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1421.第一ラウンド、強制終了……。

 宰相が突然悪魔に変化した。


 だが今まで見たような食い破られて悪魔が現れるという感じではない。

 初めから悪魔が変装していたという印象を受ける。


 そして……なんだあれは!?


 角が四つある……。


 俺は、すぐに『波動鑑定』で確認した。


 ん……この感じ……鑑定を阻害しているのか?


 だが『限界突破ステータス』の俺には、そんなものは通用しない。


 阻害したザラついた画面から、一瞬本来の画面が垣間見える。


 『種族』が『呪いの悪魔(貴族級)』となっている。


 ……これは……上級悪魔の上の存在ということか?


 レベルは85だ。


 やはり上級悪魔の上の存在のようだ。


 今まで倒した上級悪魔にレベル80以上の者はいなかった。


 悪魔としては、過去最高レベルだ。


「ガハハ、公都はこれより厳戒態勢となる。

 外部からの侵入者は、一切受け付けない。

 そして、お前たちが五日以内に公都の門を開けられねば、民の命はないと思え! ガハハハハハ」


 悪魔が突然わけのわからないことを言い出した。


 何言ってんだこいつ……。


 ……この宣言……そしてこの雰囲気……まさか、このまま立ち去る気か?


 やばいな……この場で倒れてしまわないと。


 そう思った瞬間、一瞬で奴は消えた。


 転移で移動したようだ。


 俺の予感が的中したようで、姿を晒したにもかかわらず、攻撃するどころか撤退してしまったらしい。


 ……意味不明だな。


 ここで悪魔の姿を晒したのは、挑発するためか?


 繰り出してきた様々な戦力をあっという間に無力化したというのに、動じた様子はなかった。


 圧倒的な自信があるのだろう。


 奴の言葉が本当なら、今までは寄生し隠れ蓑にするかたちだった『アルテミナ公国』を攻撃対象にするということだ。


 そして多くの命を奪って、怨念を回収するつもりだ。


 今までは、実質的に支配していたにもかかわらず長く潜伏した。


 陰ながら少しずつ怨念を回収するような事はしていたのかもしれないが、あからさまにはやっていなかった。


 ここにきて、大きな方向転換をしたわけか……。


 にわかには信じられないが……。


 宰相が悪魔であることがバレたからなのか……?


 いや、自分でバラしたんだから、それはないか。


 連れてきた兵士のほとんどを寝返りで失ったとは言え、国の中枢を握っている以上、現状維持することだってできただろうに……。


 ……奴の真意がわからない。


 だがこうなった以上は、公都に行って人々を救うしかない。


 五日と言っていたが、悪魔が約束を守るとも思えないし、なるべく早く行かなくては……。


 俺は、改めて事態を整理する。


 最後の最後に宰相はその正体を晒した。


 俺の見立てでは、初めから悪魔がなりすましていた感じだ。


 今までのように悪魔と契約した者が、悪魔に食い破られた感じではなかった。


 そして奴は四本角。

 三本角の上級悪魔よりも上の存在、貴族悪魔という奴だった。


 わざわざ正体を晒して、五日という時間をとって公都民の皆殺しを宣言した。


 なぜそんな回りくどいことをする必要があるのか……?


 奴の真意が本当に読めない。


 俺たちのせいで計画が狂い、予定を変えたというようなことを言っていたが……それだけとも思えない。


 あらかじめ予定していた“プランB”的なことなのか?


 まぁ悪魔の考えなど、読めるものではないが。


 どこまでもふざけた奴らで、どこまでも残忍な奴らだからね。


 奴のせいで気がかりは残るが、今回の戦い一回でケリがつくとも思っていないかったから、迷宮都市を守れたことで良しとしよう。


 ムシャクシャするが思考を切り替えて、一旦は大勝利したと考えることにしよう。


 人々にもそう告知することが大事だ。


 今回の迷宮都市防衛戦を大勝利したとして、人々の心に刻み込まなければならない。

 それが真の反逆の狼煙である。


 俺はトワイライトさんに念話を繋ぎ、勝利宣言をするように伝えた。


「迷宮都市の皆さん、危機は去りました。

 よくぞ耐え忍んでくれました。

 よくぞ共に戦ってくれました」


 トワイライトさんの声が迷宮都市中に響くと、大歓声が湧き上がった。


 『キンちゃん放送局』によって映像と音声が都市全域に届けられているのだ。


「映像を見ていた方もいると思いますが、やはりこの国は悪魔に侵されています。

 宰相は、悪魔がなりすました存在でした。

 そして我々は、公都の民を救いにいかねばなりません!

 我々の主力の部隊は、これから公都に進軍します。

 ですからどうか、皆さんは残る冒険者たちとともに、ここを守ってください!」


 またもや大歓声が上がる。


「我々がここを離れても心配しないでください。

 今までに迷宮都市を何度も救った『キング殺し』ことグリム・シンオベロン卿、妖精女神のニア様及び妖精女神の使徒様たちが、この迷宮都市を守ってくださいます。

 そう約束してくださいました」


 ここでまた大歓声だ。


 『キング殺し』コールまで起きた。


 今回俺は表立って活動しないことにしているが、迷宮都市に残される人々の不安を解消するために、このタイミングで名前を出す事は許可していたのだ。


 迷宮都市の中では、既に『キング殺し』として有名になっているし、逆にこのぐらいの協力はしないと不自然だからね。


 それに、あくまで冒険者としての強力だから問題は無い。


「迷宮都市の皆さん、本当によく耐えてくれました。

 ありがとうございました。

 この後は、どうぞゆっくり休んでください」


 心労も大きかっただろう人々に気を使い、トワイライトさんの挨拶が手短に終わった。


 トワイライトさんと一緒に『月光の勇者』の再来タマルさんと、太守のムーンリバー伯爵が写っていたので、しばらくは、『トワイライト公女殿下』『月光の勇者タマル様』『ムーンリバー伯爵様』という歓声が上がっていた。


 そして最後には、なぜか『キング殺し』コールと、『アイラブユー』コールが巻き起こっていた。


 『アイラブユー』コールは、最近『愛と武勇の女神』と呼ばれているニアのことである。


 みんなは『愛と武勇』と叫んでいるのだが、俺には『アイラブユー』と聞こえるんだよね。




読んでいただき、誠にありがとうございます。


ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。

誤字報告も、助かっています。ペコリ。


次話の投稿は、明日か明後日の予定です。


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何卒、よろしくお願いします。

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