1181.三組合わせて、すごいパーティーに!
話をしていた俺たちは解散し、伯爵一家とギルド長たちは、帰って行った。
伯爵の屋敷に、ツリッシュちゃんを連れて行くのは、夕方にしてもらった。
昨夜の襲撃事件に関連して、少しやっておきたいとことがあるのだ。
まずは、『ドクロベルクラン』に所属していて、俺がお金を貸すかたちで借金を返済し、抜け出した人たちを呼んだ。
みんな『ツリーハウスクラン』のメンバーになってくれるのだが、この人たちも昨夜の襲撃を知り、心配して駆けつけてくれていたのだ。
みんな自分たちに関わった為に、『ドクロベルクラン』に襲われてしまって、申し訳ないと謝っていた。
もちろん彼女たちが悪いわけではないので、俺は気にする必要はないと言って、謝るのをやめてもらった。
そして『ドクロベルクラン』が潰れたこと及びその際戦利品として奴らの持っていたお金を没収したことを伝えた。
それで借金がなしになったので、俺に対する返済もする必要がなくなったという話をした。
みんな驚いていたが、ホッとしたようだった。
今没収したお金の中から、各人に百万ゴルずつ渡すという話もした。
だが、その百万ゴルを誰一人受け取ろうとせずに、クランで使ってほしいと申し出てきた。
だが、俺は無理矢理渡した。
もしクランのために使いたいと思ったら、自分で使えばいいという話をして、説得したのだ。
一応みんな了承してくれて、一度は受け取ってくれた。
だが、何人かはそんな大金を持ってるのが怖いとか、どう保管しておけばいいかわからないみたいなことを言って、困っていた。
確かに魔法カバンとかを思っていなければ、持ち歩くのも大変だし、泥棒に会う可能性もあるからね。
まぁクランの中で盗むような人はいないと思うけど。
ふと思ったが……今後他の冒険者の為にも、お金を安全に保管する方法を考えてあげたほうがいい。
一人ずつに、金庫みたいなものを渡せればいいんだけどね……金庫なんてないしなぁ。
まぁこの世界でも、貴族や豪商は金庫を使ってたりするみたいだから、どこかに売っているとは思うんだけど。
今日のところはしょうがないので、一旦俺が預かってあげることにした。
使いたい時に言ってくれれば、渡すという感じの運用になってしまったのだ。
俺としては、面倒くさいから早く対策を考えたいところだ。
何人かは武具を買おうかとも言っていたのだが、どうしても買いたい物があるならいいが、そうでないならクランメンバーに支給する武具があるから、それを見てからにしたほうがいいとアドバイスした。
まさか武具の支給があるとは思っていなかったらしく、皆大喜びしていた。
それから、俺は使いを出して、ある冒険者たちを屋敷に呼んだ。
『ドクロベルクラン』の悪事について調べていた九人だ。
この人達は、セイバーン公爵領で奴隷として売られていたところを助けた人たちだ。
騙されて奴隷にされた経緯を調べている中で、『ドクロベルクラン』が関わっていたらしいことを突き止めていたのだ。
だが『ドクロベルクラン』が暴挙に出て自滅したために、その筋から原因を調査することは、もうできなくなってしまった。
彼らにとっては、ある意味残念なことだ。
だが、襲撃を返り討ちにした件も聞いていたらしく、敵を取ってもらったようなものだと喜んでくれていた。
引き続き、調査できる事は調査したいと言うので、ついでに『黒の賢者』という言葉や黒ずくめの人間についての情報も、探ってもらうことにした。
彼らも冒険者に復帰する予定で、クランメンバーになってくれるので、今の宿屋から、このクランに移るようにも話をした。
皆喜んでくれていた。
もちろん彼らは冒険者に復帰するわけだが……なんとなく『ツリーハウスクラン』の調査部門を担当してくれそうな……そんな予感もあったりする。
結構優秀だと思うんだよね。
次に俺は、クランメンバーとなっている『ヘスティア王国』第三王女のファーネシーさんたちの冒険者パーティー『守護炎の騎士』五人を呼んだ。
彼女たちは、全員十六歳だが、Dランクに昇格している。
改めて考えると、かなりすごいことだと思う。
みんなが全身鎧を着ていて、『タンク』二人と『アタッカー』三人というバランスの悪さだけが目についているけど、もともとレベルが高かったとはいえ、一年でDランクに上がったのは、すごく立派だと思う。
それから、先ほど来てくれていた『ドクロベルクラン』から搾取されていた女性二人組の冒険者オーツさんとライさんも呼んだ。
二人とも十六歳で、Eランクに上がったばかりの冒険者ではあるが、赤髪のオーツさんは『火魔法』、茶髪のライさんは『土魔法』が使える。
貴重な魔法スキルの使い手なのだ。
もう一組、薬師の技量を持ちながら、冒険者に挑戦する新人の女の子三人組も呼んだ。
彼女たちはともに十八歳で、登録しただけで、まだ一度も迷宮に入っていないFランクだ。
なぜこの三組を呼んだかといえば……それは、俺が閃いてしまったからだ。
この三組を一つにまとめて、バランスのとれた冒険者パーティーを作ろうと思いついちゃったのだ!
