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状態異常への耐性

 とても気になったのだ。

 彼女が忘れられなくてという一文。

 本来ならば幾つかのフラグが必要なのだが、このアズフォードの場合は、すでに彼女、つまりリアナに一目ぼれしている可能性がある。


 それならば面倒なことをせずに済むのだが、一つ懸念材料が。

 もしそれが私の予想通りであれば、彼という駒を一つ失うことになる。

 当たっていないと言いながら私は、


「アズフォード、貴方、まさか彼女のストーカーだったりしないわよね?」

「ごふっ! そ、そんな言い方はないじゃないですか! 最近、ここの都市でも闇を見かけるようになっているので駆除をしていたら、たまたま、そう、たまたま彼女と出会って、昔おとぎ話で聞いた“聖女”に似ていると憧れただけです!」

「そ、そう……その崇拝するようなものは、ストーカーとちょっと違うような気がするけれど……でも、あの子、そんな風に尊敬のまなざし、みたいなものが好きじゃなかった気がするわね」


 よく、ああいった尊敬の目で見られると窮屈で体が硬くなって面倒くさい、と言っていたような記憶がある。

 ピンポイントで妙な所を思い出したな、と私が思っているとアズフォードが衝撃を受けたように凍り付いていた。


「お、俺の行いがそんな迷惑なことになりかねなかったなんて。危なく嫌われる処でした」

「……結局憧れなの? 恋愛感情で一目惚れかなんかしたの? どっち?」

「! そ、それは……」


 顔を赤くして黙ってしまった彼。

 あー、はい。

 口ではそうはいっていても体は正直だなと。


 つまり彼は、色々言っているが、恋愛感情でリアナに惚れてしまっているようだった。

 はじめから好感度が高いのは、好都合と言っていいのかどうか……と考えて、問題の先送りを私は提案した。

 だから目の前の彼に、


「折角だからいいことを教えてあげるわ。真面目に仕事を終えて、騎士団の食堂に向かいなさい。貴方の望むものがもしかしたら出会えるかもしれないわ」

「それはどのような意味ですか?」

「さあね。それで、闇に関しての報告に私はしないでおいてくれる? ちょっと調べていることがあるから」

「は、はい。ミシェル様がそうおっしゃるなら」


 素直に答えるアズフォードに、大丈夫そうかと私は思う。

 だが一つ気になる点があったので聞いてみた。


「貴方、ユウの事は知っているかしら」

「え? は、はあ、ミシェル様の親友ですよね?」

「婚約破棄の話は?」

「……ミシェル様は、あの王子と婚約破棄を行ったのですか?」

「……貴方は覚えているのね。ええ、したはずで、ユウに寝取られたからが理由だったはず。でもなかったことにされてしまったの」

「やはりそうですか。俺の記憶ではそうだったので、妙だなと」


 アズフォードがそう答える。

 どうやら、そのユウ関係の話は、彼は覚えているようだった。

 妙だなと思って私は、


「ちょっと変わった魔法を使うけれど構わないかしら。危害は加えないから」

「え? は、はあ、どうぞ」

「……“ステータス・オープン”」


 そこで私はアズフォード君のステータスを呼び出す。

 光の板状に彼のすぐそばに能力が現れる。

 彼は驚いていたが、それよりも私は注目する部分があった。


「状態異常への耐性がものすごく高いわね。それの影響で、大丈夫だったのか」

「あ、あの、これは……俺のステータスのようですが」

「面白い魔法でしょう? 消えていいわ」


 そう言ってステータス画面を消して、今の技に聞いてくる彼には答えず、代わりに、


「それに面倒な話をしていると、幸運が逃げてしまうかもね。ヒントはそれだけ。また会う時があればその時は、別のお話をしましょう」


 そう告げて私はそれ以上何も言わずに、再びスカーフとサングラス、マスクで顔を隠したのだった。


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