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1015.増えていた、子供たち。

 『商業ギルド』を出た俺たちは、北区に移動して、宿屋に泊まっているバーバラさんに会いに行った。

 バーバラさんは、俺専属の奴隷商人となってくれている人だ。


「どうやら『闇の掃除人』が奴隷の子供たちを解放してくれたみたいだねぇ?」


 バーバラさんが、俺に会うなりニヤけ顔をした。

 バーバラさんは、俺が『闇の掃除人』であることも知っているのだ。


「そうですね。そこでお願いがあるんですが……」


「なんだい? 私にできることなら協力するよ」


「しばらくの間、子供たちの面倒を見てもらえないでしょうか。子供たちの住む場所は確保したのですが、面倒を見る人がいないものですから」


「ああ、いいよ。どっちみち奴隷の子供たちを保護したら、しばらくは面倒を見ることになっていたからね。この安宿も飽きたところだし、ちょうどいいさ」


「ありがとうございます。ただ、人数が結構いまして……」


「なぁに、十人や二十人くらい、どうってことないよ」


「それが……四十七人いるんです」


「四十七!? あの奴隷商館にそんなにいたのかい!?」


「いえ、奴隷商館にいたのは十四人なんですが、人拐いから隠れていた子供たちを見つけまして……その子たちが三十三人いるのです」


「こりゃたまげた。まだこの迷宮都市に来て数日しか経ってないのに、そんなに子供を保護したのかい。さすがあんただね。いいよ、部下が三人一緒に来てるから、何とかなるだろう」


「ありがとうございます。なるべく早く世話をしてくれる人を確保をしますので」


「それはゆっくりでいいよ。ところで、その子たちもみんな『イシード市』に移住してもらうのかい?」


「はい。本人たちの希望を確認して、嫌でなければそうしてもらおうと思います。ただ、隠れ住んでいた子供たちは、売り飛ばされることを恐れていましたから、どこか別の場所に連れて行くと言うと、不安になるかもしれません」


「なるほどね。そりゃそうかも知れんね。まぁ話すだけ話してみて、不安そうなら無理に移住を進めなくていいんじゃないかい。ゆっくり時間をかければいいさ」


「そうですね。そうしてみます」





 ◇





 北区から、南区の林に戻ってきた。


 早速ツリーハウスを手入れして、子供たちが住めるようにするつもりだ。


 それはいいのだが……なぜか子供の数が増えている……はて……?


「ただいま。なんで子供たちが増えているの?」


 飛んできたニアに、すぐに質問を投げかけた。


「この迷宮都市にいるみなしごたちを、保護してきたのよ。ツリッシュ君が他にもまだ路上生活をしている親のいない子供がいるって言うから、一緒に行って集めて来ちゃった。南区にいる子供たちは、もともとツリッシュ君が集めていたから、中区と北区を回ってきたわ。それでこの人数になっちゃったわけ」


「え、中区と北区!? ……どうやって行ってきたの?」


「ああ、アイスティルちゃんとブルールちゃんに来てもらって、馬車を飛ばして行ってきたのよ。二人はまた出かけちゃったけどね」


「そうだったんだ。結局今何人になった?」


「えーっとねぇ……新しく連れてきた子供たちが五十一人だから……合わせると九十九人ね」


 なんと、倍以上に増えていた。

 ツリーハウスを整備しても、足りないなぁ。

 敷地は広いから、家を建てればいいんだけど……。


「ははは、これはまいったねぇ。この人数じゃ孤児院を建てても追いつかないじゃないか……」


 一緒に来たバーバラさんは、呆れ顔で笑っている。



 俺は子供たちを集めて、『イシード市』への移住の話を簡単にしてみたが、やはり皆不安そうな顔になっていた。

 そこで話の途中から、そういう選択肢もあるけど、強制はしないからゆっくり考えてほしいとお茶を濁した。


 やはりしばらくは、この子たちをこの迷宮都市で保護するしかない。


 そこで俺は、みんなで住む家をこれから整備しようと伝え、ツリーハウスに案内した。


「……ここに俺たちが住んでいいの?」


 リーダーのツリッシュ君は、信じられないといった顔つきだ。


「ああ、そうだよ。ただ人数が増えちゃったから、建物を増やさないといけないけどね。まずはみんなで草刈りをしよう」


「わ、わかった。あの……その…あ、ありがとう……」


 ツリッシュ君が、はにかみながら礼を言ってくれた。


 それから、子供たちの世話をしてくれるバーバラさんとその部下の人達を紹介した。


「みんな、バーバラさんの言うことをよく聞くんだよ」


「「「はーい」」」


「よし、いい返事だ。じゃぁみんな、よろしく頼むよ。まずは名前を覚えるために、名札を作るから私のところに集まりな。名札ができた子から草取りをするんだよ」


 バーバラさんがそう言って、子供たちを集め首から下げる木のプレートを作ってくれた。


 バーバラさんは子供たちと接する時は、めっちゃ優しいおばあちゃんという感じだ。


 草がボーボーなので、まずは草の整備をしなければいけない。

 これは俺がやったり、リリイやチャッピーに任せればあっという間に終わってしまうのだが、せっかくなのでイベント的にみんなでやることにしたのだ。


 草取り作業は子供たちに任せて、俺は子供たちが住む家の構想を練ることにした。


 どうせなら、ツリーハウスを増設したいんだけどなぁ……。


 中央にある二本の木にはツリーハウスが付いていて、その左右に一本ずつある木のところには、ツリーハウスは無い。

 だが枝がしっかりしているので、ツリーハウスを作ろうと思えば作れる。

 ただ作ったとしても、大きな家を組み込むことはできないので、抜本的には大きな建物を建てるしかないだろう。


 家を建てること自体は、家魔法を使えば簡単にできる。

 ただ今まで家魔法で建てたような普通の邸宅ではなく、ツリーハウスに合わせた木を活かしたログハウスタイプの家にしよう。


 家魔法で家を作るときには、イメージが重要となるので、俺はデザイン画を描くことにした。

 絵心がない俺だが『精密画』スキルを使って、頭の中のイメージを念写するような感じで画像に起こす……。


 二階建ての高級なロッジ風の建物だ。

 敷地の正面から見ると木が四本並んでいるのだが、一番左……北側の木の後ろのスペースに建てることにしよう。


 子供たちの草取り作業が終わったら、家魔法で一気に建ててしまうつもりだ。


 それから俺は、この敷地の道を挟んで西隣にある農地の整備もすることにした。


 まず広大な農地全体に、しっかりと柵を立てる。

 これは一気に作ってしまった。


 その後は、野菜を作るスペースと、鶏やヤギなどを飼育するスペースの区切りをつけて、飼育小屋などを作った。


 この迷宮都市に来る手前で盗賊たちのアジトを潰した時に、そこで飼われている鶏やヤギがいた。

 『箱庭ファーム』に入れて回収していて、保護したスライムたちと一緒に大森林に置いてきていたが、ここに連れてきて飼育することにしよう。


 野菜を作るスペースでは、主にリーフレタスを作ろうと思っている。







読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、本日中の予定です。


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何卒、よろしくお願いします。


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2021年8月21日から、もう一つ連載を始めました。


もしよろしければ、そちらも読んでみてください。

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