最近気がついたんだが……結構パーティーユニットを編成するのって……楽しいんだよね!
シミュレーションRPGとかで、ユニット編成が楽しかった記憶を思い出したり、アイドルプロデューサーになった気分も味わったりできるんだよね。
『ヘスティア王国』第三王女ファーネシーさんのパーティー『守護炎の騎士』 は、前衛しかおらずバランスが悪いが、ここに魔法使いの二人を付け加えると、魔法攻撃すなわち遠距離攻撃ができるようになるのだ。
そして薬師娘三人組を加えれば、回復薬を使って支援することもできるし、新人なだけに、新しく遠距離攻撃の武器を教え込むこともできる。
実はこの三人には……ファーネシーさんの執事であるセバスチャンさんが調達した、『魔法のライフル銃』三丁を使ってもらおうと思っている。
これは、『戦闘執事』で元冒険者でもあるセバスチャンさんが、王女のパーティーのバランスを悪さを心配して、個別に取り寄せた武器だ。
ただ王女たちに使わせることは、あまり考えていなかったようで、遠距離攻撃要員を新たに募集したほうがいいと思っていたそうなのだ。
事前に俺が少し話をしたときに、そんな構想を話してくれていたのだ。
そして、俺のプランを話したら、喜んで賛同してくれた。
魔法銃の使い方は、自分が仕込むとまで言ってくれたのだ。
先生も確保できて、俺としては超ラッキーだ。
これで薬師娘三人組が、魔法銃を使いこなせるようになれば、遠距離攻撃ができる。
同時に回復薬を使ったヒーラーも兼ねることができるから、三人で『ロングアタッカー』と『ヒーラー』を務めるというわけである。
『タンク』二人、『アタッカー』三人、『魔法使い』二人、『ロングアタッカー』兼『ヒーラー』三人、バランスのとれたいいパーティーになると思うんだよね。
本当はこれに『斥候』ポジションがいれば、完璧なのだが……まぁとりあえずはいいだろう。
合同で一つのパーティーを作るという構想を話したところ、彼女たちは驚きつつも、皆喜んでくれていた。
ただ薬師娘三人組は、レベルも低く、迷惑なのではないかと恐縮していたので、これから追いつけば問題ないと言ってあげた。
他の女の子たちも、「気にしなくていいよ」と声をかけてくれていたので、きっと大丈夫だろう。
すでに女の子同士でできているグループを三つ合わせるのは、普通なら人間関係で問題が起こりそうだが、この子たちからは、そんな感じは全く受けない。
大丈夫だと思うんだよね。
そもそも、人間関係で問題を起こしそうな人は、面接で弾いているからね。
パーティー名は、第三王女ファーネシーさんたちの『守護炎の騎士』 でいくことにしたようだ。
そこら辺の話し合いは、任せたんだけどね。
そしてリーダーも、ファーネシーさんが務めることになったらしい。
そして嬉しいことに、しばらくの間は『戦闘執事』のセバスチャンさんが、迷宮に同行してくれることになった。
彼は元冒険者だから、保護者的についていってくれるだけで、すごく安心できる。
この新パーティーは……かなり有望だと思う!
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