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1159.アバターボディーの、性能。

 俺は、『セイチョウ迷宮』迷宮管理システムのイチョウちゃんと、今後の迷宮の防衛について、打ち合わせをすることにした。


 実際問題……悪魔に狙われ、その悪魔はあえて逃してしまったので、再度襲撃される可能性はあるのだ。


「今回悪魔に破壊されたフロアの床の修復は可能なんだよね?」


「はい。『自己修復システム』により、修復は可能です。たが、多少の時間は要します」


「どのぐらいの時間が必要なの?」


「冒険者最終到達フロア、シークレットフロア第一層、シークレットフロア第二層、この三つのフロアの床の修復が完了するのに、三日ほど要します」


「そうか……すぐに襲撃して来るとは思えないけど、今後の防衛手段は考えておかないとね」


「はい、マスターが来ていただければ撃退可能と思いますが、それまでの時間を稼ぐ手段は、考えた方がいいかもしれません」


「何かあったときには、すぐに俺に念話が繋がるんだよね?」


「はい、ダンジョンマスターには念話を繋げることが可能です」


「だったら、すぐに転移で来れるから、多少の時間だけ稼いでもらえば、対処はできそうだね」


「はい。ですが、今回シークレットフロア第二層に到達されていますので、第二層に転移で現れる可能性はあります。どのような系統の転移スキルを持っているのか分かりませんが、一度訪れた場所には再度来れる可能性があると警戒したほうがいいと思います」


 ……確かにそうだな。


 そうすると、シークレットフロア第二層と第三層の床を破られたら、最終フロアに到達されてしまう。


 いくら俺が転移すぐ来れるといっても、相手の破壊能力によっては危ないかもしれないなぁ。


「今回は、どうやって悪魔がやって来たかわかるかい?」


「はい、冒険者最終到達フロアに転移で現れました。迷宮探索中の冒険者とは、遭遇していないと思います」


 なるほど……迷宮に入っていた冒険者が犠牲になることがなくて良かったけど……。

 転移で来たのか。

 もしかしたら、事前に調査のようなことをしていたのかもしれないな。


「悪魔が来たら、波動情報ですぐわかるんだよね?」


「はい。識別可能です。

 それ故、悪魔が直接下見に来たことはないと思います。

 おそらく、人間の手駒を使ったのではないでしょうか。

 転移マーカーのようなものを、設置させた可能性はあります。

 また人間に憑依状態だった場合、その術が巧妙だと検知できない可能性があります」


「なるほど。悪魔自体は直接来てないけど、何らかの手段で転移できるようにしていたということだね」


「はい。転移と言えば……マスターは転移手段をお持ちのようですが、一応『ダンジョンマスターの腕輪』をお渡しいたします。これで、いつでも帰還転移することが可能です」


「わかった。もらっておくよ」


「それから……私は引き続き四歳児のイチョウとして、『ツリーハウスクラン』で過ごそうと思います」


「それはいいけど……どうして?」


「最初は、不穏な迷宮都市の状況を確認することが目的で外出しました。

 そしてグリムお兄ちゃんと出会い、波動情報を検知、その後、人となりを観察いたしました。

 その過程で、一緒に行動したいと思いました。

 また『ツリーハウスクラン』で暮らしたいと思いました。

 ダンジョンマスターと迷宮管理システムはパートナー……家族のような存在です。一緒にいたらダメですか?」


 ホログラム映像のイチョウちゃんは、めっちゃ泣きそうな顔で訴えかけてきている。


 相変わらず、すごい感情表現だ。


「いいよ。じゃあ今まで通り、四歳のイチョウちゃんとして一緒にいよう」


「マスター……グリムお兄ちゃん、ありがとう……ございます」


 ホログラム映像のイチョウちゃんは、大粒の涙を流した。

 涙まで流すなんて……。

 もちろん映像だから、実際に濡れているわけじゃないけどね。


 リリイとニコちゃんが、嬉しそうに四歳のイチョウちゃんの頭を撫でている。


 この子たちにとっては、イチョウちゃんが実は迷宮管理システムだという事は、あまり関係ないようだ。

 あくまでも、可愛いイチョウちゃんなのだ。

 引き続き面倒を見るつもりでいるらしい。


「このアバターボディーを通しても、波動情報の検知ができるのかい? 敵の襲撃も知らせに来てくれたよね?」


「はい。このアバターボディーを通して、周辺状況の確認ができます。

 波動情報の検知も可能です。

 ですからある程度の距離に来れば、不審者を察知することも可能です」


「それはすごいね。ただこのアバターボディーは、普通の人間の子と同じ組織構成だと思うから、強い衝撃には弱いよね?」


「はい。アバターボディーなので、ある程度は強固になっていますが、肉弾戦向きではありません。

 幼女タイプは、人間の四歳児に比べれば、はるかに強固ではありますが、レベルが高い敵の攻撃にさらされれば、破壊されてしまいます」


「そうなったら、イチョウちゃんは、どうなっちゃうわけ?」


「アバターボディーが破壊されるだけなので、迷宮管理システム自体には影響ありません。

 ただアバターボディーが破壊されれば、動かせませんので放置状態になります。

 人間の死体だと思われれば、大きな問題は発生しないと思いますが、解剖されたりすると、特殊な装置が発見される可能性があるので、まずい事態になります」


「アバターボディーには、どんな装置が埋め込まれているの?」


「はい、帰還転移できる装置と魔法AIおよび本体である迷宮管理システムの特殊魔法AIの受信装置などが入っています」


 なるほど。


 帰還転移できる装置は、当然だろうね。


 受信装置というのも、なんとなくわかる。

 例えて言うなら、迷宮管理システム本体が親機で、アバターボディーが子機みたいな感じなんだろう。

 そして受信装置を通して、波動情報を検知したりということもできるのだろう。

 まぁそう考えると、ただの受信装置ではなくて、超高度な検知機能を備えた特別な装置ということなんだろうけどね。


 不思議なのは、アバターボディーにも、別個に魔法AIが装備されている点だな……。




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― 新着の感想 ―
[一言] >「それはすごいね。ただこのアバターボディーは、普通の人間の子と同じ組織構成だと思うから、強い衝撃には弱いよね?」  その問題は絆リスト入りさせればすぐに解決しそう。
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