人数が増えたのだった
リアナの家に戻って、事の次第をミフィに話しながら私は今日であった闇とアズフォードについてお話しする。
「結構闇が出ているみたいね。これって昔と同じ状況?」
「そうですね。昔の戦いと同じです。それで倒した時に手に入れたものを見せてもらえますか?」
「これよ」
そこで私は闇が倒されて残されたそれを取り出す。
正八角形のガラス玉に見えるのだが、それをミフィがじっと見て、
「やはり妖精の元となるものと同じですね。全く、何処から見つけてくるんだか。後で浄化して私の眷属にまたしてしまいましょう」
「そう。でも最近増えているというのは、作っている人間がいるって事よね。何のためかしら」
「さあ。利己的な内容である気もしますが。昔からそうでしたからね」
そう嘆息するようにミフィが告げてそこで私は、ふと思いつく。
「その闇の出現ポイントって、私の魔法で検索できたかしら」
「確率の高い場所ですか? 以前は出来ましたね」
「ふむ、そこにちょっとだけ、罠でも張ってみる? よく犯人は事件現場に戻るというし」
言いながら私は、あることを考えていた。
これに以前ミフィが私に言っていた、映像記録魔法を組み合わせ、そして。
「あとはユウの動向だけ少しわかればいいのだけれど……今までどうして、私の手の者があのユウを追跡できたのがちょっと不思議なのよね。結局、王子との現場に踏み込めたわけだし」
いつどういった行動をとっているのか。
そういった敵であったならユウは、行動を探っている私の手の者に気付いていそうな気もする。
「本当に、ただの悪女なのか、それともわかってて気づかないふりをしていたのか」
前者なら問題ないのだが、婚約破棄の件が無かった事にされているのを見ると、後者のような気もしてくる。
私たちが考えすぎなのかもしれないが、それでも警戒するに越したことはない。
ただ後者であったなら、
「探っているのが気付かないふりだとしたら、どういった理由なのかしら」
考えていてもよく分からないのでミフィに問いかけられた。
するとミフィは遠くを見るような目になり、
「ミシェルよりも私の方が愛されて、能力としても、女として上なのよ、というのを本人の前で見せつけたかった、とか?」
「……あの乱入の時もそう考えていたと」
「はい。もっとも結果は、あの王子はミシェルに縋り付いていたわけですが……それを考えると、あの、ユウという人物、更にミシェルへの嫉妬に狂っていそうですね」
「……面倒くさい」
「本人の前で言ってあげましょう。もうこれは延々と煽っていくスタイルで、精神攻撃していくしかないかもしれません。弱みを見せると叩いてくるタイプですからね」
「なんであんなのと友達になっちゃったんだろう。まあいいわ。ミフィ、後で調べて映像記録頼める?」
「はい、大丈夫です。でも皆さんに一度話を通しておいた方が良いのでは?」
というミフィの提案で、後でになった。
それから今日の夕食は何を作ろうかと思ってグラタンを作ることにする。
お昼は先ほど露店で美味しそうな、鳥の焼いたものを甘辛く味付けしたサンドイッチがあったので購入してしまった。
独り身だと買い食いが増える気がする。
でも夜はグレンたちも来るし多めに作っておこう、そう思いながらジャガイモをゆでたり、牛乳小麦粉バターでホワイトソースを作ったり。
後は焼くだけね、デザートはどうしよう、丁度おいしそうな果物も買ってきたしコンポートにしようかな、等と私が楽しく料理をしていたその夜。
私が思うよりも一人、リアナの家にやってくる人数が増えたのだった。




