表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1156/1442

1147.まさかの、四歳児。

 しばらく周囲を観察したが、もう変な気配は無い。


 これで大丈夫だと思うが……。


 ただそれとは反対に、周囲はどんどん騒がしくなっていく。


 近所の人たちが出てきたのと、衛兵や冒険者が集まりだしているのだ。


 ニア、リリイ、チャッピーも隣の倉庫から屋敷に戻って来た。


 一緒に、『ひまわりライガー』の霊獣『スピリット・サンフラワーライガー』のジュウシンと、『オリジン魔物』の一種『妖魔』の『ジャックランタン』のジャクラーもいる。


 『ひまわりライガー』は、珍しい動物だが、一応、通常生物として存在しているみたいだから、一緒にいても問題ないだろう。


 ただ『ジャックランタン』は、どう見ても悪霊っぽいから騒ぎになると思うのだが……。


「リリイ、チャッピー、『使い魔(ファミリア)』が来てくれてよかったね」


「そうなのだ! びっくりしたけど、嬉しいのだ!」

「チャッピーも嬉しいなの〜。かわいいなの〜」


 俺は、二人の『使い魔(ファミリア)』になってくれたジャクラーとジュウシンに改めて挨拶をし、普段は目立たないようにしてほしいと伝えた。


「もちろん、心得ております。私は『鬼火』に変化することもできますし、姿そのものを消すこともできます。ご心配なく」


「僕、普通の『ひまわりライガー』のふりできるから、大丈夫! 四つ足で過ごすように頑張る!」


 二人がそう言ってくれたので、一安心だ。


 そして、リリイが機械の腕を渡してくれた。


「みんな、これをつけていたのだ!」


「ゴーレムを操っていた冒険者の腕が、みんなこれになってたのよ。『魔物人(まものびと)』になったときに、巨大化して外れてた」


 ニアが補足してくれた。


「この魔法道具は、ゴーレムを操れる装置になっていたんだよ」


 俺はそう言いつつ、改めて『波動鑑定』する——


 『名称』が、『魔具 土由来の人形(ソイルゴーレム)術式構築アーム』と表示される。

 これも『階級』は『究極級(アルティメット)』だ。


 弱いゴーレムを動かしていたものは、『名称』が『魔具 ゴーレム創造術式構築アーム』となっていた。

 『階級』も同じ『究極級(アルティメット)』だった。

 同じシリーズだろう。


 詳細表示を確認すると……やはり同じようなことが表示されている。

 体の一部として融合させないと、使えないのだ。


 この強いゴーレムを動かしていた魔法道具は、『土魔法—— 土由来の人形(ソイルゴーレム)』を術式化した『土()()—— 土由来の人形(ソイルゴーレム)』を発動できる。


 ただ、動かせるのは、事前に登録した五体のみのようだ。

 イメージ的には……ロボットを五台同時に操縦するコントローラーのようなものだろう。


 それにしても、解せないことばかりだ。


 冒険者の集まりであるクランと言えども、こんな魔法道具そうそう手に入れられるものではない。


 『魔物人(まものびと)』になったこともそうだが、いろいろ裏がありそうだ。


 ポロンジョは魔物化したので倒すしかなかったが、トヤッキーとボンズラーは、魔法の貯金箱の付喪神セントンちゃんたちが制圧してくれたから、生きている。

 こいつらから、情報を聞き出すしかない。


 今回の襲撃犯で生き残ったのは、この幹部の二人と、あのおかっぱ軍団だけだ。


 あのおかっぱたちは、搾取する側にいたとは言え、どう見ても下っ端だから、大した情報は持っていないだろう。

 あいつらが生き残ったのは、奇跡ではないだろうか。


 電撃で倒してくれた『雷使い』のラムルちゃんに、感謝すべきだろう。



 クランのメンバーとなったが、まだここに引っ越してきていなかった冒険者たちが、続々駆けつけて来た。


 みんな心配そうにしているが、クランの管理長のバーバラさんや、『美火美(びびび)』のメンバーが事情を説明してくれている。


 バーバラさんを始めとした大人のスタッフは、子供たちが怖がらないようによくまとめてくれたし、『美火美(びびび)』のメンバーも、強いゴーレムや格上の魔物に対し、着実ないい仕事をしてくれた。


 そして俺の仲間たちを含めたみんなが、突然の夜襲に浮き足立つことなく、すぐに状況が把握できるように行動した。

 俺が、この屋敷の各所に設置していた魔法の灯籠を、手分けして稼働させてくれたので、真っ暗な状況で戦わずに済んだのだ。


 明かりがあったことで、子供たちも必要以上の恐怖を感じなくて済んだはずだ。


 子供たちも、怖かっただろうに、大きく取り乱すこともなく、立派だった。

 この子たち……将来大物になりそうだ。


 クランメンバー……本当に、頼もしい仲間たちだ!



