1068.ゴーレムが作れる魔法スキル、キターーー!
ハートリエルさんが数多く持つ『通常スキル』の中で、俺が所持していないもの五つのうちの最後の一つは、『植物魔法——植物由来の人形』だ。
このスキルは、なんと上級の植物魔法で、植物由来の素材で作った人形を、ゴーレムとして使役することができるというスキルだ。
レアな植物魔法の上級魔法なんて、めっちゃ凄いと思うんですけど!
しかもゴーレムとして動かせるなんて……めっちゃ心躍るじゃないか!
植物素材ってことは……木の彫刻みたいなのを作ったら、それをゴーレムとして動かせるってことだよね!?
木彫りの熊とかが、動いちゃうってこと!?
てか、美少女の木彫象を作ったら……動いちゃったりするわけ!? ……ムフフ。……ムフフ。……ムフフ。
フィギュア好きの俺としては……めっちゃテンションが上がる!
もちろん、俺は魔法AIを手に入れているから、魔法AIをセットすれば、自分で作ったフィギュアを動かすこともできるのだが、魔法スキルでできるというのは、また格別なものがある。
このスキルは『通常スキル』だから……当然、『波動複写』で俺のスキルにすることができる!
もちろん『共有スキル』にもセットできる!
仲間たちも、自由にゴーレムが作れちゃうわけだ!
まぁレアな魔法だから、街中ではあまり使えないが。
魔法スキルであることのメリットは、一時的な使用目的で軽い気持ちで使えるということだ。
魔法AIを組み込んだゴーレムだと、倒された場合でも魔法AIが貴重なので、そのままにはできない。
仮に魔法AIが取得されてしまって、悪用されたら大変なことになる可能性もある。
でも魔法の力によるゴーレムなら、後に残るのはただの残骸なので、そんな心配は無いのだ。
逆に魔法によるゴーレムのデメリットは、魔力によって構成されているゴーレムだから、魔力が切れれば稼働できないので、常時稼働させることはできないということだ。
もっとも、『限界突破ステータス』の俺なら魔力の自然回復量がものすごいから、できちゃう気がするけどね。
ふと思ったが……実際このスキルを使ってみて、魔力消費が激しくなければ、俺がこのスキルでゴーレムを作って、『ツリーハウスクラン』の周囲を巡回させるとか……子供たちの剣の訓練の練習相手にさせるとか……そんな使い方もできるかもしれない。
なんか色んな使い方が、思い浮かぶ。
やばい……迷宮都市に来て、一番テンションが上がってるかもしれない!
……落ち着け、俺!
はやる心を抑えつつ……ハートリエルさんに、実際の使用感を尋ねてみた。
それによると……戦闘にはあまり役立たないと言って、低いテンションだった。
スキルレベルが、まだ2だからかもしれない。
その場でゴーレムを合成することができないので、事前に木の枝などを使って植物素材の人形を作っておいて、彼女が持っている『アイテムボックス』スキルの中にしまっておくのだそうだ。
そして迷宮に入った時に、何度か使ったとのことだ。
だが弱すぎて、“おとり”くらいでしか使えない状態だったらしい。
本人は、あまりすごいスキルだと思っていないようだ。
おとり役だけでも充分だと思うけどね。
ただ確かに、植物素材の人形となると、普通で考えれば木の枝とかで作る感じだろうから、強いものは作れないかもね。
待てよ……植物素材と言えば……『魔竹』があるじゃないか!
『魔竹』で作ったら、結構強いでしょう!
それから木剣の素材にしている『ワイルド樫』も使えるな!
硬くて軽い素材だから、ある程度の衝撃には耐えられるだろう。
まぁゴーレムの場合に、軽いというのは微妙なのかもしれないけどね。
いずれにしろ、植物素材でも、それなりの戦闘力のあるゴーレムを作れるんじゃないだろうか。
ただ冷静に考えると……『魔竹』も竹で、普通の竹に比べれば厚みがあるとは言え、木彫像のような精巧なフィギュアは作れないなぁ。
もちろんサイズを小さくすれば、作れるんだろうけど。
ニアくらいのサイズまでなら、作れるかも。
完全に観賞用になっちゃうけどね。
それでも良いのだが……ムフフ。
可愛い美少女のフィギュアを作って、それが動いたら最高だなぁ。
おおっと、いかん暴走気味だ。
あくまで俺がフィギュアを好きなのは、その造形美が素晴らしいからなのだ。
決して美少女のフィギュアだけが好きなわけではない。
かっこいいヒーローキャラも、ロボも、仏像とかも好きなのだ!
造形美なのだよ、造形美!
誤解のないように強く言っておきたい!
変態なおじさんを見るような目で見ないでほしい……。
『魔竹』では、小さいフィギュアしか作れないなら、ニアをモデルにしたフィギュアを作って、本人と戦わせてみるのも面白いかもしれない。
まぁ瞬殺されるだろうけどね。
そんなことを思いつつ……ニアの方を見てしまったら……
なぜかニアが一瞬ぶるっとして……俺に『頭ポカポカ攻撃』を発動した。
しかも……変態男を見るような蔑むような目を向けてから、発動したのだ。
なぜに!?
俺の心が読めるわけ……トホホ。
気を取り直して……強力な素材である『魔竹』を使って戦えるような人形を作るには、竹と竹を組み合わせたような、いかにも人形みたいなものを作るしかないだろう。
もちろん手をかけて、細かいパーツをいっぱい作って組み上げれば、結構かっこいいものもできるだろう。
だが、一時的に使うゴーレムにそこまでするのは大変だ。
むしろ『魔竹』をそのまま使って、強度を高めたほうがいいだろう。
ボディーに太い部分を使って、手足は細い部分を使ってという感じで、組み上げればいいんじゃないだろうか。
『ワイルド樫』だったら、太い木なので普通に人間くらいのサイズの彫刻も作れるだろう。
ハードな戦闘に使わなければ、『ワイルド樫』やもっと加工しやすい木で作ればいいと思う。
いずれにしろ、めっちゃ楽しみだ!
俺のスキルにできるから、『固有スキル』の『ポイントカード』の『ポイント交換』を使えば、一気にスキルレベルを10にできる。
それも楽しみだ。
上級魔法のスキルレベル10なんて……しかもそれがゴーレムを作るスキルなんて……。
てか……むしろめっちゃすごいゴーレムができたりして!
今はできないみたいだけど、植物の素材さえあれば、その場でゴーレムを構築したりとか……できるかもしれないよね!
まずい、テンションがさらにアゲアゲだ!
パリピみたいになったらどうしよう……落ち着け、自分!
とにかく……ハートリエルさんに感謝だ!
ありがとう、ハートリエルさん!
そんな気持ちが自然と出てしまったのか……ハートリエルさんを熱く見つめてしまった。
……なぜか彼女は、真っ赤になってうつむいた。
下を向いて、ニマッとしてる感じだが……。
なにこのデレっとした感じ……さすがツンデレ!
そして、お約束のニアさんの『頭ポカポカ攻撃』が発動している……トホホ。
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