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1131.いざとなったら、やっちゃってもいいわけ?

 俺は、『ドクロベルクラン』の情報を教えてくれたギルド長やリホリンちゃんに、改めて礼を言った。


「争うつもりはないと言っとったが、どうするつもりなのじゃ?」


 ギルド長が、渋い顔をしつつも、少しワクワクした感じを匂わせている。


「はい、昨日相談に来た冒険者に、返済のための資金を貸そうと思います。もともとお金を貸してほしいと言って来た子ですから」


「ほほう、金を貸すのか……」


「借金さえ返せば、抜けさせてもらえるはずですよね? まずは被害を受けている冒険者を、救ってあげたいんです」


「さぁ……そこはすんなりいくわからんぞ。借金は、縛りつけるための手段に過ぎんからのう」


 ギルド長が渋い顔だ。


 確かに、そう簡単に事が済むとは思ってはないけどね。


「ギルド長、私が同行しましょう。立会人として、借金の精算に立ち会います。立会人を頼まれたと言えば、ギルドによる不当な介入とは言えないでしょう」


 副ギルド長のハートリエルさんが、そんな提案をしてくれた。


 確かに、公正な第三者が立ち会ってくれるのはありがたい。


 まぁ実態としては、公正な第三者とは、言えないかもしれないが……。


「おお、そうじゃな。それがいい!

 金を返したとしても、すんなり抜けさせるかわからんし、返済した事実を確実に証明できるようにしておかねば、後で難癖をつけられるかもしれん。

 証明手段として、ギルドは立ち会いを頼まれたとすれば良いじゃろう」


「それは、いいですね。ぜひお願いします」


 俺は、改めてハートリエルさんに頼んだ。


 ハートリエルさんは、「引き受けましょう」とツンとした感じで言った後に、俯いて少し後ろに振り返った。

 なんとなく……デレっとしている雰囲気が漂っているのはなぜだろう……?

 もしやまたツンデレを発動してるのか?


「その子は抜けさせたら、どうするんじゃ? お前さんのクランに入れてやるのか?」


「昨日の面接のときには、そういう希望だったそうです。本人がよければ、負傷しているというパートナーも含めて入れてあげようと思っています」


「そうかい。それ自体は良いのじゃが……であれば、借金の精算には、お前さんも同行した方が良いかもしれんのう」


「私が行くと、刺激してしまいませんかね?」


「金の出所がお前さんで、クランを乗り換えたと後から知れば、引き抜きだなんだと難癖をつけてくるじゃろう。ならば最初から出向いて、話しておいたほうがいいと思うぞ」


「なるほど、そうかもしれませんね」


「そうですよ! それにグリムさんは、『キング殺し』で有名ですから、そうそう無茶なことは言ってこないんじゃないですかね」


 リホリンちゃんが、笑顔で言った。


「いや、あそこはただのクランじゃないですから……グリムさんが行くことによって、反発を強める可能性もありますよ」


 今度は、ナナヨさんが冷静な意見を言ってくれた。


「もし難癖をつけてきたら、やってしまえばいいでしょう」


 そんな荒っぽい意見を言ったのは……副ギルド長のハートリエルさんだ。


 それ副ギルド長が言っちゃいけないと思うんですけど……。

 一応、冒険者同士の争いを禁じているわけだし。


「やっちゃったら、まずいですよね……? 冒険者同士の争いは、まずいですよね?」


 一応、確認した。


「そりゃそうじゃ。それが建前じゃよ」


 ギルド長が、ニヤリと笑った。


「建前……?」


「そうじゃ、冒険者同士の争いを禁じられているからといって、一方的にやられる冒険者はいない。少なくとも正当防衛は認められるしのう」


 ギルド長が、またニヤリと笑った。


「実際争いがあっても、ギルドが『冒険者証』を剥奪するとか、大きな処置をする事は稀です。

 当事者以外の信頼のできる者が、目撃していた場合などしか処断できないのです。

 仮に若手冒険者が迷宮内で襲われたとしても、生き残れなければ訴えることはできません。

 生き残って訴えたとしても、相手が先に襲われたから反撃したと言えば、事実の確かめようがないのです」


 ナナヨさんが、例を出して説明してくれたが……何を伝えたいのか?


 てか……この人たち……俺に、やっちゃっていいって言ってるのかな?

 ……やっちゃダメだよね?


 まぁ俺の場合は、いざとなれば『闇の掃除人』として出動すればいいけどね。


 なんか最近……『闇の掃除人』大活躍だな。


 『コウリュウド王国』と違って、アウェイな『アルテミナ公国』だと、正体不明の『闇の掃除人』は、ほんと大活躍できる。

 まぁそんなことは、どうでもいいんだが。


「結論から言えば……穏便にやってくれと言うことではあるのじゃが……正当防衛はしょうがないということじゃ。正当な防衛じゃからのう。ワッハッハ」


 ギルド長が、豪快に笑った。

 最悪衝突があっても、大丈夫ってことを言いたいのかな……?


「そうだ! 最初にグリムさんとニア様に絡んできたおかっぱ頭の冒険者がいたじゃないですか? 

 あのカッパードさんは、『ドクロベルクラン』所属なんですよ! 

 あの人を挑発したら、先に手を出してくるから正当防衛できちゃいますよ!」


 リホリンちゃんが、めっちゃ明るく物騒なことを言った。


 ナイスアイディアでしょと言いたげなドヤ顔だ。

 そして、テヘペロ顔に移行した……どうして?

 まぁいいけどさ。


 てか、カッパードって……テンプレの権化のように登場し、テンプレを完了できないテンプレブレーカーのおかっぱ男だよね!?


 あいつ『ドクロベルクラン』だったのか!?

 そして、あいつはDランク冒険者なのか?

 雑魚キャラにしか見えなかったんだけど……。


 確かにあいつなら、ちょっと挑発したら手を出してきそうだけど。


 でも今までのパターンだと……そうなる前に吹っ飛んで、壁に激突するんだけど。





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