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1432/1442

1423.敵兵が、ほぼ自軍兵士に。

 俺は、迷宮都市全域の状況を把握したところで、改めてムーンリバー伯爵と打ち合わせを行った。


 伯爵に従う貴族や文官たちも集まっていて、伯爵はテキパキと指示を出してくれていた。


 それが終わって、一息ついたところで伯爵が疑問を口にした。


「あの突如として現れた『仮面の勇者』と名乗る者は……何者なのだろう?」


 伯爵が疑問に思うのは当然だろう。


 勇者と名乗る者が突然現れたわけだからね。


 さすがに俺と一緒にいるときに現れているから、俺が勇者だと疑っている素振りはない。

 狙い通りである。


「そうですね……突然のことで私も分かりませんが、我々を助けてくれたと言えますから……心強い助っ人と考えれば良いのではないでしょうか。

 もしかしたら……『アルテミス』様の使いかもしれませんし……」


 俺が思わずそんなことを言ってしまったので、伯爵はそばにいたムーンラビーさんを見つめた。


 彼女は疲労から完全回復していなく、まだ少し気怠るそうだ。


「あの……今のところ……『アルテミス』様から、『仮面の勇者』様についての啓示や神託は降りておりません」


 ムーンラビーさんはそう答えながら、俺を見てニヤリとした。


 なんとなく……俺だっていうことに気づいているのかな……。


 もちろん『アルテミス』様にはお見通しだろうし、ムーンラビーさんも勘がいいからね。


「伯爵、私も気になるところですが、今は気にしてもしょうがないでしょう。

 あの方が本当に勇者様だととすれば、またいずれお会いする機会もあるでしょう。

 その機会を楽しみに待ちましょう」


 トワイライトさんがいいフォローをしてくれた。


「……そうですな。また心強い援軍として現れてくれることを祈りましょう」


 伯爵も納得してくれたようだ。


 迷宮都市内の被害状況の確認と今後の方針が決まり動き出しているが、実は決めなければならない大きな問題が一つ残っている。


 それは、北門の外で待機している九千人の兵士たちの問題だ。


 ムーンリバー伯爵及びこの迷宮都市を討伐するために編成された公国軍一万のうちの九千人だ。


 そのうち約五千人はトワイライトさんの言葉を聞き恭順の意を示した者たちで、四千人は即座には判断できず、止むなく投降した者たちである。


 残る千人は、幹部クラスが多く俺たちに向かって攻撃を仕掛けてきた者たちで、今は拘束した状態になっている。


 死者を出していないので、一万人規模の軍勢がまるまる残っている状態なのだ。


 数が多いだけに、この後どう対応するかは大きな問題である。


 これについてもムーンリバー伯爵たちと話し合い、結論を出した。


 まず最初に恭順してくれた五千人は、再編成して奪還軍に組み込むことにした。


 そして投降した四千人についても、一応奪還軍に組み込むというかたちにした。

 迷宮都市に置いていておいてもしょうがないからね。


 ただし後で裏切られても困るので、四千人はまとめて配置することにした。

 予備軍という位置づけである。


 ただ、この中で心から恭順の意を示す者が、既に現れているようだ。


 また、混乱して判断がつかなかっただけで、明確に敵対意識を持っていない者がほとんどである事は明らかだ。


 それゆえに、これから改めて一人ずつ面談をして、人間性を判断して、正規軍に編入する予定にしている。


 面談をして人間性の判断をするのは、最初に恭順の意を示した四千人に対しても実施しておくべきことだ。


 もしかしたら、その中にも悪意を持っている者がいるかもしれないからね。


 ただ数が多いので、公都までの道中で随時面談をする予定だ。


 あと、拘束した千人についても一緒に連れて行って、面談も一応することになった。


 と言うことで、結局公国軍全軍を引き連れて公都まで行くことになったのだ。


 道中での面談については、合計で約一万人もいるので、普通に考えてやりきれるわけは無いのだが、伯爵が何とか知恵を絞ってくれたようだ。


 ちなみに面談内容は、簡単な内容にして大人数で行うことにしたらしい。


 面談は伯爵が選抜した部下たちが行うが、人間性を評価できる人材が多くいるわけではないので、そういう形式にならざるを得なかったようだ。


 精度に関して少し不安が残るので、俺は密かに面接の場にスライムたちを潜入させて、チェックするつもりではいる。


 俺の『絆』メンバーには、『共有スキル』の『虚偽看破』があるからね。



 それから、すぐにでも公都に向け進軍する予定ではあるが、一旦兵士たちを休ませることにした。


 みんなここまで強行軍だったはずなので、休ませてあげないと公都までもたないだろう。


 炊き出しをしてお腹いっぱいになってもらって、体を休めた後に出発する。


 炊き出しは、ムーンリバー伯爵の部下たちの手配で行ってもらうが、トワイライトさんやタマルさんも手伝うことになっている。


 兵士たちは、思わぬ展開で奪還軍に加わることになったわけだが、直接トワイライトさんやタマルさんと接すれば、士気も上がるだろう。




読んでいただき、誠にありがとうございます。


ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

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誤字報告も、助かっています。ペコリ。


次話の投稿は、明日か明後日の予定です。


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