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1107.特徴のある、冒険者たち。

 クランに面接に来た人の中で、冒険者以外で他に残っているのは、働きたいと言ってきた就職面接と勘違いをしていた人たちだ。


 ただその中には、クランとして欲しい人材がいたそうだ。


 現在『ツリーハウスクラン』は、多くの子供たちを抱え、毎回炊事をするのが大変なのである。


 三食ともバーベキューだからね。


 この状況を変えるには、炊事専門のスタッフが必要なのだ。


 それに適した人材がいたらしい。


 『商業ギルド』の受付嬢のビジネリアさんに言われて来たらしく、飲食店経験のあるの調理スタッフ二名とホールスタッフ二名が一緒に来たのだそうだ。


 ビジネリアさんが、状況を察して知人に声をかけてくれたのだろう。


 人間性に問題はないので、採用しても良いのではないかとのことだ。

 ホールスタッフだったという二人も、料理の補助ができるので、四人一緒に採用してあげていいだろうと面接を担当した『アラクネロード』のケニーが言っていた。


 四人とも若い女性で、住み込みを希望しているらしい。


 『商業ギルド』のビジネリアさんが、気を回して声をかけてくれたこともあるし、お願いすることにしよう。


 この炊事係に関連して、俺の『自問自答』スキル『ナビゲーター』コマンドのナビーからも報告があった。


 ナビーが面接した冒険者の中に、炊事係をやってもいいというパーティーがいたのだそうだ。


 引退してお店でもやろうかと思っていたが、子供たちの食事を作ってもいいと向こうから申し出てくれたらしい。


「冒険者は事実上引退して、子供たちの食事を作ったり、訓練してあげたりする仕事も悪くない、楽しそうだ!」と笑っていたそうだ。


 トップランカーの『闘雷武(とらいぶ)』のみなさんも、引退を考えていているという話の中で、お店をやろうかとも思っていたと話していたが……みんな引退後は、お店をやりたいと考えるのだろうか?


 今回炊事係をやっても良いと申し出てくれた冒険者パーティーは、おじさんの五人組だったようだ。


 ナビー曰く……ガングロのごついおじさん五人組で、料理がうまいようには見えなかったらしい。


 そこで掘り下げて訊いたら、食通で“食べ歩き”が趣味で、迷宮に入らない時には、みんなでお店を回るか、美味しかった料理の再現に挑戦するということを繰り返していたのだそうだ。

 グルメというか……料理研究家というか……まぁいずれにしろ舌の超えた料理人と言っていいかもしれない。


 実際、調理したメニューを食べてみないとわからないが、意外と良い人材かもしれない。


 ガングロのおじさん料理集団……まぁいいけど。


 この人たちも採用すれば、炊事担当が九人になるから、かなりいいね。


 まぁそれでも百人以上の料理を作るのは大変だろうし、これから採用する冒険者たちも入れたら、もっと人数が増える。


 でも不足する人手は、子供たちも手伝ってくれるだろうし、手の空いた冒険者にも手伝ってもらえばいいだろう。



 次に、面接に来た冒険者パーティーの中で、面白いというか変わった冒険者パーティーがいなかったか尋ねてみた。


「あるじ殿、隣国『ヘスティア王国』の王女だという者がおりました」


 『アラクネーロード』のケニーが即座に報告した。


 『ヘスティア王国』の王女って……もしかして、あの『白金牛』モバスチャンが言ってた第三王女かな?


「もしかして第三王女?」


「はい、そうです。武者修行のために迷宮都市に来て、一年ほど経つようです」


 間違いないようだ!


 なんてタイムリーな!

 それにしても、面接に来てくれていたなんて……。


 俺は、ケニーに詳しい話を訊いた。


 それによれば……特徴のある冒険者パーティーだったそうだ。


 女性五人のパーティーだったそうなのだが、全員が全身鎧を身に付けていたらしい。

 ほぼ肌の露出がない鎧だったようだ。


 しかも、迷宮に入る予定はなく、面接に来ただけなのに、装着してきたのだそうだ。


 迷宮に入る時だけでなく、普段から身に付けて生活していると言っていたらしい。


 その時点で、めっちゃ変わっている。

 面白いけどね。


 ケニーによれば、防御主体のパーティーで、普段から王女の身に危険が及ばないように、全員で鎧を装着していると言っていたそうだ。


 当の王女も、体に負荷をかけることは訓練になるから、鎧を装着していると話し、苦にしていなかったとのことだ。


 普段から身に付けているだけあって、全身鎧装着状態でも素早く動ける感じだったとケニーは言っていた。


 守り重視という点では、俺の発想と同じだが……かなりバランスの悪いパーティーな気がする。


 王女以外の四人は、パーティーメンバーと言いつつも、実質は護衛なのだそうだ。

 ただ気心が知れた間柄らしく、普通の仲の良い冒険者パーティーに見えるらしい。

 王女自身が気さくな人柄だそうだ。


 二人が『タンク』で、残り二人と王女が『アタッカー』なのだそうだ。


 やはり、滅茶苦茶バランスの悪いパーティーだった。


 接近戦しかできないよね?


 ただそれでも堅実に戦うので、時間はかかるが魔物を倒すことができるのだそうだ。


 この一年間、クエストもこなし、冒険者ランクは中堅冒険者であるDランクに上がったらしい。


 王女は、もともと剣術が好きで、子供の頃から鍛えていてレベルもそれなりに高かったし、他の四人も護衛だけあって、ある程度のレベルの高さがあったのが大きいようだ。


 確かにそうだろうね。

 普通の駆け出し冒険者だったら、そんなバランスの悪いパーティーじゃ、かなり苦戦するよね。



 それにしても……なぜその王女パーティーは、俺のクランに入りたいと思ったのだろうか?


 当然、ケニーも訊いたようだ。


 『キング殺し』の評判は聞いていて、その俺が作るクランの募集要項を見たら感動してしまい、入りたいと思ってくれたとのことだ。


 あの募集要項は、なるべく駆け出し冒険者以外は来ないようにするためのものだったのだが、逆に引き寄せる結果になったらしい。

 まぁレアケースだろうけど。


 普通は、子供の世話をするとか、奉仕活動するとか、そんなのが条件になっていたら、入りたいとは思わないと思うんだけど。

 冒険者稼業に専念したいはずだからね。


 人柄その他を考慮し、クランメンバーに向かえ入れて問題ないと、ケニーは判断したようだ。


 ただ一国の王女という立場を持つ者なので、何か問題が起きる可能性があるなら、慎重に判断した方が良いと付け加えていた。


 『白金牛』のモバスチャンの為に、探してあげようと思っていたので、いずれにしろ一度会って話をしてみよう。


 一応、明日の張り出しには、採用するつもりで名前を書いてあげよう。




読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、明日の予定です。


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