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“不審人物”と呼ぶべき予想外の人物

 こんこんと扉が叩かれる音がする。

 コンポートに少量お酒を入れたせいで、妖精のミフィはすでに夢の中である。

 くくく、そんな無防備な寝顔をさらけ出しおってと、頬をぷにぷにしようとしたら扉が叩かれる音が聞こえたのだ。


 どうやらリアナ達が帰って来たらしい。

 まあ、不審人物が来たら即座に一発ぶち込んで、退散していただきましょう、と私は思って意気揚々とドアを開けた。

 結果だけ言うならば、“不審人物”と呼ぶべき予想外の人物はいた。


 だが、“彼”はリアナやグレン、フィズと一緒にいた。


「ルーファス王子がどうしてこちらに?」


 そこにいたのは、リアナの攻略対象の一人である第一王子、ルーファスがいた。

 銀髪に緑の瞳のイケメンな彼だが、そんな彼は私に、


「それはこちらの台詞だ。ミシェル嬢こそどうしてこちらに?」

「私は、あの貴方の弟君に“婚約破棄”を叩きつけたはずなのですが、なかったことになっているので友人のリアナの力を借りて様子見に来たのです」

「なるほど……そして君を知っている私には、彼らは来て欲しくなかった、そういう事かな?」

「それ以前に従者もつけずに、ホイホイこんな民家にやってくる方が王子の危機感として問題があるのでは?」


 一応この人、あの駄目王子に命を狙われているはずなのによくもまぁ、と私は思ったわけである。

 そんな私を見てルーファス王子は目を瞬かせて、


「ミシェル嬢」

「? 何ですか?」

「前はもう少し穏やかだったような。まあ、弟とその浮気した愛人とのベッドシーンに乱入して“婚約破棄”をしたと聞いた時には、耳を疑いましたが……今見ると納得ですね。頭か何かを打たれましたか?」


 微笑みながらこのイケメンなルーファス王子はそう失礼なことを言ってくる。

 だが今はそれを言い返すよりも、


「“婚約破棄”について覚えているのですか?」

「それはまあ、ね。ただ……父も母も、そしてあの弟も使用人たちも全て、そのことを忘れているようなのだ」

「……やはり、そうですか。そして、ルーファス様は記憶があると」


 それを見ながらアズフォードと同じように、記憶があるのかと思って私は確認することにした。


「ルーファス様、失礼します」

「? 何がだい?」

「“ステータス・オープン”」


 呟くと同時に、現れたステータス画面。

 その中で私はある点に注目する。


「状態異常耐性がやはり異様に高いですね。これのおかげで記憶が塗り替えられなかった、という所でしょうか」

「よく分からないが、この魔力などは私の魔力量の数値とほぼ同じだね。これは人の能力を表示させる魔法かな?」

「はい、そうです」

「……なるほど」


 そこで何かを考えるようにルーファス王子が沈黙する。

 何が引っかかったのだろうかと私が思っていると次に、


「しかし、あの化粧は止めたのか」

「ええ、グレンに言われて」

「なるほど。そうしないとミシェル嬢だと納得してもらえなかったと」

「いえ、化粧をしている時から、グレンに気づかれましたが」


 なんでそんなことをこの人は聞くのかなと思いつつ私は問いかけるとそれには答えず、ルーファスは振り返り、グレンに、


「化粧をしていても見分けられたと? 以前のミシェルを知っていて」

「そうだ」

「……そうか、それはもう“愛”だな」


 それにルーファス王子は、しみじみと呟いたのだった。


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