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再会と奇妙な接触

 次の日、早速私は城を目指すことに。

 事前にグレンに話を通してもらっておいたはずなのだ。

 そしてリアナとは一緒に行かないはずだったのだが、城に来てから遭遇してしまった。


「あ、ミドリちゃん、来たんだ」

「……何で別々に移動したのに遭遇するのかしら」

「だって私、短期のアルバイトという名のお仕事でいるわけだし、何処にでもいるのです」


 そうリアナがドヤ顔で私に言う。

 そうなのですかと思った私だがあまりリアナと一緒に居る所を見られるのは良くないかと私が思っていると、


「あら、ミシェルじゃない、お久しぶり」


 声を聞いた瞬間ぞくりと鳥肌が立つ。

 “彼女”だ、私の元友人で寝取り女。

 振り返ると相変わらずの笑顔で、“何事もなかった”かのように話しかけてくる。

 

 その隣にはあの駄目王子もいつものようにしている。

 まるで、あの“婚約破棄”の件がなかったかのような扱いだ。

 実際にここではなかったことになっているのだろう。と、


「あら、そちらの子はミシェルのお友達? 初めまして私は、ユウと申します」

「……」


 リアナが珍しく私の後ろに隠れた。

 本能的に何かを感じ取ったのかもしれない。

 けれど私を盾にされても困る、そう思いつつ、けれど偶然遭遇したのだからこの機会にと私は思って、


「私、王子とユウのベッドシーンに乱入して、“婚約破棄”をしたのだけれど、どうしてそれが無かった事にされているのかしら」


 そこで王子の方がぎょっとした顔をしたが、ユウは相変わらずというか、芝居がかったような驚いた顔をして、


「何を言っているのミシェル、そんなわけないじゃない! 何かおかしな夢でも見たのでは?」

「そうね、今も悪夢の途中だけれどね」


 ユウを睨み付けてやる。

 この男に少しの未練もないが、この女は危険すぎる。

 正体があやふやで、このまま野放しにはできない。


 そう思って警戒していると、ユウは困ったように微笑み、


「どうしちゃったの? ミシェル。私、そんな風に言われると、とても悲しいわ」

「そう。他に何か言いたいことがある?」

「……何だか機嫌が悪そうだから、私はここで退散するわね。“婚約破棄”だなんてそんな……ねえ? それに私が大事な親友の婚約者を寝取るわけないじゃない。きっと何か悪い夢を見たか誰かに嘘を囁かれたのよ。こういった時は、婚約者とお話しするのが一番だわ」

「残念ね。私はお話しすることはないわ」

「……仕方がないわね。特別に二人っきりにしてあげるから、ミシェルはよく婚約者と話してみる事ね」


 ユウはそう微笑み、リアナに他に行くよう言う。

 なんでユウが指図しているのよと思った私だがリアナは相変わらず私主代に隠れているので小さな声で、


「ここから逃げて、私が接触したことをみんなに告げて」


 そう伝言をたのむ。

 不安そうに私を見たリアナだが、すぐに頷いて走り去っていく。

 途中、通路を曲がっていったのが見えたが何故あそこで下がったのか?


 グレン達の部屋があちらにあるのかもしれない、そう私は思った。そこで、


「では私もここからお暇するわね」


 ユウがまるで何事もなかったかのように私に声をかけて、リアナとは反対方向に去っていったのだった。


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