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1100.イケイケバブリーな、できるお姉さん。

「あらま! すごい注目浴びちゃってるわ。なんだろ、この状況?」


 目覚めてくれた魔法の貯金箱の付喪神のピンクの個体が、俺たちをぐるっと見回している。


 この子が、リーダーみたいだ。


「はじめまして、私はグリムと申します。あなた方を、魔法道具店で購入させていただきました。付喪神ではないかと思い、目覚めるのを待っていたのです。驚かせてしまって、申し訳ありません」


 俺は、簡潔に状況説明した。


「あらぁそういうこと。久しぶりに起きたら、びっくりの展開だわ。……そして付喪神が結構いるのね! またまたびっくり展開!」


 見ただけで、同類がわかるようだ。


「そうなのじゃ。ワシは、精霊の導きにより、このグリムと仲間たちに力を貸しておるのじゃ。クワの付喪神のクワちゃんじゃ、よろしく頼む。お前さんたちの噂は聞いたことがあるのじゃ」


 クワちゃんがさっと前に出て、自己紹介してくれた。


「あぁ、クワの付喪神ね。昔遠くから見たことがあるわ」


「おおそうだったのか、声をかけてくれればよかったのにのう」


「そうしようかとも思ったんだけど……その時は、やることがあったのよ。でもいいんじゃない、今こうして会えたんだから」


「おお、そうじゃのう。会えて嬉しいのじゃ! よろしくお願いするのじゃ」


「クワちゃん、こちらこそよろしく。

 私は、魔法の貯金箱の付喪神……正式には『付喪神スピリット・ピギーバンク・姉弟(シィブリング)』よ。

 私の名前はセントンよ。セントンちゃんって呼んで。

 そして弟たちがドウトン、ギントン、キントン。弟たちは無口だから、基本的に私が話す担当よ」


 セントンちゃんが名乗ると、三体の弟たちは、「ブヒッ」とだけ鳴いた。


 俺たちは、この付喪神たちに、一言ずつ挨拶をした。

 人数が多いから、一言ずつだけでもかなり時間がかかる。


 ただ、この付喪神たちは、全く苦にしていない感じだけどね。


「えーっと……私って天才肌だからさぁ、大体の感じが、すぐわかっちゃったわけよ。

 今の時代、大変なことになってるわけねー。

 渦の中心にいるのが、グリムさんね。

 ……いいわよぉ〜、お任せぇ! 

 あなたの仲間になってあげる! 

 ひと暴れしてあげるからぁ〜、任せてぇ〜! 

 お金の管理も任せてぇ〜! 

 私が仲間になったからには、お金に困る事はないわよぉ〜!」


「「「ブヒッ」」」


 セントンちゃんが、突然そんなことを言って、弟たちが追従した。


 てか……セントンちゃんって、“イケイケな感じのお姉さん”キャラだったの?

 語尾の上がる感じが、ちょっとだけバブリーな感じだ。


 “できる感じのお姉さん”キャラだと思ったんだけどなぁ。

 まぁ兼ね備えているということは、あるわけだけど。

 “イケイケで、バブリーなできるお姉さん”って感じのキャラなのかなぁ?


 まぁそれはともかく、話が早い!

 仲間になってくれるようだ。


「ありがとうございます。大歓迎です。よろしくお願いします」


 俺がお礼を言うと、周りのメンバーが拍手をした。


 するとセントンちゃんを始めとした四体は、雄叫びをあげるように「ブヒッ、ブヒッ、ブヒィィィィ」と三回鳴いた。

 どうも嬉しさの表現のようだ。


「私たちが、ここで目覚めたのは偶然じゃないわ。これは必然、そう必然よぉ〜! 世の中に偶然なんてないんだからぁ〜!」


「はい、そうですね」


 少し今後に不安を感じさせるキャラの濃さだが……気にするのはやめよう。


 『絆』スキルの『絆』リストを確認すると、『心の仲間(チーム)』メンバーとなっていた。


 俺は、念話を繋いで、『絆』スキルや念話ができることなどを簡単に説明した。

 そして、『波動鑑定』をする許可を取った。


 改めて『波動鑑定』すると……凄かった!


 まずステータス画面そのものだが、休眠して道具状態になっていた時の物品のステータス画面から、生物のステータス画面に変わっていた。


 道具状態の時は、『名称』が『魔法の貯金箱 ワンコインパラダイス』となっていて、『階級』が『極上級(プライム)』のアイテムだった。

 極めて特殊だが、一応魔法カバンの一種である。


 覚醒したことによって、『名称』が『付喪神スピリット・ピギーバンク・姉弟(シィブリング)』となっていた。


 レベルは、なんと55だ。

 クワの付喪神クワちゃんの52よりも高い。


 そして、四体で一つの付喪神となっている。

 一体ずつが、付喪神化してもいいような気がするが……。


 やはりセットで作られたからなのだろうか?


 貯金箱としての機能が、銭貨用、銅貨用、銀貨用、金貨用となっているからね。


 この四体は、一つの付喪神と言っても、それぞれに意思があるようだ。

 リーダーであるセントンちゃんが、主な意思決定をしているようだけどね。


 俺とナビーの関係みたいな感じなのだろう。


 並列意思というか並列存在という感じだ。


 レベルが高いだけに、『通常スキル』もいろいろ持っている。


 その中で俺が持っていないスキルは、『身体硬化』と『陶芸』だ。


 『身体硬化』は、体の表面を硬くすることができるスキルでだ。

 耐久力を上げることができるようだから防御系のスキルだと思うが、使い方によっては攻撃にも役立つだろう。


 『陶芸』は、焼き物を作ることができるスキルだ。

 材料さえあれば、スキルの力で瞬時に焼き上げた状態に完成させることができるらしい。

 焼き物は、乾燥、色付け、焼き上げなど手間と時間がかかるわけだが、すぐに作れちゃうなんて、超便利スキルだよね!


 この二つの『通常スキル』は、『共有スキル』にセットできるので、非常に助かる。





読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、明日の予定です。


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― 新着の感想 ―
[一言]  あっこれキンちゃんと同じ枠の付喪神だな。
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