1416.完成! メカワイバーン。
突如として現れ、宙に浮いているのは『仮面の勇者マスカレード』、そう俺の第三の姿だ。
だが俺は、外壁の上に伯爵たちと共にいる。
『仮面の勇者マスカレード』は、俺の世を忍ぶ仮の姿なので、当然のことながら『絆』メンバーと秘密基地メンバー以外には内緒である。
共闘している伯爵たちにも内緒なのだ。
今の状況は、アリバイ作りというか、別人設定のために最適な状況だ。
それゆえに、ここで利用させてもらうことにした。
あの空中に浮かんでいる『仮面の勇者マスカレード』の正体は、俺の『自問自答』スキル『ナビゲーター』コマンドのナビーである。
フルフェイスのマスクで正体を隠しているので、こんな芸当もできるのだ。
声色も、もともと仮面の勇者の時は別の声色にしているので、ナビーでも問題ない。
ちなみにキャラ設定としては……強気な俺様系という感じになっている。
「あれは……南区に現れたという新たな勇者!?」
ムーンリバー伯爵が驚きの声を上げる。
「そのようです。
名前は『仮面の勇者マスカレード』様ですね?」
トワイライトさんが、ムーンリバー伯爵に答えつつ仮面の勇者に向かって問いかける。
トワイライトさんは『絆』メンバーなので、このカラクリについて知っている。
事前にこんな展開の可能性も打ち合わせしていたので、上手く対応してくれている。
『仮面勇者マスカレード』は覗くと、更に上空に舞い上がった。
上空を旋回しているワイバーンたちに向かっている。
そして加速して、旋回しているワイバーンの一体にパンチを打ち込んだ。
ワイバーンはグピィィィと悲鳴をあげて、遥か遠くに吹っ飛んだ。
マスカレードナビーは、そのまま残りの三体に連続でキックを放って、同様に吹っ飛ばした。
そしてそのまま飛び去ってしまったのだ。
実はこれには裏がある。
普通ならマスカレードナビーが倒してしまうところだが……今のナビーの行動は、このゾンビワイバーンたちを人目のないところに移動させることが目的なのだ。
このゾンビワイバーンが、さっきのゾンビ達と同じような存在だとすれば、俺の血を飲ませれば変性するかもしれない。
そう考えた俺は、密かにナビーに念話をして、指示を出していたのだ。
ここで倒してしまわないで、無力化することにしたわけである。
だからナビーは格闘で吹っ飛ばし、人目のないところに強制移動させたのだ。
そして密かに追いかけて、『箱庭ファーム』にしまうという作戦である。
その後、別のところに移動して俺の血を与えて浄化するのだ。
だが先に降りてきた一体は、ここに残ってしまっている。
そして羽を広げて強風を巻き起こし、兵士たちを巻き弾き飛ばしている。
こいつも早くなんとかしなければ。
と思っていたら、おおっと、また巨大なものが降りて来た。
だが、あれは……。
新たなワイバーンが降り立った。
その頭には『仮面の勇者マスカレード』が乗っている。
ナビー仕様のマスカレードが、ワイバーンに乗って戻ってきたのだ。
乗ってと言ってもワイバーンは巨大だから、頭の上に立っている状態だ。
しかも、そのワイバーンはゾンビワイバーンではない。
実は仮面の勇者マスカレード構想の中で、マスカレードの乗り物も用意していたのだ。
それを実戦投入したのである。
もちろん念話で打ち合わせしてのことだ。
現れた敵がワイバーンだから、ちょうど良いと言うこともあって、早速登場させることにしたのだ。
マスカレードナビーが乗っているのは、俺たちがあらかじめ準備していたメカワイバーンなのである。
このメカワイバーンは、『マシマグナ第四帝国』の遺跡である『勇者力研究所』で発見した作りかけで放置されていたものだ。
それを完成させたのである。
基になっているワイバーンは、悪魔に操られたワイバーンで、その当時のエメラルディアさんが『アルシャドウ号』で特攻をかけ倒したものだ。
その時、エメラルディアさんは命を落としている。
曰く付きのワイバーンなのである。
『勇者力研究所』には、回収したワイバーンのパーツが二つあった。
胸より上の部分のパーツと、腰より下の部分のパーツがあって魔法機械が組み込まれ改造されていたが、途中で中断していたような状態であった。
そのパーツを利用し、また残されていた設計図を参考にして実際にメガワイバーンとして組み上げたのである。
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