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107.ちびっ子達の、活躍。

 中央の草原を行く魔物の集団は、もうすぐ衛兵長達の防衛陣地についてしまいそうだ。


 だが、あの数であのレベルなら、衛兵隊で対応できると思う。


 最後の蛇魔物だけはやばいかもしれないが。

 レベルが30あるからね。


 もう二股の起点の一本道に出てしまったようだ。


 俺達もすぐに戻ろう。


 俺はみんなに状況を告げて、すぐに『家馬車』を出した。


 ニア達とは、二股の起点で合流することにした。




 街道の二股の分岐点に到着すると、その先の防衛陣地では既に戦闘が始まっていた。


 魔物達が防衛陣地の正面から攻めてきてくれた為に、うまく機能しているようだ。


 最初に弓兵が遠距離で攻撃し、それをかいくぐって近づいた魔物は、柵の内側から槍兵が串刺しにしたようだ。

 そんな感じで、第一波を凌いだのだろう。


 しかしその後は、一気に乱戦になっているようだ。


 みんな互角に戦っている。


 魔物のレベル5から20位、衛兵達は15から20はあるはずだからね。


 そして衛兵長が蛇魔物に突撃してきた。


 まじか……


 魔物達をなぎ倒しながら、一番後ろの蛇魔物に向かってきてる。


  一番強い魔物の相手を引き受けるようだ。


 さすが衛兵長と褒めたいところだが……


 一人じゃ厳しくないだろうか……

 レベル的には衛兵長の方が上だが……


 まぁ『下級悪魔』を倒すほどの腕があるから、大丈夫かな……。


 と思っていると、なんとあの金髪美人さんも参戦するようだ。


 確かに彼女も結構な腕前だったけど……。


 それにしても、蛇魔物は十メートル以上もある大物だ。


  二人は巨大蛇魔物と凄い迫力で戦っているが、動きが激しくて、強い一撃を入れられないでいるようだ。



 俺達も戦える距離に近づいた。


 さて、手助けするか……


 そう思いみんなで外に出ると……


 ほぼ互角に戦っていた衛兵長と金髪美人さんが、一瞬の隙をつかれ尻尾で薙ぎ払われてしまった。


 やばい! もし巻付かれたら骨が粉々になってしまいそうだ。


 そう思った俺が鞭を構えるより早く———


 チャッピーがブーメランを投げていた———


 ブーメランは蛇魔物の尻尾を切断し、軌道を変えて戻ってくると、更に胴体も切断した。


 蛇魔物は三分割されてしまった。


 そこに走り込む小さな影———


 ええ、リリイ……!?


 接近戦は危ない!


 俺は慌てて追いかけるが……


 リリイがジャンピングして蛇魔物の頭に飛び込む!


「バイバイなのだ! ゴッチーーン! 」


 『魔鋼のハンマー』が蛇魔物の頭をカチ割る!


 ———ゴボウンッ


 鈍い音を立て、蛇魔物は動かなくなった。


 このちびっ子達……レベル30の蛇魔物倒しちゃったけど……


 衛兵長と金髪美人さんが口をあんぐり開けて呆然としている……目が点だ……。


 そしてリリイとチャッピー、完全にノっちゃってる。

 ハイタッチしてるよ……。


 そしてそのまま防衛陣地の方に行って残りの魔物を屠っている……。


 あちゃー……。


 俺は心配を通り越し……なぜかニヤけて見入っていた……。


 しかし冷静に考えると、このツッコミ癖は直さないとまずいな。


 いつか危険にさらされてしまう。

 さっきもリリイが蛇魔物に丸呑みにされないかと焦ったからね。

 ここは心を鬼にして後でお説教しないと……


 お説教できるかなぁ……

 なんか大活躍してるあの子達を見ると……

 運動会で活躍する我が子を見るような嬉しさがあって……ついつい顔がにやけてしまう……

 いかんいかん……。


 そんなことを思っている間に、ほぼ魔物が倒されたようだ。


 衛兵達も、志願兵の皆さんも頑張ってくれたようだ。



 丁度、ニア達も戻って来た。


 問題なく片付けてきたようだ。


 俺はニアに最後の仕事として、けが人の手当てをお願いした。


 俺もできるけど、あまり目立ちたくないからね。

  急を要する人もいないみたいだし。



 こうしてオリ村防衛戦は幕を閉じた。


 衛兵長の話では、死者無し、重傷者無しとのことだ。


 ……よかった。


 俺達はオリ村に戻り、休憩することになった。


 魔物の死体の処分、処理などは衛兵達がやってくれるとのことだ。


 ちなみに俺達が先行して倒してきた魔物は、俺の方もニア達の方も三割ぐらいその場に残し、残りは収納系スキルで回収してある。


 それでも結構な数が残っていたと思う。



 しばらくすると、衛兵長がやってきて、今回倒した魔物達の魔芯核を俺達に貰って欲しいと言ってきた。


 せめてものお礼とのことだ。


 換金すれば結構なお金になるからと。


 そして前回の悪魔の襲撃の時の、『インプ』の死体から回収した魔芯核も取ってあるので貰って欲しいとの事だ。


 今朝、俺達が訪れた時には、あわててしまって渡すのを忘れたらしい。


 俺は、俺達が倒した分はともかく、衛兵隊や志願兵の皆さんで倒した分までもらう必要はないと言ったのだが……


 本来なら然るべきお礼をしなければならないところ、守護不在で意思決定できず、まともなお礼ができないので、せめてこれだけは貰って欲しいと懇願されてしまった。


 無下に断るのも逆に人情がないと思ったので、結局もらうことになってしまった……。


 そして魔物の素材も必要なだけ渡すと言われたのだが……


 特に貰う必要は無い。


 何せ俺の『波動収納』の中には、未整理のままの死体が凄い数あるからね……。


 手をつけるのが嫌になる位……


 ということで、魔物の死体は街のみんなで分けて欲しいとお願いした。


 これには衛兵長も素直に喜んでくれた。


 なんでも魔物の肉は普通に食べるようで、これだけの魔物の死体があれば全ての村そして街の住人に肉を配っても全然足りるそうだ。

 むしろ余るのではないかとの事だった。


 そう考えると、今回非常に幸運だったのは、襲って来たのがバファローとイノシシとウサギとネズミが中心だったことだ。

 これらの魔物は美味しいそうだ。


 もうすっかり暗くなったこともあり、今日はこのオリ村で勝利の宴を開くことになった。


 といっても、この大人数に凝った料理はできないだろうから、倒した魔物肉でバーベキューパーティーだろう。

 ……おそらく。


 サーヤ、ミルキー、その妹弟達、リリイ、チャッピーは準備の手伝いに行った。







読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

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次話の投稿は、15日の予定です。


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