3人の会話って結構むずかしい
───突然だった、まさか彼女の口からそんな事を言われると思っていなかったからだ。
俺は突然の事に自分の言葉を口にすることが出来なかった。
「べ、別に覚えていないのなら大丈夫です、深い意味はないので」
その場に静寂が流れる、するとそこに、
「アンタが女の子と一緒にいるとか、マジきもいんですけど」
急に話しかけられたからビックリしたが、こんな暴言を吐けるのは世界で一人しかいない、それに少しばかり有難いと思った。
「俺が可愛い子と一緒にいると、何か問題でもあるのか愛莉よ、あれか?妹なりの嫉妬ってやつか、中々可愛い所もあるじゃないか」
「はぁ~」
思い切りため息をつかれた。そして睨まれた、女子こええぇ
すると、アリシアさんが不思議に思ったのか
「あのぉ~、お二人は兄妹なんですか?」
「ああ、そうだよ。ごめんね、紹介が遅れたね。こいつは妹の愛莉だ、仲がいいでしょ」
「誰がよ!可愛い女の子が変な男に絡まれてると思ったから、声をかけただけだっつーの!」
「えっ~と、大丈夫ですか?変な事されてませんか?」
おい、こら!なんだ変な事って
「・・・ええ、大丈夫ですよ。初めての私に、とても親切に優しくしてくださって。」
今少し、答えるまでに間が空いていたのはなんでだろうか・・・それに、発言がエロく聞こえたのは、俺が女の子と話す経験が少ないからだろうか。どどど、童貞ちゃうわ!
「お名前聞いてもいいですか?」
「あ、すいません。名乗りもせずに。私はアリシア・ティムプラーザと申します。この学校には、今日転校してきましたので、よろしくお願いします。」
「ご、ご丁寧にどうも」
ぷぷっ、なんだその返し方は ゲシッ そんな風に思っていたら蹴られた。
・・・恐ろしく速い蹴り、俺じゃなきゃ見逃してる所だった──てか痛い。
「なぜ蹴った?」
「なんかムカついたからよ、悪い?」
エスパーなのかこいつは、人の心が読めるとでも言うのか!
「私は一年なので、あまりお会いできませんが、こいつになんかされたらすぐ言って下さいね、懲らしめるんで」
「ふふ、ありがとうございます。そうさせてもらいますね」
あれ?なんだろう?二人が早くも仲良くなってないか?まぁ、三人の時の会話ってちょっと難しいもんね、うんうん・・・・・・うん・・・うん・・
そんな時、昼休みの終わりのチャイムが鳴った。危ないところだった、もう少ししてたら孤独に耐えられない所だった。
「それじゃアリシアさん、良かったら帰り、一緒に帰りませんか?」
「ええ、いいですよ愛莉さん」
俺もいるぞー
「じゃあ終わったら校門の前で待ち合わせで、あと、私の事は愛莉でいいですから、それじゃ!」
帰り際、俺に近づいてきた
「バカ兄貴、私に少しは感謝しろっつーの」
小声で言った後、颯爽と帰っていった。
あまりにも颯爽と帰っていったので思わず見逃した。
その言葉の意味を理解することができたのはそれから数秒後、どうやら妹なりに二人の気まずそうな雰囲気をなんとかしてくれたらしい。もうちょっと素直になれないものなのかアイツは───
「とても明るい妹さんですね、兄妹っていいですね、なんだか楽しかったです。」
「アリシアさんは妹さんとかいるの?」
「いえ、私は・・・いつも一人だったので」
なんだか聞いちゃいけなかったかな~、せっかくいい雰囲気に戻ってたのに、こんな可愛い子がボッチだったなんて、世の中どうかしてるぜ!
まぁ人には色々あるのだろう。しかしながらほとんど何も聞けなかったなぁー、俺は彼女の事を知っているのだろうか、それにアリシアさんが言ったあの言葉・・・アリシアさんは俺の事を知っているのか?またチャンスがあったら聞いてみよう、そう考えつつ二人で教室に戻るのであった。




