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あの化け物顔の!

 気配を感じなかった。

 私は慌てて振り向くとそこにはある人物が立っていた。

 彼は私を見て眉を寄せて、


「彼女かと思ったが違ったようだな。しかし、怪しい人物がいて、闇の気配がしたから来てみれば……お前は何者だ? 闇を打ち払っているようだが」


 そう言ってくる彼の手は剣の柄に当てられている。

 私がおかしな行動をとったなら、すぐに“対処”するためだろう。

 さて、どうしようかと私は考える。


 ここから転移魔法を使って瞬間移動してもいいのだけれど、そこで私は振り返った状態のまま、赤い髪に緑の瞳のイケメンの彼を見ながら、


「騎士アズフォード、将来が有望視されている騎士の一人。好物は、“リゼンダブドウ”の干したもの。5つつ年下の妹がいる」


 とりあえず、目の前の騎士の個人情報を告げてみる。

 実は目の前の彼も、ゲーム内でリアナの攻略対象であったりする。

 将来有望な騎士。


 剣の腕前もなかなかのものだったが、私に気配を悟らせないのは、やるわねという感じである。

 さて、そんな彼の個人情報を口にした私に、目の前の彼は警戒心を強めたようだ。

 そうだろう、怪しい気配と怪しい女を追ってきたら、その女が自分の事を知っているのだ。


 警戒するよね☆ と思いながら私は、とりあえずスカーフをはずしてから、サングラスとマスクを外す。

 一瞬呆けたように彼は私を見ていたがそこで、


「美人だからって、見逃すわけにはいかないからな」

「……私の顔に見覚えがない?」

「ない。……どこかで会っていたか?」

「うーん、アズフォードは確かまだ宮廷内に入って2か月?」

「そう、ですが……」


 段々と少し自信が無さげになっていくアズフォードの声を聞きながら私は、レイン家の紋章のついた護身用の短剣を取り出す。

 これを見せれば一発だろうと思ったからだ。

 そしてそれは予想通りだった。


「そ、それはレイン公爵家の……まさか!」

「そう、私はミシェル・レインよ」

「あの化け物顔の!」


 そう叫んだアズフォードに私は、ん? と思った。

 化け物顔、それはもしや、


「……あの化粧の事かしら」

「はい、皆でお美しいミシェル様があのようなお化粧をと、うちの騎士団でも噂になっておりまして。俺が初めてあなた様の御尊顔を拝見した時はその、あまりの衝撃に夜うなされるほどでして」

「……」


 私はもう、あの化粧の事は忘れることにした。

 さて、それは良いとして。


「まあいいわ、私はミシェル。でも普通の町娘のように扱ってね。お忍びだから」

「は、はい」

「それで貴方、私を誰かと間違えたようだったけれど、誰と間違えたの?」


 その問いかけに、ギクッとしたように体をこわばらせるアズフォード。

 それを見ながら私は、妙な反応だと思う。


「誰?」

「……実は、先ほどのミシェル様と同じように夜な夜な闇を消し去る少女がおりまして」

「……続けて」

「たまたま闇と戦う彼女と遭遇して、その……それ以来、彼女が忘れられなくて、あ、いえ、普通に仕事として見回りもしています。それは本当です」


 慌てたように言いなおすアズフォード。

 だがそれを聞いて私は思い当たる人物が一人。


「ピンク色の髪に明るい茶色い瞳の?」

「そうです! ……ミシェル様、ご存じなのですか?」


 そう聞いてきた彼に私は、あることを聞いてみることにしたのだった。


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