「お兄ちゃん……助けて……」


 ん、いつの間にか四歳時のイチョウちゃんが、俺のところに来ていた。


 助けてって……?


「イチョウちゃん、どうしたの? もう大丈夫だよ」


「あたしが……狙われている……早くしないと……入ってきちゃう」


「え、どういうこと?」


「悪魔の波動……検知した。迷宮が狙われているの! 助けて!」


 え! 悪魔!? 迷宮!?


「もしかして……」


「あたしは……『セイチョウ迷宮』管理システム……です……」


 迷宮管理システム!?


 俺は急いで、イチョウちゃんを『波動鑑定』した——


 『種族』は『人族』で、『名称』が『イチョウ』、『年齢』は『四歳』となっているが……いや、これは偽装ステータスだ!

 ザラついている。

 ……意識を集中させる。


 本来のステータスが、垣間見れる。


 生物のステータス画面ではなく、物品のステータス画面だ!


 『名称』が『セイチョウ迷宮管理システム アバターボディ幼女タイプ』となっている。


 驚いたことに……この子は、アバターボディだった。


 今まで話していたのは、『セイチョウ迷宮』の迷宮管理システムつまりは特殊な魔法AIと言うことだ……。


 それでこの子は、敵の襲撃や潜んでいる位置などが把握できたのか……?


 迷宮管理システム特有の波動検知システムが、アバターボディでも使えるということか……?


 俺がダンジョンマスターをしている『マシマグナ第四帝国』のテスト用第八号迷宮『システマー迷宮』の迷宮管理システムの話では、迷宮管理システムの拡張改良のために、アバターボディの研究開発を行っていたと言っていた。


 だが本格稼働迷宮には必要ないと判断され、採用されなかったという話だった。


 だが『セイチョウ迷宮』には、それが採用されていたようだ。


 もしかしたら……本格稼働迷宮の中でも『第二世代型』という話だったから、『第一世代型』で採用されなかったアバターボディシステムが、採用されているのかもしれない。


 本格稼働迷宮の『第一世代型』である『希望迷宮』は、元『癒しの勇者』で吸血鬼の始祖でもあるヒナさんの家になっているが、アバターボディはなかった。

 そしてヒナさんは、『アルテミナ公国』と『アポロニア公国』には、本格稼働迷宮の『第二世代型』があると教えてくれていた。


「イチョウちゃん、今『セイチョウ迷宮』の中に悪魔がいるの?」


「うん、なぜか突然襲って来た。迷宮内の魔物が目的ではない……。ダンジョンマスタールームを目指してると予想……。封鎖フロアを突破しようとしている……」


 それはやばいなぁ……


「もしかして、ダンジョンマスタールームまで、転移で戻れたりする?」


「行ける……一緒に来て……助けて」


「わかった。じゃあ一緒に行こう」


 俺のただならぬ様子を察知したニア、リリイ、チャッピーも一緒に聞いていたので、状況は飲み込んでくれている。


「ニア、ちょっとイチョウちゃんと一緒に、悪魔を倒しに行ってくる。ここの処理を頼むよ」


「それはいいけど……一人で大丈夫? って心配するだけ無駄か。悪魔相手じゃ、一人の方が戦いやすいわよね。ボコボコにしてきちゃって!」


「わかった。せっかく悪魔が現れてくれたんだ、何とか捕まえて奴らの根城の情報を聞き出すよ!」


 俺は、後の処理を仲間たちに任せ、イチョウちゃんと共に、『セイチョウ迷宮』に向かうことにした。




読んでいただき、誠にありがとうございます。


ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、ありがとうございます。


次話の投稿は、明日の予定です。


もしよろしければ、下の評価欄から評価をお願いします。励みになります。

ブックマークも、お願いします。


何卒、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >1147.まさかの、四歳児。  またハナシルリちゃんかと思ったら違った……でも偽装ステータスだった。  この作品に普通の四歳児は居ないのか……?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