19××年 ○月△日
19××年 ○月△日
今日から私は日記をつけることにした。
とはいえなにを書けばいいのかわからないので、とりあえず適当に書いてみるとする。
東の海の傍にそびえる古ぼけたソレは教会だった。(うん、なんかかっこいい。どうせ誰も見ないしいいだろう。)
ゴシック様式の建物で、何百年もの間潮風に晒されてきたのか、壁の所々にはひびが走り、一面に蔦がはびこっている。(…なれない文章を書くのは辛い。自分でもこの文章の意味が通っているのかがわからない。消したほうがいいかも…。)
(まあいいや、続き続き。)
建物の中は、いつもなら粛々とした厳かな雰囲気が支配しミサの時間にささげる讃美歌が響いているはずなのだが、今はシスターたちがあわただしく走り回っている。
その中の1人が私だ。 (お、なんだかいい感じ?よし、この調子だ、私。)
私は他の人たちと同じように手に洗面器や包帯を持ち奔走していた。
こんなシスターらしくないことをしている理由はただひとつ。
野戦病院の看護婦として働かされているから、だ。
私は長いスカートを蹴散らしながら、うめき声の響く部屋の扉を蹴飛ばすような勢いで開け放った。
いつも思うのだがこのスカートは走るときは足にまとわりついて、邪魔で邪魔で仕方がない。今度先輩にミニスカにするように提案するのもいいかもしれない。
(神様悩殺?あれ、これなんか素敵な作戦)
一応ここで弁解させて欲しいのだが、この行為はシスター以前に淑女としてあるまじきことなのだが、今は緊急なのだし勘弁していただきたい。(え、いや、そんな私がいつもそんなことしてるだなんてことはないですよ?)
私は室内に飛び込むと、一番手近にいた少年兵の隣に跪いて包帯を取り出した。
「今すぐ包帯替えますからねー。ちょーっと痛いですけど我慢してください」
少年は裂傷した足の痛みが激しいのか、呻くために息をしているかのようで、こちらには目さえ向けはしない。
そんなことを腹立たしいと思う間もなく、(半分嘘だけど)私はすぐさま血と膿と蛆に塗れたズクズクの包帯をはがしていく。
少年の声が呻きから悲鳴に変わったが、もう慣れたことなので私は眉ひとつ動かさなかった。
すでに包帯ですらなくなっているほどにズクズクになってしまった物体を、乱暴に洗面器に放り込み、からし並みに染みる塗り薬をぐりぐりと丹念に塗りこみ新しい包帯を巻く。
「ハイ!終わり。楽になった?」
勢いで新しい包帯に包まれた足を叩きそうになり、慌てて振り上げた手を後ろに回す。
少年は幾分か痛みが和らいだのか、こちらを見る余裕ができたらしく視線だけをこちらに向けて言葉をつむぐために小さく口を開いた。
「あ、りが、と…う」
「どういたしまして。また痛くなったら呼んで」
私は天使の微笑み(自称)を浮かべながらそう言って違う患者へと視線を移した。
序章、というか紹介程度なのでオチもヤマもありませんが… 汗
こんな短いものですが、批判、感想を書き込みしてくださるとうれしいです




