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1152.驚きの、置き土産。

 再び『鞭の上級悪魔』が、俺に無数の鞭を放ってきた。

 しかも今度は、鞭に電撃を帯びている。


 もちろん『ゴールドフィンガー』の指の鞭で弾いているが、弾くたびに電撃が伝わってくる。


 もちろん耐えられてはいるが、結構痛い。


 この『ゴールドフィンガー』の機能で、だいぶ緩和されているが、それでもある程度は伝わってくるのだ。


 ん、また発動真言(コマンドワード)とイメージが、頭の中に流れてきた!


「シャャャイニングゥ、ゴールドフィンガァァァオロチィッ!」


 俺は、両手の指を奴に向け、発動真言(コマンドワード)を唱えた。


 すると十本の指先から伸びた鞭に先に蛇の頭が現れた!


 そして、無数の鞭を食らいつくしながら、『鞭の悪魔』に襲いかかった。


 そのまま、鞭の根本である奴の両腕をくらい尽くしてしまった!


 まずい! 倒してしまったか!?


 ……いや、まだ靄となって消えてない。


 ギリギリ生きているようだ。


「“鞭の”よ、言わんこっちゃない。油断が命取りだぞ。せっかく上級として受肉したものを。今日のところは、一旦引き上げますよ。連れて帰ってやる」


『人形の悪魔』が『鞭の悪魔』に近づきながら、そう言った。


「ふん、まだ戦えるものを……。まぁいいだろう」


「賢明な判断ですよ。

 仮面の男よ、君はここのダンジョンマスターではないようだね。

 だが君は、新たな厄介な存在となった。

 私は帰るが、君にはたっぷりお土産を置いていく。

 命をかけて遊びなさい。

 君が倒れれば、私のおもちゃたちが、この迷宮を制圧するでしょう。

 そして君の体は、私が人形として大切に使ってあげるから、安心しなさい。ひょっひょっひょ。

 万が一にも、君が勝てたなら……また会えることを楽しみにしていますよ。まぁせいぜい頑張ってください」


 そう言うと、『人形の悪魔』が指をパチン、パチン、パチンと三回鳴らした。


 すると突然魔法陣が現れ、魔物たちが現れた!


 なんだこれは!?


「君に敬意を表し、特別な人形を追加しときました。特別人形は、『上級悪魔』並の強さがありますから、楽しんでください。ごきげんよう」


 そう言うと、『人形の悪魔』は『鞭の悪魔』と共に、消えてしまった。

 転移で脱出したようだ。


 気持ち的には、ちょっと悔しいが、予定通りだ。


 あとは『波動検知』で追跡できることを祈るのみだ。



 そして俺は、奴が置いていった軍団の相手をしなければならない。


 それはいいが……この軍団は……?


 まるで精気が感じられない。


 奴の人形ということなのだろうが、どうも魔物や人の死体を人形として使っているみたいだ。


 ゾンビというか……ゾンビゴーレムみたいな感じだ。


 一応、『波動鑑定』をかけてみる——


 やはり生物のステータス画面ではなく、物品のステータス画面になる。


 そして『名称』が『死体人形(ゾンビゴーレム)』となっている。


 やはり死体を素材に、人形を作っているようだ。


 なんて悪趣味な……。


 『状態』表示は、『人形の悪魔の使役状態』となっている。


 三メートルを超えるカマキリの魔物の死体人形が十体いる。


 それから十メートル以上の大きさの……翼の生えた蛇の死体人形がある。

 顔がドラゴンっぽいから……もしかしたら『ワイアーム』の死体を使っているのかもしれない。


 まだ『ワイアーム』を見たことがないが、前に聞いた話では、『ワイアーム』は、手足が無く翼がある『ドラゴン』という姿だと言っていた。

 目の前にいるのは、まさしくそんな姿なんだよね。

 蛇の頭にドラゴンのような角が生えている。


 それから一体、人の死体人形がある。


 背が高くがっちりした体型で、広幅のドデカい剣を持っている。


 魔物の皮膚のようなもので、つぎはぎされていて、一部は魔法道具というか機械のようにもなっている。


 そしてこの顔……まるで俺の知っている映画の主人公のような顔だ。


 近未来から来るロボットの映画で、その主演の俳優にそっくりな顔なのだ。


 そしてそれはすなわち……前にフミナさん達が言っていた親指将軍とも、同じ顔ということになると思う。


 ……親指将軍の死体じゃないよね……?


 親指将軍と呼ばれていたシュワローン将軍は、『マシマグナ第四帝国』が作った第三世代型の『ホムンクルス』の生き残りで、こんな顔をしていると言っていたのだ。


 約三千年前、『勇者団』とともに行動していて、最終決戦直前の戦いで、命を落としたとされている。

 確か……遺体は回収できなかったと言っていた気がする。


 まさかとは思うが……一応確認した方が良いだろう。


 俺は、『魔盾 千手盾』の付喪神で『守りの勇者』の残留思念体でもあるフミナさん、『高速飛行艇 アルシャドウ号』の付喪神のエメラルディアさん、『ホムンクルス』のニコちゃんに念話を繋ぎ、転移で呼び寄せた。

 『救国の英雄』の『職業固有スキル』の『集いし力』を使ったのだ。


 転移で現れたフミナさんたちは、死体人形を見て、立ち尽くした。


「親指将軍……」

「シュワローン将軍……」

「将軍……」


 この三人の反応を見る限り、どうやら親指将軍に間違いないようだ。



 さて、どうしたものか……。


 あくまで死体だから、もはや救い出すことはできない。


 倒すしかないだろう。


 だが、親指将軍とわかった以上、できれば丁重に弔ってあげたい。

 特に共に戦っていたフミナさんたちは、そう思っているはずだ。


 ただ……普通に倒すのは難しい可能性もある。


 死体人形となって操られているから、細かく切り刻むか、燃やすとかしないと、活動を止められない可能性がある。


 そうなると、彼女たちに、その状況を見せるのは酷だ……。




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― 新着の感想 ―
[一言]  どうせグリムさんがやらかして、なんかかんやあって親指将軍がアイルビーバックしそう。
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