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99.レベル上げ、タイム。

 俺達が転移で迷宮前広場に戻ると、みんなが待ちくたびれていた。


 すっかり忘れていたが、『インプ』狩りに行く予定だったのだ……。


 俺は、みんなに事の顛末を説明し、保護してきたリリイとチャッピーを紹介した。


 二人とも最初はびっくりして、ワッキーくんと同じように泣きそうになっていた。


 大丈夫なことを説明してあげて、少ししたら慣れたようだ。


 サーヤ、ミルキー、フラニー、ケニーが中心になって二人の面倒をみてくれている。


 体を洗ってあげているようだ。


 チャッピーは、ぶたれて怪我をしていたが、それはすでにニアの『癒しの風』で治してある。


 フラニーとケニーは、それぞれ『植物錬金』『糸織錬金』を使って二人の服を作ってあげている。

 下着をフラニーが、服をケニーが作ってるようだ。


 かわいい感じのシャツに、キュロットスカートのようなものを作っている。


 ちなみに、俺は二人の身の上を説明していたのだが…… 途中で泣いてしまい、ニアが代わりに説明してくれた。


 おじさんの涙腺はまたも、決壊状態となってしまったのだ………残念!


 ただこの話を聞いて、俺以外にも泣いてる者は何人もいた。


 ちなみに『ライジングカープ』のキンちゃんは号泣していたし、いつも怜悧な感じのケニーも泣いているように見えた。


 あと歳が近いアッキー、ユッキー、ワッキーが近くで話しかけてくれていたので、二人もより安心したようだ。

 仲の良い友達になってくれることだろう。


 ちなみにワッキーくんは、その天然さ故か、二人が裸になって体を拭いてもらっている時もそばにいて、ミルキーにゲンコツを食らっていた………残念!



 二人は相当お腹が空いていたらしく、サーヤが作ってくれたご飯をおいしそうに食べていた。

 そして、『スピピーチ』を食べて泣いていた。

 うん、その気持ちすごくよくわかる!


 俺はサーヤに奴隷契約を解除出来ないか訊いたが、サーヤには出来ないそうだ。


『契約魔法ーー奴隷契約』のスキルで、かつスキルレベルがかなり高くないと出来ないらしい。


 奴隷紋を刻む事と奴隷契約自体は、スキルレベルが高くなくても出来るらしいが、奴隷紋の解除はスキルレベルが高くないと無理との事だ。


 大きな都市などに行けば、出来る者もいるはずとの事。


 しばらくは、このままでいるしかないようだ。


 特に不都合はないが………なるべく早く解放してあげたい。






 そんなこんなで、すっかり『インプ』狩りに出かけるのが遅くなってしまった。


 延期しても良かったのだが、みんな行く気満々のようなので、今から行くことにした。

 まだお昼前だしね。


 ただ俺は、この子達のそばにいてあげたかったので、行くのをやめてニア達に任せようと思ったのだが……


「リリイも一緒に行くのだ。もっと強くなりたいのだ。お願いなのだ」


「チャッピーも行きたいなの……役に立つようになりたいなの。ご主人様お願いなの」


 と 二人に頼まれてしまった。


 こんな小さな子を戦わせるなんて俺の中では考えもしなかったし、とんでもない発想だ。


「そうね……この子達も連れて行きましょ。これから一緒に行くんだから、少しでもレベルを上げて強くなった方がいいわ。過保護は駄目よ、いやむしろ過保護ならばこそ、この子達のレベルを上げておくべきよ。それだけ生存確率が上がるんだから」


