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イロモノ系ヒロイン

 私達が王都に行くのは確定した。

 そして、その日程だが、


「リアナ、貴方が宮廷でアルバイトをするのは何時?」

「明日です」

「……明日なんだ」


 思いのほか早い日程に少し私は考えてから、


「それでも早めに対抗策が打てるのは、いいか。でもグレン達は手伝ってくれるの?」

「当然だ。とりあえずは俺の目でしっかりとあの駄目王子と婚約破棄したミシェルを確認しないとな。こんな状況になっているわけだし」


 との答えだった。

 もうそろそろ普通にグレンが私の事を好きなのだと認めるべきなのかもしれないが、今日で再会して何日目かという……。

 とりあえず“友人”のレベルまで引き上げておこう。

 

 もう少し様子見しないと。

 そう思いつつも私は別の事を聞く。


「一応は転移魔法があるけれど、これって普通の魔法じゃないけれど、これを使って移動する? しない?」

「……連携をとるなら、できる限り一緒に行動をした方がいいか。となると、その転移魔法での王都までの移動になるな」

「どうする~、突然訪問よりも前に根回しという名の、そちらに行きますよ、といった話は通しておいた方がいいんじゃないの?」

「確かにそれはそうだが、この転移魔法は特殊だからどう説明した方がいいのか……というか本当に転移できるのか?」


 ここでグレンが胡散臭げにリアナを見た。

 リアナがむっとしたように、


「使えますよ、見ていてください。ほら!」


 そこでリアナの姿が消えたかと思うと、窓の外に現れた。

 長距離移動とは違い、短距離移動である場合は魔力を使って、移動範囲の認識さえすればできたりする。

 別にコピーしたものがあちらに生じるタイプではないので、怖さも何もない。


 そして窓の外で手を振るリアナに、グレンは絶句したようだった。

 するとすぐにリアナが戻ってきて、


「これでどうでしょう?」

「信じるしかないな。頭痛がしたが」


 そこで深々とため息をつき、先ほどからの超展開についていけないで凍り付いているフィズにグレンが、


「フィズ」

「……なんでしょうか、グレン様」

「転移魔法で一回城に戻るから、言い訳を頼む」

「ああ……またそんな無茶を。どう言い訳しよう……」


 頭を抱えたフィズ。

 グレンは言い訳その他の面倒なことを、部下に丸投げしたようだった。

 ぶつぶつと愚痴を言いながらフィズは、


「では、リアナという“聖女”が再来して、新たな危機のために力を借りたい。そしてグレンが好きなミシェルが危機に陥っているために手を貸したい、けれどこのことは内密に、といった内容で行きましょう」

「そういえばミドリちゃん、ミドリちゃんの異界の知識では私、どんな役なの? また“聖女”?」


 目を輝かせて聞いてきたリアナに私は少し考えてから、


「能力がいっぱいある、イロモノ系ヒロインかな?」

「? 普通っぽい?」

「“聖女”よりは普通だね。……待てよ? となると明日からリアナの物語が始まるのなら……これで行くか」


 そこで私はにたりと笑う。

 グレンが私に、


「悪い顔をしているな」

「ふふふ、今回は男達にリアナがモテる話なんだけれど、そのためのフラグは全部私の頭の中に入っているのよね」

「つまり?」

「最短で男達を攻略してもらって、味方につけてもらうわ。リアナには、ね」


 効率厨の私はそう、答えたのだった。

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