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1119.飛猿の、ヤシチ?

 『ツリーハウス屋敷』に戻ると、何やら騒がしい。


 ……よく見ると、ムササビみたいな動物が空を飛んでいる。

 というか、滑空している。


 そして、その上に何か乗っている……ってニアじゃないか!


 早いなぁ……ニアさん、もう帰って来たようだ。


 あのムササビみたいなやつは、『飛猿』という珍しい猿だろう。


 やはり仲間にしたようだ。

 その一体を連れて来たのだろう。


 めっちゃ楽しそうに乗ってますけど。

 あなた、自分で飛べるでしょうよ!


 子供たちは、歓声をあげて喜んでいる。


 普通に騎乗したり、サーフィンみたいに立ち上がったり、曲芸みたいなこともしてますけど……。

 何やってんのよ! 

 まぁいいけどさ。


 そんな内心のツッコミが伝わったのか、ニアは俺を見つけ、滑空して近づいて来た。


 というか……あの猿、もはや滑空じゃなくて飛んでるなぁ。


 『絆』メンバーになっていれば、『飛行』スキルが使えるから、飛べるわけだけどね。


 と思いつつ、『絆』リストを確認すると、『飛猿』が仲間になっていた。

 しかも百七十七体!

 そんなにいたのか。

 まぁいいけどさ。


「ねえねえ、凄いでしょ! この『飛猿』めっちゃ気持ちいいのよ!」


 俺に近づくと『飛猿』から降りて、俺の顔の前で静止した。


 『飛猿』は着地して、少し後ろの方で控えている感じだ。


「早かったじゃん! かなりの数が、いたみたいだね?」


「そうなの、もうさぁ全員で襲ってきたから、けっこうな迫力だったわよ。全員コテンパンにしてやったわ! もちろん子猿には、優しくしてあげたけどね」


 すごいな……。

 まぁニアの実力なら、全員で襲いかかって来ても、瞬殺だろうけどね。


 でも手加減して戦ったはずだから、人数が多くて大変だったんじゃないかなぁ。


 なんかそういうのが、楽しいのかもしれないけどね。


「一体だけ、連れて来たの?」


「そう。この子がどうしても一緒に行きたいって言うから。名前は、ヤシチよ。『飛猿』たちのボスよ」


 え、ヤシチ……?


 『飛猿』のヤシチって?

 なんか微妙だ……微妙すぎる……てか、もはや違和感……。

 まさか……風車とか投げないよね?


「なんでヤシチって名前なの? 元々名前がついてたの?」


「違う。私がつけてあげたの。たまたまハナシルリちゃんから念話があって、『飛猿』を見に来てるって言ったら、リーダーはヤシチがいいって、アドバイスしてくれたのよ」


 出た! ハナシルリちゃんか……。

 絶対、水戸のご隠居を影から支えている風車の人から来てるよね?

 でも……風車の人と『飛猿』を、一緒にしちゃいけないと思うんだけど……。別人ですけど……。


 てか、何を教えてるのよ!


 ニアって、『猿軍団』を従えて、なんとなく孫悟空的な感じなのかなぁと思ってたんだけど。

 『如意輪棒』も使ってるしさぁ……。


 これじゃ……ご隠居ポジションになっちゃうじゃないか!


 『ニアのご老公』とか、『ニアミツクニ』とか、『エチゴのニアメン問屋』とか、名乗ったりしないよね!?


 ハナシルリちゃんが、パロディーネタを教えないことを祈るのみだな……。


 この『飛猿』……しばらくしたら、風車とかを投擲してたりして……。

 めっちゃあり得るんですけど!


 そして、変なキャラが増えないことを祈るばかりだ。

 うっかりな人とか、いつもお風呂に入るセクシー担当とか、絶対増えちゃダメだから!


 ダメだ……思考が暴走している。


 気を取り直そう。


 ニアの話によれば、『飛猿』の群れのは、本当に凶暴で武闘派の集団だったらしい。


 だが、それが逆に良かったのか、ニアに圧倒的な武の力でコテンパンにされ、ニアに服従したようだ。


 そしてむしろ、ニアに尊敬の眼差しを向けてきたらしい。


 本人が言っているので、本当かはわからないが。

 本人曰くは……みんな自分を尊敬し、忠誠を誓っているとのことだ。


 確かに、このヤシチは、今までの猿のように、怯えた目つきをしたり、嫌そうなオーラを出したりしていない。


 本当にニアに、忠誠を誓っている感じだ。


 そして忍のように、ひっそりと控えてる。


 よく見てみると、普通にしているときは、凶暴という感じはしない。

 チンパンジーっぽい顔つきの可愛い猿だ。


 毛色は、全体に茶色だ。

 飛膜は、あまり目立たない感じだ。


 ニアは、思ったよりだいぶ数が多かったこともあり、『飛猿』の軍団は、今まで通り生息地に住まわせることにしたらしい。


 まぁニアさんのことだから、何かあったら呼び出すんだろうけどね。


 ボスのヤシチが、どうしてもニアについて行きたいと駄々をこねたので、連れて来たとのことだ。


 ボスがいなくて群れは大丈夫なのかと訊いたら、サブリーダーがいるから大丈夫と言っていた。


 というか……もはや猿たちのボスは、ニアに変わっていると思うんだよね。


 そして、森に現れる人間たちを襲っていたのは事実らしく、人に対する警戒心は強いらしい。


 森を焼こうとした前クレーター子爵の件から、何十年も森を守ってきたのだから、代々伝えられているのだろう。


 ただニアは、今後はむやみに攻撃しないで、威嚇や警告をして様子を見るように指示したとの事だ。


 それでも向かってくる者については、無力化するように指示したらしい。


 悪い奴だったら、やっつけちゃってもいいと言ってきたらしいけどね。


 まぁ『絆』メンバーになって『共有スキル』が使えるから、余程のことがない限り、やられる事はないだろう。


 連れて来たヤシチは、ツリーハウスの木で自由に過ごさせるつもりのようだ。


 そして時々空を滑空して、このツリーハウスクラン周辺の警戒をさせる予定とのことだ。


 空から警戒できるから、いいよね。




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[気になる点] > 悪い奴だったら、やっつけちゃてもいいと言ってきたらしいけどね。 → 悪い奴だったら、やっつけちゃってもいいと言ってきたらしいけどね。 [一言] > ニアって、『猿軍団』を従えて、な…
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