95.新しい、仲間達。
レントン達が、真剣な眼差しを向けてくる。
「マスター、ぼくたちも仲間に入れて欲しいのだ。一緒に行きたいのだ」
「主様、私も一緒にいたい」
「マスター、私もお供に加わりますわ」
「アタイも一緒に行く。ご主人様の為に役立つ。馬車を引くのはアタイに任せて」
レントン、トーラ、タトル、フォウが真剣な顔で話してきた。
やっぱりパーティーメンバーに入りたいらしい……そんな予感はしたが……
「君達、パーティーメンバーに入るってことかい? 霊域にいた方が安全だと思うけど……」
「ぼくは一緒に行くのだ! 決めてるのだ! 」
「主様は、ずっと霊域にいるわけじゃないんでしょ。お出かけするなら一緒に行く。一緒に遊びたい〜」
「マスター、命を救われたご恩を返したいのですわ。必ずお役に立ちますわ」
「アタイ達がいれば、必ず役に立つから、お願い、ご主人様」
……これは困った……
しかもせっかく助け出したのに……
そこにトーラの両親の『スピリット・ブラック・タイガー』のトチチとトハハがやってきた。
当然止めるよね……
せっかく助け出された大事な我が子なんだから……
ところが……
「どうかトーラをお連れください。この子には強くなってもらいたいのです」
「心配してないと言えば嘘になりますが、マスターの近くがどこよりも安全と思っております」
なんと虎の夫婦がそう言ってきた。
大事な子供を手放して大丈夫なんだろうか……
「マスター、私からもお願いします。フウも霊域に戻るつもりは無いようです。一緒についていくようですし、この子達もどうか鍛えてあげてください。フウの成長ぶりを見れば、安心して送り出せます」
なんとカチョウまでが、そう言ってきた。
「主様、この子達の気持ちは強いようです。
私も安全な霊域に居なさいと言ったのですが、どうしても一緒に居たいと言ってました。
この子達は、主様に対する思いが強いのです。
何かあっても、サーヤの転移で帰って来れますし、どうぞ子供達の希望を叶えてあげて下さい」
霊域の保護者代表のようなフラニーまでがそう言ってきた。
うーーん………このパターン……
……俺の意思決定の自由がほぼ無い状態パターンね……
…… なんか慣れてきたけど……。
無理に断る理由は確かにないけど……
でも基本的に、これから人間の街を旅したいと思ってるからなあ……
目立っちゃうと思うんだよね……
「いいじゃない、一人も二人も三人も十人も一緒よ! 」
ニアが業を煮やす様にそう言った。
出たよ! この安請け合いを煽る攻撃……
ニアはいつもこうだ……
「大丈夫よ! まずレントンは鉢植えの木のふりして、トーラは大きな猫のふりをして、タトルは……そのまま亀でいいわ。フォウは、オリョウと一緒に馬車を引けばいいから…… 人族の街でも溶け込めるわよ……」
ニアが続けた。
さすがなのは、俺の不安要素を的確に把握し解決することだ。
やっぱりニアは侮れない……
俺のツボがわかっているようだ……。
「見た目はペット枠でいけるでしょう……グリムは表向きテイマーなんだし……みんなもそれでいいわね?」
ニアが、俺と子供達に向けてさらに続けた。
「うん、ぼく目立たないようにするのだ」
「はい、猫のふりする」
「私は……亀のままでいいのですわね。気品が溢れ出さない様に努力いたしますわ」
「アタイ、オリョウちゃんと仲良くする。馬車は任せて」
子供達が同意した。
ふう……やっぱこうなるわけね……。
「わかったわかった。じゃあそうするか……」
なんか……なし崩し的に、どんどん旅のお供が増えていってる気がするが……
まぁいいけどさ……
人数が多い方が楽しいとは思う……。
いざとなれば、サーヤの転移で戻って来れるし。
こう考えると、サーヤの転移がある事が精神的な支えになるな。
というわけで……また新たに四人加わった。
そこで新加入メンバーのレベルとスキルのチェックを簡単にやっておくことにした。
まずはミルキーからだ……
<レベル> 9
<通常スキル>
『弓術』
『瞬足』
『解体』
『採取』
……というスキルを持っている。
ちなみに妹のアッキーは、十三歳で……
<レベル> 6
<通常スキル>
『調理』
『革細工』
……を持っている
その下のユッキーは十一歳……
<レベル> 5
<通常スキル>
『投擲』
……を持っている
末っ子のワッキーは、九歳……
<レベル> 4
<通常スキル>
無し
<固有スキル>
『高速刈爪』———十本の指の爪が鋭い刃物となって、それを左右に揺らすことによって高速で草刈りなどができる。切れ味抜群。
……を持っている。
生まれつき固有スキルを持っていたらしい。
なかなか将来有望かもしれない。
そしてナーナ……
彼女は種族が、『付喪神 スピリット・ハウス』となっている。
<レベル> 1
ナーナの時に所持していた通常スキルが引き継げていたらしく……
<通常スキル>
『槍術』
『弓術』
『操車術』
『馬術』
『解体』
『骨細工』
『武器作成』
……というのを持っている。
<種族固有スキル>
『強い家』———物理、魔法、あらゆるものに対する耐久度が上昇する。
上昇率はスキルレベルによる。
『一家団欒』———自身及び影響範囲内にいる者の全ステータスをアップする。
影響範囲とアップ率はスキルレベルによる
『安心空間』———自身及び影響範囲内にいる者の自然回復力上昇。
影響範囲と上昇率はスキルレベルによる。
防御型、支援型、の種族固有スキルを持っていた。
そしてレントン……
<レベル> 3
<通常スキル>
無し
<種族固有スキル>
『植物同調』———植物を自分の体の一部に取り込み、自在に操ることができる。取り込める植物の数と操作技はスキルレベルによる。
『多感作用』———周辺の植物に様々な影響与え、コントロール下に置くことができる。影響範囲と影響力はスキルレベルによる。
『樹木医者』———植物の回復、成長促進、改良ができる。
効果範囲と程度はスキルレベルによる。
『植物材同調加工』———木材や刈草等と同調して自由自在に加工できる。
加工の規模と程度はスキルレベルによる。
……という四つを持っていた。
トーラ……
<レベル> 5
<通常スキル>
『ジャンプ』
<種族固有スキル>
『タイガークロー』———鋭利な爪による斬撃を放つ。
斬風で離れた相手を斬り付けることも可能。
威力と飛距離はスキルレベルによる。
……というのを持っている。
タトル……
<レベル> 5
<通常スキル>
『防御力強化』
『虚偽看破』
<種族固有スキル>
『亀城』———物理耐性、魔法耐性の強固な防御ドームを作る。
強度や大きさはスキルレベルによる。
……というのを持っている。
フォウ……
<レベル> 5
<通常スキル>
『瞬足』
<種族固有スキル>
『黄金の道』———エネルギーをまとった弾丸のような体当たりで敵をなぎ倒す。
……というのを持っている。
以上となるが、やはり新加入のメンバーはレベルを上げとかないと、ちょっと不安だよね。
早速、明朝決行の『インプ』狩りに参加してもらって、レベル上げをするとしよう。
サーヤやミルキー達が安全にレベル上げができるように、クロスボウをそれぞれに渡した。
遠距離攻撃ができる武器として最適だと思ったからだ。
少し慣れれば誰でも使えるようになるらしいし。
俺も一緒に練習しようかなぁ……。
ちなみに、このクロスボウは、守護の屋敷で傭兵達から大量に没収したやつだ。
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