本当の目的ってなに?
イケメンが憂いだ表情で、昔から好きだったんだと叫んでいる。
しかも時々私の様子を見に来ていたらしい。
あれですか、遠くの木の陰からこっそりじっと見つめていたと。
それをするくらいなら、普通に声をかけろと。
乙女か。
というかもっと早くに声をかけてくれれば、私はあの駄目王子に引っかかることもなく、親友と名乗るNTR女ユウとも出会わず(多分)、婚約破棄などしなくてすんだのではないか?
やけに一途さを強調しているが、話がおかしい。
なんだ、何が目的なんだ。
確かに私は現在美少女なので、『体目当てだったのね!』とも言えそうなのだが、グレンも一応は、めったに見ない程度のイケメンだ。
彼くらいの基本スペックがあればそれだけで“イケメンチート”が使えて、美少女が欲しかったら立ってくるだけで誘蛾灯に集まる虫のごとく女性が集まってくるだろう。
となると私の家か?
家柄としては申し分ないはずだけれど、そこそこ前の代で嫁入した人がいて、繋がっていたような気もするのでそれも違うか?
だめだ、全く思いつかない、私が真剣に悩んでいるとそこでグレンが、
「どうかされましたか? ミシェル嬢」
「……貴方が私を嫁にしたい本当の目的ってなに?」
そこでグレンの眉が苛立ったようにピクリと動くのを見た。
だがどうにか留まったらしく、
「俺がミシェル嬢をずっと気にしていて愛していたのも本当なのですよ」
「本当かしら」
「そうですね、ミシェル嬢には突然そう言っているように聞こえてしまうでしょう。ですが、こうして再開した瞬間、俺はミシェル嬢への思いに挑戦したいと思ったのです。俺は、もう自分の気持ちにウソを付くのは嫌なのです」
情熱的に語るグレン。
それを見ながら私は出会ったグレンはもっと短絡的ではなかったかと思う。
本当によくもそうペラペラと口……待てよ? まさかこれも全部、“台本”通りなのか?
予測される可能性に対しこの受け答えをする、そう彼らは戦略を取っていたのかもしれない。
つまり私の行動に合わせて次々と言葉を投げかけて、逃げられないように、じわじわと真綿で首を絞めるように話をすすめていく。
何てことだ、これは全て彼らの策略だったのだ!
イケメンだから当然そんな策略をとってきてもおかしくない。
何故なら奴らイケメンは口が上手くて、女を騙すのだ!
そう、私が思っているとそこで肩に乗っていたミフィが、
「ミシェル」
「何? ミフィ」
「あのクソ王子のこともありますが、ミシェル、明らかにイケメン恐怖症になっています」
「べ、別にそんなことはないし」
「……口ではそうはいっていても体は正直だな」
「ミフィ。その発言は違う意味に取られかねない気がする」
「ですがここまで行くと、一度グレンと婚約して仮のおつきあいをしてみたらどうですか?」
「なんで!?」
「そのイケメン不信プリは一回なおした方がいいです」
「でも、グレンじゃなくてもいいじゃない!」
私は必死になって抵抗する。
このままではなし崩しに、グレンと結婚することになってしまう。
この本性俺様な男と。
だが現状では両親も気に入っていて、これでは婚約にノーといえない気がする。
どうしよう、私はどうすればいいのだろう、そう私が悩んでいると、
「暫く俺もこちらにいるので、その間に決めて頂ければと思います。俺としてはできれば早いほどいいのですが、ミシェル嬢の気持ちも考えて時間をと」
そうグレンはいったのだった。
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