり、馬車を引いたりとかが好きなようだ。
それから、珍しい『ジャンボラビット』については、珍しさもあるし『アルテミナ公国』らしい騎乗生物なので、『ツリーハウスクラン』のメンバーになってもらおうかと思っている。
ムーンリバー伯爵から褒美でもらったとか、購入したというかたちにすれば問題は無いだろう。
ただ『ジャンボラビット』たちは、もともとアルテミナ山の麓に生息域があるらしいので、希望があればそこに戻してあげようと思っているけどね。
だから場合によっては、『ツリーハウスクラン』に来る事は無いかもしれない。
俺は、そんな感じの話を馬たちにしてあげた。
そしてそれを聞いた『ジャンボラビット』たちは、やはりアルテミナ山の麓に帰りたいと希望してきた。
まぁしょうがないよね。
俺の話を聞いたら、みんな口をモグモグさせ喜んでいたから、人族の街で暮らさないかとは説得できなかった……。
でかいサイズ口もぐもぐしていて、それはそれでめっちゃ可愛くて見とれていたというのもあるけどね。
ただ少し残念に思っていた俺の考えは、間違っていたようだ。
よくよく話を聞くと、一度生息域に戻った後は、マスターである俺のそばに居たいから、クランというものに行ってみたいと希望してくれたのだ。
ちょっと嬉しくなっちゃって、涙ぐんじゃいましたよ。
もちろん俺は了承した。
ただ二十体もいると、今ある厩舎ではとても無理なので、大型厩舎を作らないといけない。
そうすると……畑の面積がだいぶ潰れちゃうんだよね。
まぁそこは後で考えることにしよう。
近くに購入できる農地がないから、『商業ギルド』のビジネリアさんに探してもらうことにしよう。
もし近場で農地が購入できるならまとめて買って、このジャンボラビットたちを含めたクランの馬たちの牧場を作ってもいいかもしれない。
走り回れるから喜んでくれるだろう。
あーそれがいいかもしれない。
クラン農場の他にクラン牧場を作ってもいいね!
そんな話が終わったところで、俺は『ジャンボラビット』たちを『箱庭ファーム』に入れて、転移で移動した。
一旦、迷宮都市の北門前に設置しているコマンドルームに戻ったのだ。
そして伯爵たちに声をかけ、次の行動に移った。
それは、次に向けての第一歩である『アルテミナ山』麓での野営陣地の確保である。
駐留地を作らないと、兵士たちの輸送が始められないからね。
俺は、新型飛行船『ラビットベース』に乗って出発した。
ちなみに操縦は、俺自身が行っている。
ふふふふふふ……かなり楽しい。
◇
『アルテミナ山』に到着した。
ノリノリでスピードを出していたら、思ったよりも短時間で着いてしまった。
『アルテミナ山』は、想像していたよりも遥かに大きな山だった。
俺の元いた世界の富士山のように、形の綺麗な山だ。
その裾野は広大だ。
俺は迷宮都市から北上してきたわけで、今は『アルテミナ山』の裾野の南側にいることになる。
ここからは、『公都アルテミナ』も見える。
『アルテミナ山』から見て、西側に位置している。
『公都アルテミナ』の全貌はここからでは見ることができない。
巨大な外壁が見えるのみだ。
ムーンリバー伯爵達から聞いた話によると、俺が今まで見たどの都市よりも大きな都市のようだ。
セイバーン公爵領の『領都セイバーン』よりも大きいらしい。
迷宮都市から続いている街道は、公都の南門に繋がっている。
巨大な門があるようだが、さすがにここから門は見えない。
本当なら観光に行きたいけど……今はとてもそんな状況じゃないからね。
新しい都市を訪れて、観光ではなく奇襲のことを考えないといけないのは、なかなかに切ない話である……。
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⚫️⚫️⚫️次話の投稿は…… 2週間程度、お休みさせていただく予定です。
場合によっては、もう少し伸びるかもしれません。すみません。
何卒、よろしくお願いします。




