1398.レスキュー部隊も、配置済み。
中区に当初から配置していたメンバーは、問題なく戦えている。
応援要員として呼んだと盾の付喪神フミナさん達も、既に戦闘を開始していて、広範囲な戦線をカバーしてくれている。
中区全域に『獣インプ』と『獣ジャキ』が広がっているが、今のところ一般人の被害もほとんど出ていない。
勇敢な市民が戦いを挑んで怪我をしているという程度だ。
そういう少し無謀な人たちも、すぐに救助されている。
俺の配置したレスキューメンバーによって救出されているのだ。
もともと迷宮都市を巡回してもらっていた百七体の『スライム』たち、この『スライム』たちを一旦中区に集め、人々を救出するレスキューメンバーになってもらっている。
北門前の広場に展開した特殊な『スライム』たちとは違い、通常の『スライム』たちである。
この子たちには、『スライム』の特殊な進化の実験に付き合ってもらっている事情があって、未だにレベル上げをしていない。
それ故に、主戦力ではなくレスキュー隊員になってもらったのだ。
それから、ニアの猿軍団の一団である『飛猿』の軍団にも、レスキュー隊員として中区を担当してもらっている。
上空から状況を広く確認できるので、適任なのである。
もともとクラン上空を警備していたヤシチはそのままだが、それ以外の『飛猿』たちを近くの生息地から呼び寄せたのだ。
この二つのレスキューチームの活躍もあって、大きな被害が出ていないとも言える。
影の功労者である。
そんなこともあり、このままオカリナさん達が順調に敵を倒していけば早晩殲滅できるだろう。
だが、ここでもう一押し、ヒーローに登場してもらったほうがいい。
これは戦略的なものだ。
旗頭となるべき人は、なるべく多くの人の目に触れ、そして多くの人を直接助けたほうがいいからね。
と言うわけで、北門前の戦いに参戦していたトワイライトさんとタマルさんに念話を入れ、中区の応援に来てもらうことにした。
この国を守護する戦巫女と勇者が現れて、人々を救うというのは、胸熱展開になるはずだ。
だが、北門前から中区への移動はそれなりの距離があるので、普通はすぐにはできない。
もっとも、俺の仲間たちならそれは問題にならない。
彼女たちは『絆』メンバーなので、『共有スキル』にセットされている『跳躍移動』を使えば、短時間で移動できる。
また、事前に転移の魔法道具に登録しておけば、一瞬で移動できる。
それ故、基本的には問題はないのだ。
ただせっかくなので、登場もちょっと特別なものにしたい。
そこで少し演出を考えた。
それは、新たに用意した飛行艇で登場してもらうという演出だ。
飛行艇は現代では失われた技術であり、それだけでド派手な登場と言えるし、飛行艇の意匠にも工夫を凝らして更にインパクトを強めている。
(グリムさん、じゃあ行きます!)
(そちらの状況は大丈夫ですか?)
準備ができたようで、トワイライトさんとタマルさんから念話が入った。
(こちらの状況は、だいぶ落ち着いていますが、まだ敵は相当数残っています。
こっちでも、ド派手に倒しちゃってください!)
(スタンバイオッケーなのです!
最大船速で急行しちゃうのです!)
今度は、『ドワーフ』のミネちゃんから念話が入った。
操船をしてくれるのはミネちゃんなのだ。
(ありがとう、ミネちゃん。かっこいい登場を頼むね)
(了解なのです! 任せてなのです!
新造戦艦就航なのです!)
ミネちゃんが声を弾ませた。
新たに作った飛行艇は、ミネちゃんを中心に作ったのだ。
実際はこのために作ったと言うよりは、ミネちゃんがもともと新型の戦艦の試作船を作りたいと言って、試作していたものを急遽実戦投入することにしたのだ。
あくまで飛行機構のテスト用なので、武装とかはあまりない。
でも今回の役割には、ぴったりなのである。
ミネちゃんは、元々浮遊させる魔法道具を作るのが得意で、『浮遊戦艦ミニトマト』も作ってくれたし、その性能をさらにアップされてくれていたりした。
その性能は、今ではかなり上空まで浮遊して移動できるので、飛行船と言っていいほどの性能になっている。
だが、今回はそれとは別原理で完全な飛行と高速飛行を実現する飛行船を作ったのだ。
それと言うのも、『マシマグナ第四帝国』時代の飛行船の飛行原理を再現できたからである。
『高速飛行艇 アルシャドウ号』の付喪神であるエメラルディアさんのお陰で、失われた技術が一つ解明できたのだ。
エメラルディアさんは、技術者ではないので魔法技術について詳しいわけではなかったが、付喪神となったことで、自分の体である飛行艇の構造については、ある程度理解できるらしいのだ。
それをもとに、ミネちゃんや人族の天才ドロシーちゃんたちが、研究を重ね、飛行機構を再現できたのである。
ミネちゃん的には完全再現までには至っていないみたいだが、これを補う特別な素材を使って、『アルシャドウ号』とほぼ同等の飛行船が作れるようになったのだ。
ちなみに、その特別な素材と言うのは、俺がセイバーン公爵領での戦いの時に倒した巨大クラゲ魔物のゼリー物質である。
魔力を流すと、浮遊する性能があるのだ。
これによって、問題をクリアし、テスト船を作っていたと言うわけである。
そして早速、実戦に投入しようという話になったのだ。
さらには、今回の実戦投入に当たっては、俺の希望で若干の仕様変更を加えている。
主に外見だけどね。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。
評価していただいた方、ありがとうございます。
誤字報告も、助かっています。ペコリ。
次話の投稿は、明日か明後日の予定です。
もしよろしければ、下の評価欄から『評価』をお願いします。励みになります。★★★★★
『ブックマーク』と『いいね』も、お願いします。
何卒、よろしくお願いします。




