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1397.黄金鎧の、無双牛。

 『ヘスティア王国』第三王女のファーネシーさんを中心としたパーティー『守護炎の騎士』も、安定的な戦いをしている。


 『守護炎の騎士』は、もともと五人組の『守護炎の騎士』に、薬師三人娘と魔法使い二人組と『水使い』のアクアリアさんが加わった合併パーティーだが、今ではすっかりチームとして機能している。


 やはり盾を装備した重装備の騎士が多いので、堅実だ。

 元々ファーネシーさんとパーティーを組んでいた四人の従者たちとファーネシーさんがフルアーマーの重装備だからね。


 ファーネシーさん以外の四人が、『タンク』として機能しているので、『希望の枝(ブランチオブホープ)』と同じようなスタイルとなる。


 本来は、四人のうち二人が『タンク』で二人が『アタッカー』なのだが、こういう乱戦の場合は、四人でタンクをするとことになっている。


 残る『アタッカー』は、ファーネシーさんだ。


 ファーネシーさんは、真紅のハルバードを振り回して、『獣ジャキ』を寄せ付けずに連続攻撃を放っている。

 纏っている深紅のメタリック鎧と合わせて、めちゃめちゃ目立っているし、めちゃめちゃかっこいい。


 薬師三人娘は、『魔法のライフル銃』で遠距離攻撃をしている。


 『魔法のライフル銃』を仕入れてくれたファーネシーさんの執事のセバスチャンさんが銃の特訓をしてくれていたが、今ではすっかり使いこなしている。

 みんな“一流”と言っていいほどの長銃使いだ。


 そして、魔法使いの二人組もしっかり機能している。


 彼女たちは、今は亡き『ドクロベルクラン』で搾取されていた二人組だが、貴重な魔法スキルの使い手だ。

 赤髪のオーツさんは『火魔法』、茶髪のライさんは『土魔法』を使って、効果的な攻撃を放っている。


 『火魔法』で飛んでいる『獣インプ』を撃ち落とし、『土魔法』で地上の『獣ジャキ』を攻撃したり、ファーネシーさんの方に誘導していたりする。

 いい感じの連携である。


 『水使い』のアクアリアさんも魔法銃がメイン武器だ。

 分厚い毛皮の『獣ジャキ』を場合によっては、一撃で仕留めている。


 アクアリアさんも含めて、このパーティーの遠距離攻撃の火力は、中堅冒険者の中では突出しているのではないだろうか。


 またアクアリアさんは、本来回復が得意なので、パーティーとしての安定感も抜群になっている。


 重騎士四人のタンクで鉄壁の守り、接近戦ではファーネシーさんがハルバードで強力な攻撃、遠距離では魔法銃と魔法による攻撃が炸裂する。そして回復も完璧。


 彼女たちにとって、『獣インプ』『獣ジャキ』は格上のレベル帯だし、奴らはレベル以上の強さを持っているわけだが、全く危なげない戦い振りだ。


 特に遠距離攻撃の要員が多いので、空を飛んでいる『獣インプ』はもはや的でしかない。


 彼女たちはまだDランクであるが、もうCランクの実力はあるんじゃないだろうか。


 そう遠くない先にBランクも狙えそうだ。


 それから、実は今回、このパーティーに特別参加しているメンバーがいる。


 それは、元々『ヘスティア王国』で儀礼用に飼われていた『白金牛』のモバスチャンだ。


 モバスチャンは、クランの農場でのんびり過ごしてもらう予定だったし、実際そうしていた。


 だが、大好きなファーネシーさんと一緒に戦いたいという願望があったようで、密かに戦える力を手に入れたのだ。


 ニアやハナシルリちゃんが中心となって相談に乗り、プロデュースしたかたちだ。


 『コボルト』の里に頼んで作ってもらった専用装備である。


 『相棒犬(バディドッグ)』用の装備を作るノウハウを活かして、全身に装着する武器を兼ねた鎧を作ってくれたのだ。


 『名称』が『フルアーマーモバスチャン』となっていて、まさに牛が、と言うかモバスチャンが装着する全身鎧なのである。


 実は完成したばかりなのだが、ちょうど良いタイミングでの実戦投入となった。


 鎧は輝く黄金色なので、俺が好きだったアニメの装備を思い出してしまう。

 心を燃やして戦う聖なる闘士たちの物語に登場する、おうし座の鎧だ。


 アニメの場合は牛の形態の鎧が分解して人が装着するのだが、モバスチャンの場合はそのまま牛が装着しているわけだ。


 そしてモバスチャンは、鎧の性能を発揮して戦力として活躍している。


 突進する黄金の塊となって、『獣ジャキ』を弾き飛ばしているのだ。


 モバスチャンは、十分なレベル上げができていないので、このパーティーの中では一番レベルが低い。


 だが、鎧の性能のお陰で充分戦えているのだ。


 まぁ戦うと言っても、体当たりで弾き飛ばしたり、轢き倒しているだけなんだけどね。


 そういう意味では、今回のような乱戦で敵がまとまった数がいたのが逆に良かったかもしれない。

 多少は避けられているが、それなりの命中率で体当たりできているからね。


 それにしても……この鎧の頑丈さ、すごいな。


 この系統の鎧を量産して、俺の動物型の仲間たちに装着させたら、もうそれだけで世界を征服できるんじゃないだろうか。


 いや、それ以前に大森林の仲間たちとか、鎧なんかなくても世界が征服できてしまう戦力ではあるんだけどね。

 当然そんな事はやらないけどね。


 それはともかく、モバスチャン……なんか生き生きしている。

 実はバトルジャンキーだったりして……?


 まぁファーネシーさんと一緒に戦えているのが嬉しいのだろう。


 実は、ファーネシーさんは、モバスチャンが戦闘に加わることに難色を示していた。


 大事なモバスチャンを危険にさらしたくないと考えていたようだ。


 だがそこはニアが説得するとともに、モバスチャンがそういう意思表示をして、納得してもらったのだ。


 ファーネシーさんは、『絆』メンバーではないのでモバスチャンと念話で話すことはできないが、ニアがモバスチャンが強い意志を持っているということを伝えてくれたのである。


 そんなファーネシーさんだが、この戦いぶりを見て、安心しているのではないだろうか。


 と言うか、モバスチャンの動きが凄すぎて、時々ファーネシーさんが驚いて固まっているけどね。


 これは逆に危ない。

 後で注意をしておこう。


 パーティーメンバーそれぞれ良い活躍をしているのだが、モバスチャンのインパクトが凄すぎて、一人勝ちと言うか一人目立ちみたいな雰囲気になっている。


 まさに暴れ牛状態である。


 今後、モバスチャンが正式にこのパーティーに入ったら、十二人と更に大所帯になるが、より無双なパーティーになってしまうだろう。


 迷宮都市でも、名実ともにトップランクになると思う。


 現時点でも、彼女たちのパーティーは結構有名みたいだからね。

 今後が楽しみである。






読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、明日か明後日の予定です。


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