残党がまだ残っている
アレ、とリアナはいった。
都市でも見かけるらしいそれって何だろうと私が思ってると、
「もともと私、穴あき状態ですが“聖女”としての力と記憶をもって生れて来たんですよ。おかげで結構、ある意味苦労がなく生きれた部分もありましたが、その一方で、この状態にされたのは、意味があったのかなと」
「つまり?」
「前世の敵の残党がまだ残っている、といった所でしょうか」
「ごめん、リアナ。私、ほとんど前の事を覚えていないの。こちらの世界に来た後の事とか特に」
「あー、うん、そうですか~。でも、ミドリちゃんが思い出せないとか忘れている状態ってことはもしかしたら、それほど危機的な状況ではないのかも」
「そうなの?」
「ミドリちゃんは“最終兵器”みたいな物だし。超弩級神聖魔法とか、私より強力な技を幾つも持っていたしね~、でも切り札は私の合わせ技の、必殺技だったんだよね」
にこにこ笑うリアナに、本当に一体私はどんなゲームの世界に前はいたんだと思ったのは置いておくとして。
今の話には気になる点があった。
「敵の残党?」
「そうですよ。“闇の影”と呼ばれる類の、魔物のような怪物ですね。人を唆して、破滅をさせたりと色々する厄介な敵です。能力も様々で、擬態するのもいて結構きついですよ。特に力の強い奴は隠れている場合もあるし、人と契約して力を貸している場合もあるしで見分けにくいんです」
「そうなんだ」
「その“闇の影”の従僕たる“黒の獣”が最近、都市で見かけるのです。あいつらがいると、魔物も集まりやすいですしね。というわけで、私はこの都市で一人寂しくこの力を使って“闇の影”を倒していました。まあ、お友達もいるんですけれどね」
との事らしい。
その話を聞きながら私は、嫌な予感がふつふつと湧き上がる。
擬態ふだの人と契約すると見つけにくいだの……そんな珍しい能力というと、
「その“闇の影”の力を使って、ユウが私たちの世界に入り込んだと?」
「その気づかないというあたりが気になりまして。可能性もあるかなと」
「……でもあの駄目王子は昔からあんな感じだし、惑わされているのかしら」
「その辺りは私も、断言できませんね。でもその“敵”だったら早めに倒さないと厄介なことになるでしょうね」
「……ミフィ、必然性があって、記憶と同時に能力が戻った、という事はあり得る?」
そこで私はミフィに問いかける。
それにミフィは少し考えてから、
「そうですね……もともとミシェルの前は、ここに必要があって呼び出された人間ですからね。もしも何らかの危機的状況であれば、同様の状況という事で、記憶と能力が発現しやすいかもしれません」
「そっか……とりあえず能力確認しておいた方がいいかな。全部覚えている自信はないけれど、一つづつ確認してみようかな」
「そうですね、私も覚えている範囲で……というかミフィに確認してもらったらどうですか?」
というわけで私はミフィに私の能力を確認してもらうことに。そして、
「まずは、この世界の“地図”ですね」
「……確か選択画面から、マップを選択してっと、ていっ」
そこで私が地図を選択すると、机一杯にこの世界の地図と名前が“立体映像”で現れる。
地図上の名前から、
「少なくとも聖女が現れたのは数十年前だったから、そのころにはまだこの国はなかったから……これ、現在の地図にアップデートされているわね」
その地図を見ながら私は、呟いたのだった。
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