 ニアがそう言ってきた。


 確かに……

 俺の発想の中では、子供に戦わせるなんて事はありえないことだ。

 だが……この危険な世界で生き残っていくには、強い方が……レベルが上がってた方がいいのは間違いない。

 逆に考えれば、子供でもレベルという仕組みがあるが故に、レベルを上げることさえ出来れば、より安全になるということだ。


 俺は、この子達の安全と幸せを第一に考えたいが……


 ニアの言うように、そうであるならば鍛えてあげた方がいいのかもしれない。


 ある程度のレベルに上がるまで、俺がしっかり守ってやればいいだけのことだし。


 そう思い直して俺は、二人も連れて行くことにした。


 ということで、今回の主なレベルアップ要員は……


 サーヤ、ミルキー、アッキー、ユッキー、ワッキー、ナーナ、リリイ、チャッピー、レントン、トーラ、タトル、フォウと新しく仲間になったスライム達となった。


 その他の霊域や大森林の仲間達はまた後日、ケニーの指揮で実施してもらうことにした。


 この近くには、まだ他にもたくさん生息地があるらしいし。


 俺はリリイとチャッピーに、クロスボウを与えた。


 使い方は、サーヤとミルキーが教えてくれている。


 アッキー、ユッキー、ワッキーは昨日練習していたので、もう使えるようだ。




 そして俺達はフラニーの転移で、ミノ太の案内する『ミノタウロスの小迷宮』近くの『インプ』の生息地にやってきた。


 俺、ニア、リン、シチミ、フウ、オリョウはサポート要員だ。


 レベル上げメンバーに危険が迫ったら、すぐに対応するように分散して警戒している。


 生息地域に入ると『インプ』が一斉に寄ってきた。


 スライム達で防御の壁を作り、その後からクロスボウを発射するというやり方で敵を殲滅する。

 危なくなった時は、サポートメンバーがフォローして倒すというやり方だ。


 この戦い方で全体がチームとして、システム上認識されているようで、リリイやチャッピーがそれほど倒せなくても、みんなと同じ感じの経験値が入っているようだ。


 しばらくこれを繰り返し、一段落ついたところで終わりにした。


 というか…… もう『インプ』が寄ってこなくなったのだ。


 まだ周りにいるようだが、恐れをなして近づいてこないのだろう……。


 思ったよりも早く終わってしまった。


 こんな感じになるなら、ケニーや蜘蛛系の仲間達を連れてきて、最初に逃げられないように蜘蛛の糸で包囲した方が良かったかもしれない。

 まぁ今後の課題ということで良いだろう。


 みんなのレベルは……


 サーヤ ———レベル25

 ミルキー ———レベル20

 アッキー ———レベル 18

 ユッキー ———レベル17

 ワッキー ———レベル16

  ナーナ ———レベル14

 リリイ ———レベル15

 チャッピー ———レベル14

 レントン ———レベル15

 トーラ ———レベル17

 タトル ———レベル17

 フォウ ———レベル17

 スライム達 ———レベル15 〜17


 リリイは元のレベルが3、チャッピーは2だった。

 元々レベルが高めだったサーヤ以外は、全員10以上レベルがアップしている。


 今日のところは、こんなところでいいだろう。


 みんなそれぞれに、レベルアップに伴ってスキルレベルも上がっているようだ。


 今回の遠征で新たに『弓術』スキルを獲得したのは、ユッキーだけだった。


 今まで俺達は、すごい率でスキルを習得していたが本来はこんなもんだろう。


 もっとも、すごい率といっても、未だに俺は『剣術』スキルを取得できないし、ニアは『棒術』スキルを取得できていない……。


 ユッキーは運が良かったね。

 というか……適性があるのかもしれないね。


 ちなみにリリイは、亡くなったお婆さんと一緒に狩りをしていたらしく、『弓術』スキルと『解体』スキルは元々持っていた。


 チャッピーは、元々『気配察知』と『第六感』というスキルを持っていた。

 もしかしたら、一人村を離れていて生き残れたのは、この『第六感』というスキルが影響していたのかもしれないね。


 『インプ』達は平均レベル15なので、このぐらいで十分と思う。

 もっと一斉に数多く倒せれば、よりレベルが上がっただろうが……欲張ってもしょうがないね。


 なんとなく子供達も疲れてるっぽい。

 もしかしたら、急にレベルが上がると体に負担がかかるのかもしれない。

 最初に急にレベルが上がった時にニアやリンもすごくだるそうだったし。


 もしかしたらと思い、『波動鑑定』をしてみる……


 すると状態表示に、『レベルアップ疲労』と表示されていた。


 やはり急にレベルアップすると、体に負担がかかるらしい。

 今日はこのぐらいで良かったのかもしれない。



 ちなみに案内で来ていたミノ太は、ケニーが一緒に来なかったことにショックを受け、テンションがだだ下がりで、ほぼ空気状態になっていた。


 こいつほんとに大丈夫なんだろうか……。


 せっかく出身地の『ミノタウロスの小迷宮』近くに来たんだから、里帰りしてくるように勧めてみた。


 特に戻る気はなさそうだったのだが、俺に言われて思い直したらしく、久しぶりに顔を出してくるということになった。


 俺達はミノ太だけを残し、フラニーの転移で迷宮前広場に戻った。


 ナーナが『家馬車』ごと来ているので、サーヤの『瞬間帰宅(リターンホーム)』ではなく、フラニーの『森妖精の通り道(フェアリーロード)』を使ったのだ。


 ミノ太も念話で連絡すれば、フラニーの転移ですぐ帰ってこれるので、のんびりしてくればいいだろう。


 今回倒した『インプ』の死体は『波動収納』に回収し、水中の仲間達のご飯になってもらう。


 これでまた大森林の対空戦力が増えるだろう。


 今後の訓練を兼ねた『インプ』確保は、すべてケニーに任せることにしてある。


 ミノ太の話では、『インプ』は狩り尽くしたと思っても、いつの間にか増えているそうなので、同じ場所でも定期的に遠征が組めそうだ……。


 まぁケニーが上手くやるだろう……。





読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価をしていただいた方、本当にありがとうございます。


次話の投稿は、7日の予定です。


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