1162.クランの、状況確認。
『セイチョウ迷宮』で悪魔の襲撃を退け、その事後処理を終えた俺たちは、転移で『ツリーハウス屋敷』に戻って来た。
『ドクロベルクラン』の襲撃を防いだ後の処理を、ニアたちに丸投げして、『セイチョウ迷宮』に行ってしまったので、その後の状況を確認しないといけない。
『セイチョウ迷宮』で何があったのか聞きたくてしょうがないニアに、手短にポイントだけ報告して、俺は屋敷の状況確認をした。
……現時点では、すでに大きな混乱はなく、収束されているようだ。
衛兵隊は解散している。
騒ぎを聞いて集まって来た一般の冒険者たちも、もう戻っているようだ。
今は、遠巻きに見ている人が、ちらほらいる程度だ。
クランの子供たちの姿は、見えない。
再び眠ってくれたようだ。
怖かったと思うが、よく持ちこたえてくれた。
『ツリーハウスクラン』の仲間になってくれた冒険者たちは、まだここへの引っ越しが終わっておらず、夜襲の際は不在だった。
だが、みんな駆けつけて来てくれている。
駆けつけてくれた人たちへの状況説明は、ここにいたメンバーが行ってくれたようなので、今は心配そうな表情ではなく、落ち着いた感じで、庭の椅子に座っている。
帰らずに、残ってくれているのだ。
俺は、敵の気配を追って出かけたことになっているが、何の収穫もなかったことにするしかない。
『セイチョウ迷宮』に悪魔が襲って来て、撃退していたなんて言えないからね。
俺は残ってくれているメンバーに、敵らしき者がいたので、追ったが収穫がなかったと話しつつ、集まってくれたことへの労いの言葉をかけた。
「すまなかったね。私たちの引っ越しが終わってれば、少しは役に立てたんだけどね」
そう言ってくれたのは、トップランカーであるBランク冒険者パーティー『闘雷武』のリーダーアミスさんだ。
「私たちも、面目ありません。荷物の整理のために、一度屋敷に帰ってしまいました。こんなことなら、残るんでした……」
悔しそうに唇をかみしめたのは、『ヘスティア王国』第三王女のファーネシーさんだ。
Dランクパーティー『守護炎の騎士』のリーダーでもある。
「俺たちだって、同じですよ。せっかくメンバーにしてもらったのに、大事な時に居なくて……」
同様に悔しそうに拳を握ったのは、炊事係をしてくれることになっている“ガングロおじさん五人組”ことDランクパーティー『黒き飽食』のリーダー、ニクスキーさんだ。
他にも、クランに加入することになっている冒険者パーティーが、来ている。
みんな心配して来てくれて、そのまま残っているのだ。
そして念のため、警護に当たると言ってくれている。
俺は、もう襲撃はないだろうから、解散してくれて大丈夫だと言ったのだが、万が一を考えて残ると言うので、交代で見張りに立ってもらうことにした。
そして、『冒険者館』に割り当てた部屋で、仮眠してもらうようにした。
クランが襲撃を受けるなんてことが起きたら、普通ならそんなクランに入ったことを後悔するのではないかと思うが、誰一人そんな風には思っていないみたいだ。
逆に、キング魔物を三体も倒したことに驚き、称賛の声をあげていたらしい。
ニアが、教えてくれた。
そういえば、確かにネズミ魔物のキングとウサギ魔物のキングとクマ魔物のキングが現れたんだよね。
あれは、ポロンジョが何かの装置で意図的に行ったものだと思う。
召喚したか、転移させたかだろう。
まだ謎のままだが……生き残ったトヤッキーとボンズラーが、情報を持っていることを祈るのみだ。
仲間たちもみんな起きていて、六歳のラムルちゃんも起きていた。
そしてラムルちゃんの頭には大きなハムスターが乗っている。
モルモットくらいの大きさのハムスターだ。
感じは、俺が昔飼っていたゴールデンハムスターに、似ている。
……どうやらあの子は、ラムルちゃんの『使い魔』になった『ライジュウ』のピッカリーだ。
あの姿が普段の姿というか、偽装形態なのだろう。
「私は、雷の聖獣『ライジュウ』のピッカリーです。よろしくお願いします」
俺に挨拶してくれた。
「ラムルちゃんのことを、頼むね」
「もちろんです。そのためにまかり越しました。お任せ下さい」
大きなハムスターの形態になってるから、一緒にいても、さほど怪しまれる事はないだろう。
今回ラムルちゃんは、『雷使い』の能力で雷を放っていたが、クラン子供たちには『雷魔法』が使えると説明してあったから、『雷使い』である事は何とか誤魔化せるだろう。
もっとも『ライジュウ』のピッカリーが現れて、『使い魔』になったのを、間近で見ていた子たちもいるから、一応口止めはしておこう。
「僕は、ジュウシン。マスターのマスター、よろしく」
そう言って声をかけてきたのは、チャッピーの『使い魔』になった『ひまわりライガー』の霊獣『スピリット・サンフラワーライガー』のジュウシンだ。
「チャッピーのことを、よろしく頼むよ」
「任せて! あとさーもうすぐ、もう一体の『使い魔』が来るから、マスターは僕たちが絶対に守る! でもあいつ、すぐサボるからなぁ。いつ着くかもわからないや……」
この子は、無邪気な感じの性格のようだ。
そして、なんと、もう一体『使い魔』がいるらしい。
どんな『使い魔』になのか、すごく楽しみだ。
俺は、クランの管理長のバーバラさんを始めとした大人スタッフや、地味だが着実な働きをしてくれたDランク冒険者パーティー『美火美』のメンバーにも、労いの言葉をかけた。
バーバラさんの話では、子供たちは多少の動揺はあったものの、すぐに眠ってくれたようだ。
もともとホームレスの子供たちをまとめていたツリッシュちゃんが、気を配って、落ちつかせてくれたらしい。
バーバラさんを始めとした、大人スタッフたちの温かいケアも、十分に子供たちを安心させてくれたはずだ。
俺は、改めて礼を言った。
そして、『美火美』のメンバーも、かなり活躍してくれた。
ゴーレムを何体も倒したり、兎魔物のキングの足止めもしてくれた。
彼らは、そんながんばりの甲斐あって、レベルが一気に3つも上がったそうだ。
俺たちと同一パーティーとみなされ……キング魔物を倒した経験値が入ったのだろう。
最初に出会った時は、みんなレベル30とか31だったのだが、その後訓練して全員レベル33になっていたそうだ。
それが今日の戦いで、一気に3つレベルが上がり、全員レベル36になったとのことだ。
すごく喜んでいた。
今回の迎撃の影の功労者と言える『美火美』のメンバーのレベルが上がって、俺も嬉しい。
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