第二ラウンド突入
その日は、決めて頂ければというやんわりとしたお願いだけをしてグレン達は帰っていった。
その押し付けないような、相手の気持も汲んで……という形に私の父と母は感動していた。
この子ならミシェルを幸せにしてくれるのではないか?
そんな期待があるような気がする。
だが私はあのグレンという男の“本性”を目の当たりにしているのだ。
だから絶対にお断りしたいのだが、そこで母が、
「ミシェル、グレン様はどうかしら」
「申し訳ありません。私は突然頭痛と腹痛に見舞われたので部屋に戻ります」
と言った理由で私はその場から逃走した。
まさか昨日の今日でこんな手を打ってくるとは思わなかった。
外堀から埋められている、まさかこんな絡めてを使われるなんて。
「く、このままでは私はあの、グレンというイケメンと結婚してしまう」
「いいじゃないですかそれで」
「なんで!? あの性格の悪さは絶対に嫌!」
「……うーん、あっちもあっちで、いっぱいいいっぱいになって意地を張る辺りがこう、ね。女性に慣れていませんね」
「……」
「もっと女性に慣れているのなら、あんな一番初めの方であんな行動に出たり言動に出たりはしないと思いますよ」
それは確かに言えるかもしれない。
もっと上手く私を口説けば、簡単に唆せたはずなのだ。
嫌な思い出だがあの駄目王子はそちらの系統だったはずである。
だがそれを差し引いても不器用だからで片付けるにはあの言動は、女性に対するものとしては酷すぎる気がする。
女性とそこまで付き合ったことがないのか?
そこで私の中である仮説が浮かんだ。
「イケメンだからといって、それだけで女が寄ってくるからくどく必要がなくて俺様にh!」
「……まーたはじまった」
「ミフィ、私は真剣なのよ」
「はいはい。もういいや、グレンの愛の力でなんとかしてもらおうっと」
「愛の力って何よ!」
しかし私の味方であったはずの妖精さんはそれ以上何もこたえ無い。
どうやら今回は孤独な戦いになりそうだ、そう私は思ったのだった。
次の日、あのグレンとかいうイケメンにもう一度話をして、どういうつもりか聞き出そうと決意した。
だが彼が何処にいるのかはわからない。
仕方がないのでこの前に出会ったあの湖の畔に向かうことに。
「なんだか私が自分から会いに行っているようでイヤね」
そうつぶやきつつ進んでいくと……やはりいた。
彼は私に気づくと、私に向かってにやりと意地の悪い笑みを浮かべ、
「どうした? 俺に会いたくなったか?」
「ええとっても。一発くらい殴っていいかしら」
「痛いのは嫌だからお断りだな。それで、婚約は受ける気になったか?」
ニヤニヤと嗤う彼に向かって私は、
「絶対にお断りしたいわね」
「だが時間の問題だと思うぞ婚約は」
「婚約がされてしまったら婚約破棄をすればいいのよ」
そう言い返してやるとグレンはムッとした顔になり、
「いい加減諦めろよ」
「私は諦めが悪いの。見てなさい、絶対婚約をお流れさせてやる」
「ふん、グレン様がいないと嫌って、お前にそのうち言わせてやるよ」
という俺様発言が返ってきた。
相変わらずこいつだけは嫌と私は思う。
こうして私の婚約破棄のための戦いは、第二ラウンドへと突入したのだった。




