104.ロネちゃんの、告白。
「ニア様、グリムさん、そういえば今朝、お散歩の時、私スキルが身に付いたみたい。頭の中に声がしたし、何か頭の中に見えるようになった」
突然ロネちゃんがそんな爆弾発言をする———
一斉に皆が動きを止めて注目した。
何よりもトルコーネさんとネコルさんが、慌ててロネちゃんのところに飛んできた。
「ロネ、スキルが身に付いたのかい? 」
「うん、言うの忘れてたけど、なんかそうみたい」
「どんなスキルなんだい? 」
ネコルさんの質問に、皆が同調するように視線をロネちゃんに向ける。
「でもあんまり嬉しくないんだ、思ってたのと違うから。『テイム』じゃなかったの」
そういえばロネちゃんはテイマーになりたいと言ってた。
ニアが『テイム』のスキルが身に付くかもしれないと、色々アドバイスしてたなぁ……。
でもそれは身に付かなかったのか……。
「ロネちゃん、何なの教えて」
ニアも気になるようだ。
「うん……なんかね……『虫使い』だって……」
「む、むむ、虫使いーーーーー! 」
ニアが、めっちゃびっくりしてる。
そんなに珍しいスキルなんだろうか………。
そんなニアを見て、ロネちゃんもびっくりしている。
トルコーネさんもネコルさんも、他のみんなもびっくりしつつ、ニアの次の言葉に固唾を飲む……
「ほんとに『虫使い』なの? 」
「うん本当。なんか虫さんがいっぱい寄ってくるの。『テイム』を身に付けられるように、出会った動物みんなに話しかけていたんだけど、虫さんがすごく多かったからかなぁ」
「ふあー……まさかこんなことになるとは……。
あのねロネちゃん、『虫使い』っていうスキルはね、『テイム』とは比べ物にならないほどのすごいスキルなの。超レアスキルよ。
『○○使い』ってつくスキルは全てレアスキルなんだけど、特に『虫使い』は過去の伝承にも出てくる有名なスキルよ。
大魔王を倒した『十二人の使い人』の話に出てくる英雄の一人が使ってたスキルよ。実在するスキルだったのね……」
「あ、それ聞いたことある。昔、本を読んでもらったことがある」
ネコルさんも知っているようだ。
そしてサーヤも頷いている。知っているようだ。
結構有名な伝承なのだろうか……。
そういえば、俺の持っている『精霊使い』や『言霊使い』もレアスキルだとニアが前に言っていた。
ただ『十二人の使い人』の話はしていなかったから、その物語には出てこないのかな……。
「へーそうなの……ですか。すごいのです? 」
ロネちゃんが急に嬉しそうな顔になった。
ニアがみんなに説明してくれた。
それによると……
『虫使い』というスキルは、虫とコミニケーションができるようになるらしく、虫達に働きかけて意のままに動かすことができるようになるそうだ。
そして実際の昆虫だけでなく、虫系の生き物、例えば荷引き動物の『虫馬』なども使役できるらしい。
さすがに虫の魔物とまではいかないようだが。
ただニアが言っていた『十二人の使い人』というお話の中では、英雄の一人である虫使いは、最終的には虫の魔物ですら使役してしまっていたらしい。
すごく人気のある登場人物とのことだ。
まさかそんなすごいスキルが身に付くとは……
『テイム』を身に付けられるようにと、軽い気持ちでアドバイスしたニアが一番驚いている。
それにしてもロネちゃんはすごい!
詳しく聞くと、ニアの話を聞いた直後から毎日千体以上もの生き物に話しかけていたらしい。
もっとも、ほとんどが昆虫だったらしいが。
その強い気持ちがスキルを身につけさせたのかもしれないね。
トルコーネさんもネコルさんも驚きつつも凄く喜んでいる。
ここで、サーヤから一つ忠告があった。
「これほどのレアスキル……もし持っているのが知れれば、色々なところからお召しがかかるかもしれませんね……」
その言葉を聞いた途端……トルコーネさんとネコルさんの顔が引きつった。
「確かにそれは……」
真っ青になるトルコーネさん……
確かに……少しまずいかもしれない……
もし『鑑定』スキルを持った人間に鑑定されて、このスキルを知られれば……
スキル目当てにロネちゃんが拐われたり、権力者が差し出せと無茶苦茶なことを言ってくる可能性もあり得る。
俺はニアに念話で打ち合わせをした後、トルコーネさんに提案した。
「トルコーネさん、実はロネちゃんの安全を守る方法があります。ニアは、妖精族の秘術で、ステータスを偽装することができます。それを使えば『鑑定』スキルを持つ者に鑑定されても、『虫使い』のスキルが見えないようにできます」
俺がそう言うと、俺の言葉にかぶせ気味に、
「是非お願いします。ニア様お願いします」
そう拝み倒してきた。
ネコルさんもすがるように指を組みながらお願いしている。
「わかったわ。そのかわりこれは妖精族の秘密の技だから、ロネちゃんの安全の為にも絶対に秘密を守ってもらうわよ」
ニアがいい演技でトルコーネさん達に念を押す。
「もちろんです、ニア様。口が裂けても絶対に言いません。お誓い申し上げます」
「それじゃあ、念の為に『契約魔法』で、この秘密を守る誓いを立ててもらうわよ」
ニアが上手く誘導してくれたので、俺とサーヤで秘密保持契約のことを説明する。
体に苦痛などはなく、この秘密に関する事をうっかり話そうとした時だけ、声が出なくなるという効果を伝えた。
トルコーネさん一家の答えは……「是非お願いしたい」だった。
ステータスの偽装は、ニアの女神の技という体で、技をかけるふりをするニアの後ろから、俺が『波動』スキルの『情報偽装』コマンドを使った。
そしてこの親子三人に、サーヤの『契約魔法』で機密保持契約を結んでもらった。
これで安心して、今まで通り暮らせるだろう。
誰にも知られる前に、この対策が出来て本当に良かった。
しかし『虫使い』というスキルが、本当に虫を思いのままに操れるなら凄いと思う。
伝説ではどんな使い方をしてたのか知らないが、俺が一番に思いつくのは、農作物の栽培だな。
野菜を食い荒らす虫に野菜を食べないように命令出来るってことでしょう。
めっちゃ凄いじゃん!
野菜食べずに、他の雑草食べなさいって命令すれば野菜を守れるし、雑草を減らせるし。
そして虫の力を借りて受粉する野菜は、確実に受粉できるようになる。
ズッキーニやスイカで役立ちそうだな……。
素晴らしすぎる!
想像しただけで笑ってしまった———ハハハッ
そんなことを考えていると、俺はめっちゃいいアイデアを思いついてしまった!
これから戦いに行くという時に、こんな楽しい事思いついちゃっていいのかと自分でも思うが……思いついちゃったものはしょうがない……
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