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94.バーベキューと、グフグフ。

 俺達は検証を終えて、迷宮前広場に戻った。


 ちなみに、飛べるようになった仲間達はみんな喜び、今まで会えなかった仲間に会いたいと一緒についてきた。


 そして飛べる魚の先輩として、『ライジングカープ』達、特にキンちゃんが張り切って面倒をみてあげていた。


「うちらに何でも訊くし。みんな仲良しだし。大丈夫だし。まじアゲアゲ! うちは、ドラゴン王に、きっとなるし! アロワナちゃん達もちょっと似てるからドラゴン目指すし。まじまんじ! 」


 ここに『飛べる魚の軍団』が誕生していた……。


 ……ある意味シュールで……

 ……めっちゃファンタジーだ……。



 『インプ』を食べてパワーアップする説は、本好きのニアでも知らなかった。


 世間的には知られていない事実なのかもしれない。


 そうでなければ、こんなおいしい敵、狩り尽されているはずだ。


 ……ただ人間が『インプ』を食べるのは、だいぶ抵抗があるとは思うが……


 でもバトルジャンキーな奴なら食べるだろうなぁ……。


 だからやっぱりこの話は、ほとんど知られてないと考えた方がよさそうだ。


 このことは、俺達だけの“機密事項”に指定した。


 そしてケニーが、『キマイラ』のキーマと『ミノタウロス』のミノ太に確認したところ、やはり『インプ』の生息地に心当たりあるようだ。


 しかもこの大森林の近くに、いくつもあるらしい。


 その中でも大きいエリアは、大森林西のあの街道が通っている不可侵領域をさらに西の奥に進むとあるらしい。


 なんでも、その西の奥には『ゴーレムの谷』と呼ばれる場所があるらしいが、その手前に広い『小悪魔』の領域があるそうだ。

『インプ』以外にも『ジャキ』というのもいるらしい。


 また、そこよりは規模が小さいが、大森林から見て北西方向にあるミノ太の出身地『ミノタウロスの小迷宮』がある山の近くにも『小悪魔』の領域があるらしい。


 距離的には、こっちの方が近いとのことだ。


 ということで、ミノ太の案内で、『ミノタウロスの小迷宮』の近くの領域に遠征することにした。


 明日の朝にでも行こうという話になった。


 ミノ太は、ケニーの役に立てるのが嬉しいらしく、鼻息を荒くし、グフグフ言っていた……。


 ……その状態故にケニーから冷たい視線を向けられていたが………


 ……さらにグフグフ言っていた……


 こいつ、ほんとに大丈夫なんだろうか……。


 考えても無駄だな……無視!


 明日の遠征…… ワクワクしてきた。

 ……不謹慎かもしれないが、ちょっとした遠足気分だ!



 朝からみっちり色々な事をやって、気が付くともう昼過ぎだ。


 お腹が空いたし………


 迷宮前広場で、みんなでお昼を食べることにした。


 『浄魔』達や『霊獣』達は、たっぷりの魔素や霊素あれば無理に食べなくてもいいみたいだが………


 食べようと思えば、何でも食べれるみたいだ。


 普通は食べるとしても霊果が多いようだが。


 森には、普通の小動物もいるが、狩って食べるようなことはしていないらしい。


 まぁ俺の決めたルールで、必要な時以外には命を大事にというのがあるしね……。


 だから、いつもやってるお茶会も果物を食べながら楽しく話をしているようだ。


 家を作るついでに、迷宮前広場に大きなバーベキュースペースを作ったので、サーヤが料理をしてくれるらしい。


 主に俺達パーティーメンバー用だ。


 大きな鍋でシチューを作ってくれるらしい。


 そして、バーベキューといえば……焼肉だ!


 肉は、俺の『波動収納』にいっぱいある!


