出会い
昼休みに入り、アリシアさんの周りには人だかりが出来ていた。クラスの男子ならびに女子は彼女に興味津々だ。無理もない、綺麗な顔立ち、長く整えられた銀色の髪の毛、凄く綺麗ですはい、思わず語彙力も低下してしまう。しかしながら彼女はいささか困惑してるもよう、そりゃそうだろう、そんな人に囲まれるなんて芸能人じゃあるまいし、慣れてないのも当然だ。
さて、どうしたもんかねぇまったく、流石に席が隣だと無視も出来ない、後お前ら!俺の席を侵略してくるな
「アリシアさん、ちょっといいかな?」
俺は彼女の手をとり、強引にこの場から立ち去る。彼女も突然の事だったのか、俺に付いてくる。
「おお!リョウタ!流石俺の見込んだ男だぜ、そこに痺れる、あこがれるッ!」
「うるせ、バカ」
そのまま彼女を連れて廊下まで出てしまった。教室の中では渋谷の奴があれやこれや噂を流している、アイツは主婦か!あとで処理するとして、冷静になってみると、俺はいきなり何をやらかしてしまっているのだろう、自分でもよく分からない。
「あ、あの・・・」
俺はアリシアさんの手を握りっぱなしにしている事に気づいた。
「わ、わ、ごめんごめん」
「い、いえ、なんだか助けていただいたみたいでありがとうございます。
私、どうしていいか分からなくて」
「へっ、あーいや気にしないで、先生も困ってたら助けなさいって言ってたしね。そうだ、良かったらお昼一緒にどうかな?まだ食べてないでしょ?」
「はい、ですが宜しいのでしょうか?ご一緒しても?」
「もちろんだよ、じゃあせっかくだから学園の案内がてら購買部にでも行ってみようか」
「購買部・・・?」
「うん、そう購買部・・・ってあれ?もしかして行ったこととかない?前の学校とかで?」
「前の学校はそういったものはなかったもので、名前だけは知ってます」
「まぁとにかく行ってみれば分かるよ」
こうして、アリシアさんと共にお昼を一緒に過ごす事に成功したのだった。
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めちゃめちゃ混んでいた。そう、お昼は混むのだ。俺は基本的に平和主義者なので、一度もこういった類の事にはなるべく関わらないようにしてきたからすっかり忘れていた。まぁだってめんどくさいし、てかお前ら弁当食え弁当!お母さんの愛情だけでは足りないって言うの?そんな子に育てた覚えはないよまったくもう。あまりの人ごみについついお母さん口調になってしまったぜ・・・コホン、冷静に冷静に───そんな時ふと彼女の方を見てみると、なんだかとっても目を輝かせていた。どうやら興味を持ってくれたみたいだ───いい笑顔です。・・・とても嫌な予感がする。
「宮前さん!これが購買部というものですか?!」
「そ、そうだけど、流石に人が多いね。」
さりげなくここを去りたい雰囲気をかもし出す───アリシア、それを華麗にスルー
「では、行きましょう!」
ですよね~、まぁ俺が誘ったんだし、ここはかっこいい所を見せてやりますか。
「あ、危ないから変わりに何か買ってくるよ、何か食べたいものとかある?」
「そ、そうですね。では宮前さんのオススメの品でお願いします。」
「はいよっと、じゃあそこで待っていてくれたまえ(キリッ」
承諾したものの、あまり利用しない俺にとっては何がオススメの奴なんて分からないんだよなぁ~、男宮前、一生の不覚である。女の子を誘うときは事前に下調べをしておくとモテルと思った。
自分にガッカリしつつも・・・さて、適当に買ってきますかね。高校生くらいの子なんてオシャンな時期だし、とりあえずパスタ食べとけば幸せみたいなものだろう、軽自動車だから軽油だよね☆っくらいなもんだろう。・・・パスタなんて売ってるのか・・・?
───売っていた。素直にビックリした。俺は人ごみを掻き分け、売り子の人に「なんか女子が好きそう物適当にお願いします。」って言って気がついたら、サンドウィッチとパスタと飲み物を手にしていた。なんでもあるんだなと感心しつつ、ちょいとばかり怖かった・・・まぁいっか!
「ごめん、待たせちゃったね。はい、たぶんオススメのパスタ!」
「ありがとうございます。たぶん?・・・」
「気にしない、気にしない。さぁ食べて食べて」
「なんだかすいません、ご迷惑をおかけしてしまって」
「ん、いやいいって、俺もアリシアさんと話がしてみたかったしね。」
そう、俺自身彼女に興味があった。べ、別に可愛いからとかそういった理由では断じてない・・・まぁ半分くらいしかない
アリシアさんを初めて見たときに感じた懐かしさ、名前を聞いたときにどこかで耳にしたような、何か引っかかる感じを突き止めてみたかったからである。
「あのさ!」「あの!」
彼女も何かを言おうと思っていたのか、偶然にも二人の言葉が重なった。なんというかこういうのは恥ずかしい、そもそも女の子とこんな状況になっているのも珍しい俺にはとっさに続ける言葉が出てこなかった。
「ご、ごめんなさい」
案の定、まだ会って間もない子に謝られてしまった。
「あ、いやこっちこそごめん、何か俺に聞きたい事でも?なんでも答えるよ、好きな食べ物とか、好きな色とか?う~ん、後はスリーサイズとかかな?」
「いえ、そういうのではなくて・・・」
スルーだった、最近の女の子は急にトーンて突き放すのがブームなのかしらん、たぶんこれが女子力なのだと思った。
アホな事を思っていたら、それは突然訪れた。
「あの、宮前さん!その・・・私の事・・・覚えていますか?」




