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リンゴはスタッフが美味しく()

 こうして作戦会議は終わった。

 後は行動あるのみという事で別れることに。

 そういえば私はグレンに、


「いいか、くれぐれも、メイドに変装して忍び込もうとはしない事だ!」

「しつこいわね。しないわよ、そんな事」


 と言い返した。

 そもそもよくよく考えたら何でメイドなのよ。

 もっと堂々と城に入り込んだやるわ、と私は思った。


 そうして私、リアナは自宅に帰ることに。

 ちなみにリアナはお友達の家に今日は泊まるそうだ。

 何だか羨ましい気もしつつ、私は別荘に戻る。


 それからリアナの友人の家に遊びに行ってお泊りするといった話をする。

 実は、こっそり家を出た時に仲良くなった友達がいて……その子の家に遊びに行くといった話に。

 ただやはり心配だったらしく止められかかったのだけれど、ミフィのおかげで何とかなった。


 そう、ミフィのおかげで!

 さすが妖精さん!


「さてと、これで着替えなどをカバンに詰めて、準備は完了っと」


 後は明日、約束の場所に向かうのみ! そう私は、その日は早めにベッドにもぐりこんだのだった。









 次の日、約束の場所にやってくるとすでに皆そろっていた。

 そしてグレンが私の顔を見て意地悪く笑い、


「ミシェルが一番最後だな」

「く、何だかすごく悔しい」


 謎の敗北感を味合わされた私達は、ミフィも連れて王都に戻る。

 移動先は、リアナの住んでいる部屋らしい。

 別荘とはいっても令嬢ミシェルの住んでいた場所リは狭いが、


「な、何だろうこの空間。すごく落ち着く気がする」

「あ、やっぱり? 昔ミドリちゃんが気に入っていた部屋とここ、よく似ているんですよね」


 とリアナが言う。

 やっぱりどこかでそう言ったものを覚えているのかな? と私は思った。

 そしてグレン達は城に向かうらしい。


 ちなみにグレン達は毎日この部屋を訪れることになっている。

 なぜかというと理由は簡単だ。


「ぽちっ」


 選択画面を呼び出して、私はある魔法をかける。

 つまり魅了などを無効化する魔法だ。

 従者のフィズにも、もちろんかけておく。


「よし、これで大丈夫。気を付けてね」

「ああ。ミシェルも下手に外をうろうろするんじゃないぞ」

「なんで?」

「……ユウに遭遇していたり、令嬢だと分かったら攫う悪い奴がいるかもしれないだろう?」

「前者は納得できそうだけれど後者はどうなの? そこまで治安が悪くない場所は一杯あるし」

「……ミシェルは美人だからほかの男が手を出してこないか、心配だ」

「大丈夫よ! 私片手でリンゴ潰せるし!」


 そう答えるとグレンが沈黙してから、


「そういえば言葉だけで俺は、ミシェルが本当にリンゴを握りつぶせるのか見たことがないな」

「じゃあ、やって見せましょうか?」


 というわけでリアナにリンゴを持ってきてもらう。

 そしてそれを片手で握りしめ(もちろんリンゴは洗ってあり、下にお皿がある)、


「ふんぬっ!」


 力を籠めると、ばきっと音を立て亀裂が走り果汁をこぼしながらリンゴが砕けて下に落ちる。

 リンゴはスタッフが美味しくいただいたのはいいとして。

 それを見たグレンは、どうよ、といたように挑戦的に笑っているはずの私を見て、深々とため息をついて、


「いいか、事が終わるまで、下手な動きはするなよ」

「……はーい」


 私はグレンの言葉に、心にもない返事をしたのだった。

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