 ……すべて魔物の肉ではあるが……


 ニアの話では、美味しいはずだ。


『コカトリス』の肉もおいしい鶏肉と言ってはいたが……


 仲間となっている『コカトリス』達の前では………


 とても食べづらい……。


 同様に、もはや別物とはいっても、猪魔物の肉もボア達の手前……なんとなく食べづらい……。


 さて、どうしたものか……


 そう思っていると『ミミック』のイチミが近づいてきて、突然、どでかい牛の魔物の死体を出した。


「親分、オレっちが取っといた肉食べて! 」


 話によれば……


 以前、迷い込んできた魔物をケニーが捕らえ、訓練で使ったようだ。


 それをイチミの種族固有スキル『時空間収納』にしまっていたのだという。


『ミミック』達の収納系スキル『時空間収納』は、俺の『波動収納』と同じでその時の状態で保存できるのだ。


 つまり時間が止まっていて傷まない。

 新鮮な肉というわけだ。


 『イビル・バッファロー』という魔物らしいが……


 どう見てもおいしい牛肉だろう。


 ということで、この肉をいただくことにした。


 当然、俺は解体などできないが、ミルキー達がやってくれた。

 慣れているらしい。


 味付けはシンプルな塩味で良いのだが……


 何せこの『イビル・バッファロー』三メートル以上ある。


 サーヤの持っている塩では足りないかもしれないと思い、ケニーに塩がないか訊くと……


 少し離れたところから、ケニーにうざい視線……もとい熱い視線を送っていたミノ太が、グフグフ言いながら近づいてきた。


「オデ、塩いっぱい持ってる。オデ、ケニー様のお役に立ちたいでゲス。ついでに若様にもでゲス。ケニー様のシモベとして、一人前になりたいでゲス。叱って欲しいでゲス……ムフ……ウホ……ウホホッ……」


 と言って、大きな塩の袋を取り出した。


 こいつ……今完全に……俺の事「ついで」って言った。

 言っちゃったよ……。


 そして……「叱って欲しい」という“ドMな心の声”がだだ漏れしてるし……


 そう思ってケニーの方に視線をやると……


 凍りつくような……突き刺すような視線をミノ太に向けていた……


 だが……これまたミノ太にとっては、“どストライク”で……


 ……グフグフ言いながら……真っ赤になって体から蒸気を出している……


 ……こいつやっぱり駄目な奴かもしれない……


 明日の遠征、大丈夫だろうか……?



 それはそうと……


 なんとミノ太は、通常スキルではあるがレアスキルである『アイテムボックス』を持っていたようだ。


 色々な物が入っているようで……


 “自慢のコレクション”がどうのこうのと言っているが……


 怖くて中身を見る気には全くなれない……



 ミノ太の話によると、放浪していた時に塩が自然にできる湖を見つけて、大量に確保しておいたのだそうだ。


 塩を舐めるのが好きらしい……。


 牛頭だし……やっぱり塩を舐めるんだね……

 草食動物は、塩分補給をする為によく塩を舐めるんだよね。

 肉食動物と違って、草からはほとんど塩分が取れないからね。



 この肉は基本的にバーベキューで、すべて消費されてしまった。


 かなりおいしかった。


 普段は料理など食べない仲間達がほとんどだが、物珍しいのもあり、みんな食べていた。


 焼肉もサーヤの作ったシチューも、あっという間になくなってしまった。


 そしてほとんどの者達は 、一口で終わってしまっていた。


 まぁそれでも満足だったようだ。


 もうちょっと、でかい鍋があるといいかもしれない。


 俺の元いた世界で、東北などでやっていた大芋煮会で使う何百人分も作れる位のデカ鍋があるといんだけど……そんなのないよね……。


 作ってみたいなー……


 そんなこんなでお昼も……宴会のような感じになった。


 そして、初めて訪れたミルキー達や付喪神化したナーナも大分打ち解けてきていた。


 ナーナは、まだレベルが低く、長い時間実体化していられないようだが、大森林は魔素が濃いので長く実体化して居られたようだ。

 今は実体化を解いて、『家馬車』と同化して休んでいる。


 そんな俺達を見て……


 レントン達、助け出した霊域の子供達が俺の前に真剣な顔で集まってきた……。


 はてさて………このパターン………まさか………




読んでいただき、誠にありがとうございます。

ブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

評価していただいた方、本当にありがとうございます。


次話の投稿は、3日の予定です。


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